ハリウッドがいまもっとも注目するオスカー・アイザック主演

アカデミー賞作品賞や監督賞などに輝いた『ノーカントリー』（2007年）や『トゥルー・グリッド』（2010年）など、ヒューマンドラマのなかに独自の世界観を生み出してきたジョエル・コーエンとイーサン・コーエンによる、コーエン兄弟。ボブ・ディランが憧れていたという伝説のフォーク・シンガー、デイヴ・ヴァン・ロンクの回想録をもとにした本作も、カンヌ国際映画祭をはじめ、世界で絶賛されている。

出演は、ツキに見放されながらも人びとを魅了する歌声をもつ主人公にオスカー・アイザック。『スター・ウォーズ エピソード7（仮）』の出演が決定するなど、ハリウッドがいまもっとも注目する俳優が初主演を務めた。また、本作ではコーエン兄弟の強い希望により、ライブシーンをすべて吹き替え無しで挑み、観る者の心を揺さぶる見事なギター・プレイと歌声を披露している。

ヒロインにはキャリー・マリガン。そして、ミュージシャンだけではなく、近年俳優としても精力的に活躍するジャスティン・ティンバーレイクらが顔をそろえた。

音楽にこだわることで知られるコーエン兄弟。シンガーをテーマにした本作でも、アメリカのロックシーンを代表するプロデューサー、T・ボーン・バーネットを音楽プロデューサーとして迎えたほか、キャリー・マリガンの夫でイギリスの人気フォーク・ロックバンド、マムフォード・アンド・サンズのマーカス・マムフォードが共同プロデューサーとしてサントラに参加している。

ギターと猫を抱えて旅に出るルーウィン

1961年、ニューヨークのグリニッジ・ヴィレッジ。フォーク・シンガーのルーウェン・デイヴィスは、最近なにをやっても裏目に出てばかりだった。レコードはまったく売れず、住む場所もなく、知り合いの家を泊まり歩く日々。追い討ちをかけるように、つい手を出した女友達からは妊娠したことを告げられる。

そんなトラブルつづきの日常から逃げ出すように、ルーウィンはギターと猫を抱えて人生を見つめ直す旅に出るのだった。

“フォークの革命児”ボブ・ディランが登場し、フォーク・シーンが劇的な変化を遂げる直前という時代のなか、移り行く時代のなかで懸命に生きるルーウィンをユニークな語り口と美しい映像で描いた本作。理想と現実の間で悩んだり、うまくいかない人生に悪戦苦闘している人たちに向けた、コーエン兄弟からの温かいエールだ。

『インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌』

5月30日（金）より、TOHOシネマズシャンテほか全国公開
監督・脚本│ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン
出演│オスカー・アイザック、キャリー・マリガン、ジョン・グッドマン、ギャレット・ヘドランド、ジャスティン・ティンバーレイク
配給│ロングライド
2013年/アメリカ/104分
http://www.insidellewyndavis.jp

Photo by Alison Rosa Ⓒ 2012 Long Strange Trip LLC