連載・Yoko Ueno Lewis|暮らしノート・第17回 「レストン・ヴァージニアで考えたこと」(後編)

連載・Yoko Ueno Lewis|暮らしノート・第17回

Yoko Ueno Lewisの暮らしノート

The Way We Live with “STYLE”

暮らしノート 第17回

進行する環境破壊(対アース)における“Less is More”(後編)

もうひとつの“Less is More”は「もうこれ以上無駄なことは何一つしてはいけない」という環境に対する危機への対策です。配慮ではなく、すでに「禁止」という状況であるといえるところまで破壊は進行しているのです。レイチェル・カールソンの『沈黙の春』が出版されて、すでに半世紀以上が経過しているのです。

超高齢化社会(対エルダーズ)における“Less is More”(中編)を読む

Text & Photographs by Yoko Ueno Lewis(Jun. 2014)

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有効な近未来都市のゴールとは

無駄や無理を創るのは人間だけです。動物はしません。人間だけが地球の命を縮めています。巨大スクリーンに映し出される意味不明な映像やコマーシャル、それが大都会のシンボルである時代はもうとっくに終わっています。そんなことにシステムを使っていることに問題があり、それ自体が時代遅れということです。有効な近未来都市のゴールは、夜には満天の星が見えて、風が梢を揺らす葉音が聞こえ、虫の声やせせらぎの音が聞こえることではないでしょうか。田舎で暮らすという意味ではありません。都会であって、それでいて自然と接触して、自然自体を擁護して内包している暮らしのことです。

お金でモノを買い求め、モノで住居を満たしている時代は少なくとも20年前に終わっているはずです。必要なものを必要なときに、必要な人に提供するシステムが必要です。

アートやクラフトや趣味の世界で、それを実践するのは難しいでしょう。なぜなら、選択基準が好みや嗜好の問題だからです。では、日常だれしもが使うごく基本的なツールはどうでしょうか。

たとえば冷蔵庫、特別に異なるデザインや仕様が必要でしょうか? テレビはどうでしょうか? 機能の差はあっても、丸いテレビが必要でしょうか? その証拠にロゴを見ないとどこのメーカーなのかわかりません。洗濯機は? ベッドや寝具は? 介護ベッドはレンタルしますが、ではマットレスはどうでしょうか? 何年かしたら、自分の体調や身体に合わせて買い替えないといけないとしたら、そのときどきに合ったものを単純に借りてはどうでしょうか? 羽毛ふとんはどうでしょうか? 夏には不要になります。せいぜい使っても半年、しかも真冬と秋口では、羽毛ふとんに求める暖かさは異なってくるはずです。そのときの気温や住まいの条件に合ったものを借りたり変えたりできるとしたら、それほど便利なことはありません。

日常生活の快適さのために必要なもので、その質と機能とデザインがスタンダードとしてあたりまえのレベルで備わっていれば、それをわざわざ私物として長い年月に渡り保持する必要はないのです。買い替えるときに避けられない破棄や処分にかかる無駄なお金やエネルギーも不要なはずです。
人類がもし精神的に成長を遂げているとしたら、その部分の成長が地球を救うはずです。そして、地球を救うことと、エルダーズの生活を快適にすることは、じつは同じことなのです。

人類はどこまでいっても幸せになりきれないのでしょうか?

レストン・ヴァージニアでひとつだけ不足していることがありました。リサイクルシステムがカリフォルニアのそれより劣っていることです。そして、カリフォルニアはマルメ(Malmo・スェーデン)の環境都市整備計画にはまだまだ到達していません。

太陽熱が生むセントラルヒーティングシステム、極限的なリサイクルシステムが生む生ゴミの処理、カードキーひとつで確保されるセキュリティ、電話やセンサーで管理されるパーソナルライフにリーズナブルに直結した安全性やメンテナンスの保証、これらを総合的で包括的なコンセプトで構築していくことが、地球にもエルダーズにもいいはずです。

経済活動ばかりを優先して環境を考えると、安い中国製の太陽熱パネルに注文が殺到して、アメリカの同業者企業が相次いで倒産などという事態が起こります。人類はどこまでいっても幸せになりきれないのでしょうか?

「例年に比べて暑い」、「すでに真夏のような暑さ」というワードがさかんにニュースでいわれています。例年とは何でしょうか? 真夏とは何でしょうか? すでにそういった一般的な定義は通用しないどころか、じつは存在すらしていないのです。それほどにまで、自然環境自体が予測不可能な時代なのです。そんななかで、快適さの照準をどこに据えるのか、何をもってスタンダードとするのか、人間らしい暮らしの基本的価値をどこに見出すのか、もう一度、既成概念を捨てたところで、考え直してみる必要があるのではないでしょうか?

Stop and Think.

そんななかで、“Less is More”は確実にひとつのアンサーといえると思います。

デザイン&プランニング
Yoko Ueno Lewis(ヨウコ・ウエノ・ルイス)

ウェブ&ブログ|www.yokoueno.com
http://lookslikegooddesign.com/wooden-products-by-yoko-ueno-lewis/
オンラインショッピング|http://kaunis.jp/handle_uenoyokolewis.php

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ABOUT
UENO Yoko Lewis

Yoko Lewis Design主宰 グラフィック&プロダクツデザイナー 京都芸大ビジュアルデザイン専攻(現大学院)卒。 在学中アーネスト・サトウに写真を習う。 80年代にギフトラッピングの企画で商品企画の世界に入る。 …