日本再上陸した新型フィエスタに試乗|Ford
CAR / IMPRESSION
2015年1月14日

日本再上陸した新型フィエスタに試乗|Ford

Ford Fiesta 1.0 EcoBoost|フォード フィエスタ 1.0 エコブースト

フォードのちいさな実力車

日本再上陸した新型フィエスタに試乗

2月1より日本でも発売されているフォードのエントリーモデル「フィエスタ 1.0 エコブースト」は、その名称からもわかるように、排気量1リッターの3気筒ターボエンジン「1.0 エコブースト」を搭載したFFモデルである。しかし、エントリーモデルとは侮れない、走りと質感を両立させた実力派の欧州コンパクト車でもあるのだ。

Text by SAKURAI KenichiPhotographs by ABE Masaya

世界中で販売されるグローバルプロダクト

フォード ジャパンから登場したBセグメントコンパクトカー「フィエスタ 1.0 エコブースト」は、昨年導入された「フォーカス」や「クーガ」など一連の欧州開発のニューモデルにつづく、フォードの新世代デザインを採用したグローバルプロダクトだ。

フォードではこのグローバルプロダクトの展開を「One Ford」戦略と呼ぶ。これまでは、世界各地で独自に仕様地向けモデルを開発・販売していたが、今後はグローバルクオリティの車種を開発し、それを世界中で販売するという。

日本に導入される「フィエスタ」は、ドイツのケルン工場で生産されるものだ。フォーカスは2012年にオープンした最新設備をもつタイのラヨーン工場で生産されるモデルだったが、その後日本導入を果たしたクーガは、スペインのバレンシア工場製。この例ひとつ取っても、フォードがいかに世界各国に拠点をもち、それらを駆使しグローバル戦略を図ろうとしているのかがわかろうというものだ。

フォードというアメリカンブランドから、どうしても大型のSUVや「マスタング」に代表されるスポーツモデルのイメージが強いものの、フィエスタは、じつは1976年に欧州で初代がデビューした歴史あるモデルである。累計販売台数は1,500万台を超え、永年にわたり欧州ユーザーの足となって移動を支えてきた人気車種なのだ。

これまで世界140カ国以上で販売され、2012年の販売台数は72万3,130台超。日本ではフォルクスワーゲンの「
ポロ」やプジョーの「208」などがライバルとしてあげられるが、じつはフィエスタこそが、Bセグメントモデル販売台数ナンバー1の記録保持車なのだという。

Ford Fiesta 1.0 EcoBoost|フォード フィエスタ 1.0 エコブースト

フォードのちいさな実力車

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リッターカーとはおもえない走り

日本に導入される「フィエスタ1.0エコブースト」は、その車名からもわかるように、総排気量997ccというフォードのガソリンエンジンラインアップのなかで、もっともちいさな3気筒ターボエンジンを搭載している。最新の直噴ターボ技術や吸排気独立可変バルブタイミング機構、6段デュアルクラッチトランスミッションなどを組み合わせたこのエンジンは、2012年と2013年の2年連続で「インターナショナル エンジン オブ ザ イヤー」を受賞。世界的な評価も高いユニットである。

わずか1リッターの排気量ながら74kW(100ps)の最高出力と、170Nm(17.3kgm)の最大トルクを発生するパフォーマンス、JC08モードでリッターあたり17.7kmの低燃費性能が「1.0 エコブースト」エンジンの持ち味だ。力強い発進トルクや流れにのって加速するそのスポーティな走りからは、とてもこのエンジンがわずか1リッターの排気量しかないとはおもえないほどだ。

おそらく何も聞かされずフィエスタのステアリングを握り走り出してしまったら、だれもこのクルマがリッターカーだとはおもわないはずだ。

それほどまでのキビキビ感や、パワフルな加速力が味わえる。アクセルを踏み込み、高速道路で合流しようとする一般的なBセグメントカーが少々苦手とするシーンでも、6段DCTが素早く変速し、力不足は一切感じない。

これまでであればエンジンがうなり、一生懸命さが伝わってくるはずだが、余裕ある加速力は1.6リッター、いや2リッタークラスのそれと勘違いしそうになるほどだ。これは決して大げさではなく、そうしたシーンでは誰もがそのポテンシャルを実感するはずである。

Sレンジにいれると、シフトレバー横のスイッチ(セレクトシフトモード)でマニュアル変速をおこなえるが、これだけフリクションロスの少ないスポーティな変速が可能なのであれば、ステアリング横にパドルスイッチがあっても良いとおもうほどである。

