海外初試乗、ジャガー Fタイプ クーペ|Jaguar
CAR / IMPRESSION
2014年12月29日

海外初試乗、ジャガー Fタイプ クーペ|Jaguar

Jaguar F-Type Coupe│ジャガー Fタイプ クーペ

さらに過激に

海外初試乗、ジャガー Fタイプ クーペ

ジャガー往年の名車「Eタイプ」の販売終了から40年──。新世代ジャガーを象徴するスポーツモデルとしてデビューした「Fタイプ」に、コンバーチブルモデルにつづいて、待望のクーペモデルが登場。クローズドボディを手にした2シータースポーツはどう変わったか。スペイン・バルセロナで九島辰也氏がインプレッション。

Text by KUSHIMA Tatsuya

およそ40年ぶりのシリーズ復活

21世紀に入って10余年も経てば、自動車業界もいろいろとアニバーサリーが増えてくる。メルセデス・ベンツに代表される一部の創成期に生まれたカーブランドはともかく、ほとんどのメーカーは20世紀初頭が出発点となる。そんななか、昨年はアストンマーティンが100周年を、今年はマセラティがおなじく100周年を迎えた。

なぜそんな話をするかというと、ジャガー「Fタイプ クーペ」に試乗したことと関係する。すでに昨年コンバーチブルを発表しているが、このFタイプこそジャガーのヘリテージから生まれたクルマ。ご先祖はおなじみジャガー「Eタイプ」となる。1961年にジュネーブショーでリリースされ話題となった一台だ。今回はその最終型消滅からおよそ40年ぶりのシリーズ復活となった。

Jaguar E-Type(1961)

Fタイプの登場は2011年のフランクフルトモーターショーまでさかのぼる。そこでターンテーブルに載った「C-X16」が原形だ。そこでの反響から、まずは「コンバーチブル」、そして今回のクーペが市場導入されることとなった。

だが、思い起こすと、2011年のコンセプトカーはクーペボディ。なぜかリアのガラスハッチが横開きだったので強烈に記憶している。しかも、Eタイプとは逆側にヒンジが付いていた。そこで、会場でデザインのトップ、イアン・カラム氏にその件を問うと、「あれはコンセプトカー。ちょっとした洒落だよ(笑)」と返ってきた。なるほど、まんまと踊らされたようだ……。

あれからおよそ2年半。スペインはバルセロナの郊外でそのステアリングを握る機会を得た。前評判ではコンバーチブルよりはさらに過激になっているという話だから、期待は膨らむ。しかも、コンバーチブルもそうだったが、今回もサーキット試乗がプログラムに入っている。その意味からも彼らの自信作であることは伺える。

Jaguar F-Type Coupe│ジャガー Fタイプ クーペ

さらに過激に

海外初試乗、ジャガー Fタイプ クーペ (2)

スポーツカーブランドであること

Fタイプクーペは3グレードあり、3つのエンジン出力で分けられる。3リッターV6+スーパーチャージャーの340psと380ps、5リッターV8+スーパーチャージャーの550psというように。ここで驚いたのはV8のパワー。コンバーチブルでは495psに抑えられていたが、クーペでは一挙に55ps上回った。ファミリーのなかでは、ジャガー「XKR-S」とおなじとなる。レンジローバーまで含めグループ最強だ。

では、実際の走りだが、用意された試乗車は380psのV6とV8だった。モデル名はFタイプ S クーペと、Fタイプ R クーペと呼ぶ。結論から言うと、どちらもコンバーチブルとおなじ迫力ある仕上がりとなっている。

フェラーリやマセラティをも凌駕する爆裂音的なエキゾーストサウンドは健在で、峠ではブリッピングとバックファイアを繰り返しながらコーナーを駆けて行く。

ZF製の8段ATはレスポンスよくなんら不満はない。トルコン式でこの反応ならツインクラッチなど出番なしといったところだ。またハンドリングにはジャガーネスがしっかり備わっていて、こちらもスッと切ったとき反応よく向きを変える。

普段ジャガー「XJ(308型)」を足にしているが、この感覚はまさに伝統。ジャガーがスポーツカーブランドであることを強く感じさせる。

Jaguar F-Type Coupe│ジャガー Fタイプ クーペ

さらに過激に

海外初試乗、ジャガー Fタイプ クーペ (3)

アクセルも遠慮なく踏める

V8モデルは公道走行もそうだが、サーキット試乗でその実力を見せた。トルクベクタリングがアンダーステアとオーバーステアを補正し、ドライバーの意図する方向へ鼻先を向ける。また、オプションのカーボンセラミックマトリックブレーキが時速200キロオーバーからの“安定した”制動を体感させてくれる。このストッピングパワーがあれば、アクセルも遠慮なく踏めるってもんだ。

もちろん、これらの技術はすでにスポーツカーを持つメーカーでは装備されている。正直目新しくないのも事実だ。だが、それはあくまでもタイミングの話。ジャガーの開発陣は、550psの2シータースポーツを意のままに操るのに必要なアイテムとして、いま採用に踏み切った。

こうした濃密な走りを2日間味わったのだが、やはりコンバーチブルよりボディ剛性が上がっているのを強く感じた。ワインディングもそうだし、サーキット走行でもボディのカタマリ感は強い。言ってしまえば、レーシングカーっぽい。

この恩恵は支柱としてルーフがあることもそうなのだが、リアにバルクヘッドを設けているのも見逃せない。そのためハッチバック的にリアガラスを開けてもそれほど荷物をつめない弊害が起きている。

が、それより高剛性を優先したのは立派と賞賛したい。いまの時代いいとこ取りで個性が薄まっているクルマは多い。そのなかでこいつはかなり硬派な存在といえるだろう。考えてみれば、そもそもスポーツカーは不便な乗り物。不便さが際立てば際立つほど、スポーツカー度は高まる!ってもんである。

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Jaguar F-Type Coupe│ジャガー Fタイプ クーペ
ボディサイズ│全長 4,470 × 全幅 1,925 mm ※全高未定
ホイールベース│2,620 mm
最小回転半径│5.2 m
エンジン│2,994 cc V型6気筒 DOHCスーパーチャージド
最高出力│250 kW(340 ps)/6,500 rpm
最大トルク│450 Nm/3,500 rpm
圧縮比│10.51:1
トランスミッション│8段オートマチック
重量│1,730 kg
0-100km/h加速│5.3 秒
タンク容量│72 リットル
価格│823 万円

Jaguar F-Type S Coupe│ジャガー Fタイプ S クーペ
ボディサイズ│全長 4,470 × 全幅 1,925mm ※全高未定
ホイールベース│2,620 mm
最小回転半径│5.2 m
エンジン│2,994 cc V型6気筒 DOHC スーパーチャージド
最高出力│280 kW(380 ps)/6,500 rpm
最大トルク│460 Nm/3,500 rpm
圧縮比│10.51:1
トランスミッション│8段オートマチック
0-100km/h加速│4.9 秒
タンク容量│72リットル
価格│1,029 万円

Jaguar F-Type R Coupe│ジャガー Fタイプ R クーペ
ボディサイズ│全長 4,470 × 全幅 1,925 mm ※全高未定
ホイールベース│2,620 mm
最小回転半径│5.2 m
エンジン│4,999 cc V型8気筒 DOHC スーパーチャージド
最高出力│495 kW(550 ps)/6,500 rpm
最大トルク│680 Nm/2,500-5,500 rpm
圧縮比│9.5:1
トランスミッション│8段オートマチック
0-100km/h加速│4.2 秒
タンク容量│70 リットル
価格│1,286 万円

ジャガーコール
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