「Sクラス クーペ」の頂点が登場|Mercedes-Benz
CAR / MOTOR SHOW
2015年1月14日

「Sクラス クーペ」の頂点が登場|Mercedes-Benz

Mercedes-Benz S 63 AMG Coupe|メルセデス・ベンツ S 63 AMG クーペ

「Sクラス クーペ」の頂点が登場

メルセデス・ベンツは、3月のジュネーブ モーターショーでワールドプレミアしたメルセデスのあたらしいフラッグシップクーペ「Sクラス クーペ」の頂点に位置する「S 63 AMG クーペ」を、はやくも来たるニューヨーク モーターショーで発表する。セダンの「S 63 AMG」同様、フロントに最高出力430kW(585ps)、最大トルク900Nm(91.8kgm)を発生する総排気量5,461ccのV8ツインターボエンジンを搭載した。

Text by SAKURAI Kenichi

CL 63 AMGにかわるあたらしい最上級クーペ

3月のジュネーブ モーターショー発表されたばかりのメルセデス・ベンツ「S クラス クーペ」に、はやくもAMGバージョンが登場する。まもなく開幕するニューヨーク モーターショーでワールドプレミアされるのは、最高出力430kW(585ps)、最大トルク900Nm(91.8kgm)をもたらす総排気量5,461ccのV8ツインターボエンジンを搭載する「S 63 AMG クーペ」だ。

エレガントで刺激的なボディラインをもつのはSクラス クーペとかわらないが、より低くアグレッシブなデザインのフロントマスクを採用。2ドアのクーペスタイルに磨きをかけた。ホイールは標準サイズで19インチとなるが、オプションで20インチの大口径ホイールも選択可能だ。ひとめで、このクルマが、ただのSクラス クーペではないことが誰の目にもあきらかである。

S 63 AMG」(セダン)とおなじように類い希なドライビングダイナミクスを誇り、これは革新的ともいえる軽量化技術と、パワーと効率を両立させた「BlueDIRECT エンジン」によって支えられているという。

AMG 5.5リッターV型8気筒ツインターボエンジンは、もちろんBlueDIRECT エンジン ファミリーのなかで、「S 65 AMG」が搭載する、最高出力463kW(630ps)を得た6リッターV12エンジンに次ぐ強力なパワースペックを備えている。

それでは注目のS 63 AMG クーペの詳細を、エクステリアデザインから順に見ていくことにしよう。

Mercedes-Benz S 63 AMG Coupe|メルセデス・ベンツ S 63 AMG クーペ

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刺激的なエクステリア

S 63 AMG クーペは、そのスポーティなパフォーマンスを強調するために、刺激的なルックスを得ている。空力的な効果も兼ね備えたフロントエンドは、クロームシルバーで縁取られた3DデザインのAMG 「ツインブレード」を装備したラジエーターグリルが目をひくポイントだ。

バンパー下に配置された特徴的な「A-ウィング」は、フロントエプロンの幅全体にまたがり、AMGの頭文字「A」をモチーフにデザインされている。 左右の冷却用空気取り入れ孔や、クロームシルバーのフロントスプリッターは冷却系への空気の流れを効率的に設計したものであるという。ここには、最新のタイポグラフィによってデザインされた「V8 BITURBO」のレタリングも確認できる。こうした形状や機能は、モータースポーツからのフィードバックによるものだ。もちろん、フロントアクスルのリフトを軽減し、車両のエアロダイナミクスを最適化していることはいうまでもない。

ボディサイドでは、前後にマッチするようにクロームシルバーのアクセントを採用した立体的な形状を持つAMGサイドシルパネルを装備。大口径ホイールとともに、Sクラス クーペとは一線を画すフォルムを見るものにもたらす。

フロントのA-ウィングと呼応する高光沢のブラックディフューザーとクロームシルバーの低いトリムデザインを採用したリアビューは、デザインの統一性と、エレガントなクーペボディへの効果的なコントラストをもたらす。左右にあるスポーツフラップ付き「AMG スポーツエキゾーストシステム」のデュアルフィニッシャーパイプは、ディフューザーにインサートされている。テールランプの下には、あたらしいタイポグラフィを使用した「S 63」と「AMG」のエンブレムも装備されている。