Ford Fiesta 1.0 EcoBoost|フォード フィエスタ 1.0 エコブースト

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最新のフォード デザインをまとう

ボディデザインは、フロントグリルを強調するあたらしいアイデンティティを構築。日本には未導入だが、北米で販売されているEセグメント強のボディサイズをもつ「トーラス」や、その下の「フュージョン」などもすでにこのフロントフェイスを採用している。ジュネーブ モーターショーでは、「フォーカス」もマイナーチェンジを受け、おなじ一連の顔つきに進化している。

大きなグリルと切れ長のヘッドライトが注目を集めてしまうが、ソリッドなボディデザインはなかなかスポーティで、ダイナミック。ホイールは16インチサイズが標準仕様で、いかにも走りがよさそうな印象を佇まいからも表現している。

リアにゆくに従って斜め上に向かうボディサイドのキャラクターラインや、狭められているサイドウィンドウの形状、そしてタイヤを強調するボリュームあるフェンダーのデザインが、おそらくそうイメージさせるのだろう。Bセグメントモデルは女性ユーザーも多いのでやさしげなデザインを採用する車両も少なくはないが、フィエスタのデザインは、見方によってはなかなか硬派といえそうだ。

インテリアデザインは、先に登場したフォーカスの流れをくむいかにもフォード流という仕上げである。立体的な形状のダッシュボード上に、各種スイッチを配置したデザインは多少ビジーな感じも受けるが、オートエアコンやSYNC(Bluetoothを用いた音楽再生や携帯電話のハンズフリー機能を音声でコントロール可能なフォード独自のドライバーコネクトテクノロジー)と組み合わせられた8スピーカー プレミアムサウンドシステムなど、その充実した装備の採用や質感は、これまで知るエントリーモデルのレベルを超える。

とくに人間工学に基づき設計された操作系は、見やすく、直感的に使いやすいレイアウトになっている。どこのメーカーかさえわかり辛い日本車のインテリアとは、比較にならないほど主張がある。ちなみにドアポケットやカップホルダー、グローブボックス上部には、赤くほのかに光るアンビエントライトも装備し夜間走行時を彩るが、リクエストさせて貰えるのであれば、こちらのカラーリングはメーター照明などとコーディネートしたブルー系が個人的には望ましい。

Ford Fiesta 1.0 EcoBoost|フォード フィエスタ 1.0 エコブースト

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上級モデルに負けない全方位クオリティ

フィエスタには、前方衝突のリスクを回避する低速時自動ブレーキシステム「アクティブ シティ ストップ」や7つのエアバッグなど、フォーカスにも採用されているセーフティテクノロジーを投入。クラスを超えた安全性を確保している。また、既報の通り世界の女性ジャーナリストが選ぶ2013年の「ウーマンズ ワールド カー オブ ザ イヤー(WWCOTY)」の栄誉にも輝くなど、世界的な評価も高い。

都市部では、4メートルを切るこのサイズがアドバンテージを発揮し、高速走行では、クラスを感じさせないスポーティな走りが味わえるフィエスタ 1.0 エコブースト。若者層のエントリーモデルとしてはもちろんのこと、ダウンサイジングをかんがえる中高年の愛車候補としても、ブランド力、クオリティ、そしてパフォーマンスともに合格点があたえられるBセグメントモデルだと紹介できそうだ。

余談だが、フォードではこのフィエスタをベースにしたクロスオーバーモデル「エコスポーツ」の日本導入も年内中に予定している。フィエスタとともに注目したいのはもちろんだが、プジョー「2008」やルノー「キャプチャー」、そして新型「MINI」なども登場した今年のBセグメント市場は、なかなかホットである。

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Ford Fiesta 1.0 EcoBoost│フォード フィエスタ 1.0 エコブースト
ボディサイズ│全長 3,995 × 全幅 1,720 × 全高 1,475 mm
ホイールベース│2,490 mm
トレッド 前/後│1,470 / 1,460 mm
車両重量|1,160 kg
エンジン│997 cc 直列3気筒DOHC インタークーラー付ターボ
最高出力│74 kW(100 ps)/6,000 rpm
最大トルク│170 Nm(17.3 kgm)/1,400-4,000 rpm
トランスミッション│6段デュアルクラッチ(6段パワーシフト)
駆動方式│FF
タイヤ│195/45R16
ブレーキ前│ベンチレーテッド ディスク
ブレーキ後│ドラム
サスペンション 前|マクファーソンストラット
サスペンション 後|ツイストビームトレーリングアーム
燃費(JC08モード)│17.7 km/ℓ
最低地上高│165 mm
最小回転半径│5.0 m
価格│229万円

フォードお客様相談室
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