JOHN LAWRENCE SULLIVAN|世界を魅了する“日本のモノ作り”とは
FASHION / NEWS
2015年5月14日

JOHN LAWRENCE SULLIVAN|世界を魅了する“日本のモノ作り”とは

こだわりのプロダクトで世界を魅了するデザイナー、柳川荒士が登場

クリエイションの背景にある“日本のモノ作り”(1)

現代の、強く美しい男性像を描き出す、「JOHN LAWRENCE SULLIVAN(ジョン ローレンス サリバン)」。発表の場をパリに移してからも、世界のバイヤーやファッショニスタから高い評価を得ている。今回はデザイナーである柳川荒士氏に、ショーだけでは伝わらない、プロダクトにたいするこだわりを2014年春夏の代表作を通じて語ってもらった。

Photographs by JAMANDFIXText by KAWASE Takuro

光を得ることであらたな魅力を見せるコレクション

名だたるラグジュアリーブランドが気鋭のデザイナーを起用して、華々しいランウェイで新作を披露するパリのランウェイショー。その舞台で、インディペンデントな姿勢を貫きながら、東京発のクリエイションで勝負しているブランドが、ジョン ローレンス サリバンだ。

デザイナー柳川氏が影響を受けたテーラリングを軸に、モダンでクリーンな世界観を展開。シャープで力強いシルエットが持ち味である。今季はジェームズ・タレルやドナルド・ジャッドといったモダンアート、安藤忠雄の建築からインスパイアを得たコレクションとなった。

JOHN LAWRENCE SULLIVAN|クリエイションの背景にある“日本のモノ作り” 02

JOHN LAWRENCE SULLIVAN|クリエイションの背景にある“日本のモノ作り” 03

「モダンアートに見られる光と陰の表現やステンドガラスから着想を得て、今季はとくに素材感とカッティングを追求しました。具体的には光が透ける素材として、軽く極薄のペーパーナイロンを採用したり、ブロックチェックのコットン生地の上に黒いオーガンジーを接結したり、光によって見え方に変化が出るように工夫しています。
縫製が難しいペーパーナイロンを使ったジャケットやコートについては、同生地を芯地にして襟型をきっちり出しています。それから、普段はネクタイ用のシルクを作る工場に依頼して、光沢とハリのあるブロックチェックの生地を作り、ジャケットやスーツに使いました。ここ数シーズン使っているツイードについても、リネンとシルクという異なる繊維を織り込んだオリジナルの生地です」

いまや多くの海外の有名ブランドですら、いわゆる“有りモノ”の生地を使い、アイテムごとに異なるオリジナル生地を使うことは少なくなっている。それは、オリジナル生地を使用するために相当量を一度に注文しなければならず、コストが膨大になるからだ。ヨーロッパではとくに、小規模なロットに対応する工場が少なくなってきているという。

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糸色が異なるシルクとリネンで織り上げた、オリジナルのサマーツイード。独特な凹凸感とハリがあるのが特徴。巧みなパターンによってダーツ位置を導き出し、メンズではめずらしいコクーンシルエットに仕立て上げた。(参考商品)

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今季のコレクションでも特徴的なブロックチェックだが、こちらはコットン生地の上にシルクオーガンジーを重ねた生地を採用したジャケット。接結という技術を用い、異なる2枚の生地を表裏にして、職人がビーム織機で織り上げている。

「やはりランウェイの印象とそこでの評価は大事ですが、実際に展示会でサンプルを見てくれる海外のバイヤーが、クオリティの高さを評価してくれるのはうれしいですね。なかでも生地について尋ねられることが多いです。海外では生地を発注するハードルが高いんです。でも、日本には小ロットにも対応してくれる工場がまだまだたくさんある。僕のように日本でモノ作りをするデザイナーにとって、これは大きな利点でもあります。

僕の場合、まずコンセプトに沿ったシルエットを考え、生地のハリ感やオチ感をどのように出すか、ある程度、頭のなかで計算してコレクションを作り上げていきます。だから、生地からオリジナルであることがとても重要なのです。なるべく多くの工場に足を運んで、現場の職人さんとコミュニケーションを取るようにしています。そうすることで、“あんなことも、こんなこともできるんじゃないか?”とたくさんのアイデアが湧いてきますから。シルクにかんしては新潟と山形で、ウール、メルトンは青森と、素材によって工場を使い分けています。こうした職人さんたちのおかげもあって、海外での評価に繋がっているのです。職人さんにはいつも無理をきいてもらってばかりで、申し訳ないんですけど(笑)」