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ラグジュアリークーペとしてもスポーツクーペとしても

エンジンは、すでに紹介したとおり最高出力430kW(585ps)、最大トルク900Nm(91.8kgm)出力を誇る5,461ccのV8ツインターボエンジン。「M157」と呼ばれるこのユニットは、AMGの伝統に則り、アフォルターバッハのファクトリーで未だ手作業によって組み立てられている。優秀なエンジンフィッターが「One Man One Engine(ひとり、ひとつのエンジン)」の理念に基づき、組み立ての全行程をひとりですべて担当するのもお馴染みの儀式だ。最上級の精度と生産品質は、AMGのマークとエンジン技術者の署名が入るエンジンプレートによって保証されるのだ。

このパワーユニットに組み合わせられるのは、AMGスピードシフトと呼ばれる、MCT 7段スポーツトランスミッションである。AMG スピードシフトMCTは、トルクコンバータに代わり湿式多板クラッチを採用することで、さらに高性能化を果たしている。マニュアルトランスミッションのようなダイレクト感と、スピーディなシフトチェンジ、そして高い伝達効率を実現するという。

走りの好みに合わせて任意に選択できる4つの走行モードを装備するのも特徴だ。燃費を重視した「C」モード(効率制御)、スポーティな「S」(スポーツモード)、ギアチェンジタイムがさらに短縮される「S+」モードのほか、自動シフトアップなどをおこなわずすべてをパドルでマニュアル操作する「M」モードが用意される。この「M」モードでは、シフトダウン時に電子制御でダブルクラッチ操作をおこなうブリッピング機能を備え、よりダイナミックな走りが堪能できる。ドライバーは、自らのドライビングスタイルに応じて、エクスクルーシブなセットアップを選択が可能だ。

「C」モードでは、自動消音排気フラップ付きAMGスポーツエキゾーストシステムにより、静粛性を保ちリラックスしたクルージングを約束するが、「S」モード以上では乾いたスポーティなV8サウンドが条件によってはフルボリュームで楽しめる。クルマの後方左右に振り分けられたスクエア形状のエキゾーストパイプは、AMGならではのアグレッシブなシンフォニーを奏でるのだ。

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FRのほかに4WDも用意

シャシーでは、S 63 AMG セダン同様後輪駆動のほか、S 63 AMG クーペにもオプションで、ハイパフォーマンス指向のAMG 4MATIC(全輪駆動)をラインナップする。エンジントルクは、フロント33パーセント、リア67パーセントの割合で配分され、FRライクな走りを保ちながら、絶大なトラクションを発揮。これによって後輪駆動の「S 63 AMG クーペ」の0-100km/h加速が4.3秒であるのにたいして、「S 63 AMG クーペ 4MATIC」では0.3秒も速い3.9秒で100km/hを達成する。ちなみにこれは、セダンにたいしても、0.1秒のアドバンテージを誇る数値である。もちろん4MATICは、ほかにウェット路面や冬の雪道などでの走行安全性を高める効果ももらしてくれるので、季節や路面環境を選ばず高いパフォーマンスを発揮する。

後輪駆動のS 63 AMG クーペが、マジックボディコントロールが装備されたエアサスペンション「AIRMATIC」を採用するのにたいして、4輪駆動のS 63 AMGクーペ 4MATICは、AIRMATICの進化版となるアダプティブダンピングシステム「ADS」を搭載した「AIRMATIC プラス」を標準装備した。

S クラス」でもお馴染みのマジックボディコントロールは、フロントガラス上部にあるステレオマルチパーパスカメラで15メートル先の前方路面の凹凸を検知。横Gセンサーとも連携するこの「ロードサーフェススキャン」機能によって、進行方向の路面状態に応じてあらかじめサスペンションのスプリングスラットと油圧ダンパーのオイル流量などを制御し、つねにボディをフラットな状態に保つ。いっぽうコーナリング時には、最大2.5度の車両の傾きを制御し、オンザレール感覚のハンドリングをもたらしてくれる。

マジックボディコントロールは、リラックスしたドライビングを愉しめる「コンフォート」モードと、AMGの本来の姿ともいうべきドライビングダイナミクスを披露する「スポーツ」モードという明確な2つのプログラムをもち、ユーザーはコースや気分によって、自由にセレクトが可能。このマジックボディコントロールがもたらす乗り心地やハンドリングは革新的とさえいえるもので、かつてない快適性とスポーティな走りを両立させている。

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パワーもラグジュアリーさも向上しながら軽量化

こうしたS 63 AMG クーペのパフォーマンスに貢献しているのが、先代にあたる「CL 63 AMG」比で約65kg軽量化されたボディウェイトである。よりパワフルなエンジンと、豪華な室内装備や各種電子デバイスを採用しているにもかかわらず重量を削減できたのは、たとえば軽量のリチウムイオン電池の使用や、より軽量なAMGアルミホイールの開発、鍛造化されたAMG高性能複合ブレーキシステムなどのほか、ボディ外板や前後のエアロパーツでのアルミニウムをはじめとする軽量素材の採用などが挙げられる。