こだわりのプロダクトで世界を魅了するデザイナー、柳川荒士が登場

クリエイションの背景にある“日本のモノ作り”(2)

Photographs by JAMANDFIXText by KAWASE Takuro

リアルクローズとして、そして次なるテーラードを目指して

そもそもジャケットのデザインは非常に伝統的で、その製法もあまり変わっていない。イタリアのサルトリアのように、英国生まれのテーラードを、軽くやわらかく仕立てるという進化はあるが、それもあくまでクラシックがベースとなっている。テーラードをブランドの軸とする柳川氏にとって、次なるテーラードのあり方とはどんなものなのだろうか。

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「軽くするとか、やわらかくするという方向性ではありません。僕はジャケットに袖を通したときに、背筋がビシッとする感じが好きなんです。だから芯地もしっかり使っていて、多少重くても構わないとおもっています。でも、決してイギリス的なテーラリングだけにこだわっているわけでもないのです。今季僕が挑戦したのは、あたらしいフォルムの追求でした。女性ものではよく使われているコクーンシルエットを、メンズで表現したジャケットがそうです。

このジャケットはかなり攻めたデザインですが、いままでのお客さんにも受けが良く、ジャーナリストからも評価されたのがうれしかったですね。コレクションは当然ですが、バイヤーさんやジャーナリストには、やっぱり展示会にも来て欲しいんです。そこでの評価がすぐにビジネスに結びつくことにはならないとしても、その先のセールスに繋がるわけですから。仕方のないことなのかもしれませんが、どうも日本のジャーナリストは雰囲気に左右されがちで。パリのジャーナリストは反応がダイレクトなんですよ。彼らの言葉が、確実に評価が上がっていることを感じさせてくれます」

ジョン ローレンス サリバンを語る上でしばしば使われる“シャープ”という言葉。構築的なジャケットの面白さを引き出す上で、カッティングは重要な要素となっている。

「国内ではよく、うちのブランドは細いと言われるのですが、海外では“シャープ”とか“エッジー”と呼ばれることが多いです。単に細いことがシャープなのではなくて、身体のラインにちゃんとフィットしていることが大事。
実際、袖を通してもらえればお分かりいただけるはずですが、見た目がかっちりしていても着心地がいいんです。それに、単品でも着回しやすいということも知ってもらえるとうれしいですね。

JOHN LAWRENCE SULLIVAN|クリエイションの背景にある“日本のモノ作り” 08

多くのお客様に、手持ちのジーンズやスウェットに、ジョン ローレンス サリバンのチェスターやジャケットを合わせて楽しんでいただいています。いくつものトレンドを経験した30代以上の男性にこそ、まずは袖を通してもらいたいですね。素材や仕立てにこだわっていますので、長く着てもらえるはずです」

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展開するスタンダードアイテムのなかから、ネックバインダーをニット生地にしたTシャツを柳川氏がレコメンド。単にニットを縫い合わせたのではなく、特殊な織りによってボディとネックは繋がっているのだ。

JOHN LAWRENCE SULLIVAN|クリエイションの背景にある“日本のモノ作り” 10

建築から受けたインスピレーションを元にした、アーティスティックなグラフィックをプリント。今季を象徴するアイテムのひとつで、ランウェイではさまざまなレイヤードに組み込まれて披露された。

JOHN LAWRENCE SULLIVAN|クリエイションの背景にある“日本のモノ作り” 11

経糸にシルク、緯糸にポリエステルを織り込んだ生地でボーダーを表現したショーツ。2種の糸の繊維組織を変えながら織り上げることで、光の当たり具合で美しい光沢を放つオリジナル生地だ。

インタビューの主題となったテーラードのアイテム以外にも、カットソーやレディスのショートパンツなどをラインナップする。素材、シルエット、デザイン、すべてにおいて、ブランドの哲学が貫かれている。

ファッション業界やクリエイターたちからも熱烈な支持を受ける、ジョン ローレンス サリバン。こだわりの強い玄人たちが好んで着用しているのは、柳川氏が生み出すクリエイションが、単にランウェイを華々しくするだけのものではなく、着る人のパーソナリティを引き出す、真のリアルクローズでもあるからだ。

ジョン ローレンス サリバン
Tel. 03-5428-0068

           
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