もちろん、この徹底した軽量化対策は燃費向上の立役者にもなっている。CL 63 AMGにくらべて、エンジン出力は30kW(41ps)と100Nmも増加されたが、100kmあたりの燃料消費量(NEDC)は10.1リットル(リッター9.9km)と、プレミアムLセグメント2ドアモデル中でもっとも燃料効率の良いモデルになっているという。スポーティなクーペに求められるパフォーマンスと、効率性、環境適合性のバランスは、環境性能をリードするメルセデス ブランドのフラッグシップにふさわしいと評価できるはずだ。

大げさな空力的負荷物こそ採用されていないものの、前後のデザインや低められた車高、大口径ホイールの採用によってひと目でAMGと認識させるS 63 AMG クーペのエクステリアは、ラグジュアリーなフォルムと、アグレッシブなディティールのバランスがみどころだ。標準仕様では、チタングレーでペイントされたマルチスポーク鍛造ホイールが装備されている。サイズはフロント8.5×19、リアが9.5×19インチで、それぞれ255/45R19、285/40R19サイズのタイヤを組み合わせている。

ホイールは、オプションで「AMG パフォーマンススタジオ」が手がけるチタングレーでペイントされた高光沢仕上げのリムをもつ10スポークまたは、5本スポークの鍛造ホイールを選択することも可能だ。この鍛造アルミ製のホイールは、センターロック風デザインのホイールボルトカバーを採用。スポークのうちの1本にAMGのロゴが付けられているほか、マットブラックで塗装することもできる。

ブレーキは、より制動距離を縮め重量が最適化された、耐フェード性能の高いAMGセラミック高性能複合ブレーキシステムをオプションで用意した。標準仕様にくらべ20パーセント以上軽量化を施し、バネ下重量の低減だけでなく、フラッグシップクーペならではのドライビングダイナミクスや、ストッピングパワーをもたらす。

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メルセデスとして贅を尽くした内装

最後になったが、メルセデスのラインナップで、もっとも贅沢なつくりの内装もまた「S 63 AMGクーペ」の見どころだ。インストルメントパネルは、ほぼシームレスにドアにまでつづくラップアラウンドデザインを採用。高品質な素材用いた細かなフィニッシュは、じつにエクスクルーシブな雰囲気を醸し出している。電動調整機能と、メモリー機能、シートヒーターを内蔵した新開発のAMGスポーツシートは、ファインナッパレザー仕上げ。フロントセンターコンソールのアームレストにエンボス加工の「AMGエンブレム」を、さらにすべてのシートバックにAMGのバッジを備えている。

Dシェイプデザインのあたらしい3スポーク AMGスポーツステアリングは、アルミシフトパドルや、エアコンのエアアウトレットとのデザイン的なコーディネートを実施。高解像度TFTカラーディスプレイを2枚繋げたメーターパネルは、「S クラス」などと同様だが、メーター部分のデザインは、AMGのオリジナルである。アニメーション化された丸いダイヤル付きのレッドとシルバーのレタリングや針が特徴的なAMGメーターパネルは、エンジン起動のさい330km/hスケールのスピードメーター内にAMGのロゴが、タコメーター内に「V8 BITURBO」のレタリングが表示される。

S 63 AMG クーペは、まもなく開催されるニューヨーク モーターショーでワールドプレミアされ、先に4WDの「S 63 AMG クーペ 4MATIC」を4月から受注をおこない、 7月から後輪駆動の「S 63 AMG クーペ」を受注開始するが、両モデルともデリバリーは9月以降となる。

また発売から1年間は、スワロフスキーのクリスタルを使用したLEDヘッドランプや、ナイトアシストプラス、デジーノ デザインのブラック/クリスタルグレーまたはベンガルレッド/ブラックのナッパレザー製AMGスポーツシート、ハイグロスブラックポプラウッドトリムなどの採用にくわえ、フロントとリアセンターアームレスト、ルーフライナーとサンシェードを「ダイナミカ マイクロファイバー」としたエクスクルーシブなスペシャルモデル「エディション 1」を発売する。「エディション 1」は、これまでの例をみれば、日本でも販売されるはずなので、日本正式発表のさいはぜひ注目していただきたい。

           
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