アルファ4C欧州でデリバリー開始|Alfa Romeo
CAR / NEWS
2015年1月20日

アルファ4C欧州でデリバリー開始|Alfa Romeo

Alfa Romeo 4C|アルファ ロメオ 4C
いよいよ欧州で公道を走り始める

アルファのライトウェイトミッドシップカー「4C」デリバリー開始

「ジュリエッタ」譲りの最高出力240psを誇る1.75リッター直4ターボエンジンを車体中央に搭載する、アルファ ロメオの2シーターライトウェイトミッドシップカー「4C」が、いよいよ欧州でのデリバリーを開始する。「ティーポ33ストラダーレ」へのオマージュとして生まれたニューモデルの詳細を、日本上陸よりも一足先にお伝えしよう。

Text by SAKURAI Kenichi

21世紀に蘇った「ティーポ33ストラダーレ」

今年3月のジュネーブモーターショーでワールドプレミアをおこなった、アルファロメオ「4C」のデリバリーが、まもなく欧州のアルファロメオ ディーラーで開始される。4Cは、1967年にわずか18台が販売された「ティーポ 33 ストラダーレ」へのオマージュとして誕生。これまで、OPENERSでも正式発表前のモデルがサーキットでおこなったテスト走行の模様や、ワールドプレミアの瞬間をお伝えしてきたが、欧州での受注を前に、より詳細な情報がリリースされた。

アルファロメオ 4Cは、「ジュリエッタ」ゆずりの最高出力240psを発揮する1.75リッター直4ターボエンジンをミッドに横置き搭載する後輪駆動モデル。キャビンは2シーターで、わかりやすくいえば、ロータス「エリーゼ」にちかいディメンションや成り立ちをもつ、ライトウェイトミッドシップモデルだ。

おなじミッドシップという点では、ポルシェケイマン」などもライバルの範疇に入るかも知れないが、ラグジュアリーなイメージをもたせながらスポーティさを強調するコンセプトをみると、過去販売されていたロータス「ヨーロッパ S」にちかい存在といえそうだ。

では、この21世紀生まれのライトウェイトスポーツカーの基本構成から見ていくことにしよう。

Alfa Romeo 4C|アルファロメオ 4C

Alfa Romeo 4C|アルファロメオ 4C

見まごうことなき“アルファ ロメオ”を主張するエクステリア

2007年に発売された「8C コンペティツィオーネ」以降の「アルファ ロメオ」、すなわち「ミト」や「ジュリエッタ」に共通するデザインテイストで構成されたアピアランスは、すぐに誰もが迷うことなく「アルファ ロメオ」だと認識可能な特徴あるものだ。コンパクトなボディサイズは、全長3,989×全幅1,864×全高1,183mm。ホイールベースは2,380mmである。写真や映像でみるよりも、実車はかなりコンパクト。これは、幅こそ広いものの、ロータス エリーゼ シリーズにきわめてちかいサイズ感である。

デザインは、アルファロメオのチェントロ スティーレがおこなった。伝統的なフロントグリルがあたえられたフロントマスクの左右には大きなエアインテークが用意され、その上のフェンダーを繋ぐライン上にフルLEDのヘッドライト(オプションで選択)がおさまる。

ドア中央部には、太いステーをもつドアミラーがそなえられた。ドアを過ぎたリアフェンダー手前には、ミッドシップモデルの証ともいえる、左右のエアインテークを用意。ウィンドウは、フロント、ドアサイド、リアの4枚で構成。したがってAピラーの次は、すぐにリアゲートを支えるBピラーとなる。このBピラーには、フューエルリッドが組み込まれている。

リアは、特徴的な丸形デザインのリアライトを左右に配置。これも「8C コンペティツィオーネ」や「ミト」とのつながりを如実に感じさせる意匠だ。とはいえ、そのルーツは「ティーポ33ストラダーレ」にみることができ、アルファのレーシングDNAやスピリットをこのモデルでも受け継いでいることをしめしている。空力性能を最適化するために、リアスポイラーとエキゾーストパイプ下に、大型のディフューザーを配置。リアスポイラーは、オプションで装着の有無を選ぶことができる。

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アルファのライトウェイトミッドシップカー「4C」デリバリー開始 (2)

スポーツカー然としたインテリア

アルファ ロメオ「4C」のインテリアは、スポーツカー然としたレイアウトとデザインが特徴だ。コンセプトカーの未来的な要素は薄まったが、カーボンやアルミのアクセント、そして本革のコンビネーションは、アルファ ロメオらしい仕上がりだ。カーボンモノコックタブの形状とデザインを活かし、ドアシルではカーボン地をそのまま見せるデザインを採用。乗り降りのさいに、高性能スポーツカーであることを否応にでも意識させる。

ダッシュボードは平凡な作りだが、小さなメーターナセルの中には、疑似アナログメーターが映し出され、モードによってデザインが切り替わる。このデザインは、オートバイをイメージしたのだという。D字シェイプのステアリングホイールはきわめて小さく、このメーターがちょうど読み取れるサイズになっている。デュアルクラッチトランスミッションだけを搭載する関係で、シフトノブはもはや存在せず、センターコンソール上には、DNAシステムセレクターとTCTトランスミッションセレクターを配置するのみだ。

Alfa Romeo 4C|アルファロメオ 4C

Alfa Romeo 4C|アルファロメオ 4C

徹底的に軽量化されたボディとシャシー

乾燥重量はわずかに895kg。これがアルファ ロメオ 4Cのたぐいまれなパフォーマンスの源だ。車両ボリューム全体の25パーセントは、カーボン製のモノコックタブ。これは、F1マシンのボディを作るさいにもちいられる手法で、かのフェラーリ「F50」や「エンツォ フェラーリ」、最近ではマクラーレン「MP4-12C」に使用されていることでも知られている。重量はわずか65kgしかない。このカーボンモノコックタブをボディの中心に置き、前後のアルミ製フレームと結合。リアのバルクヘッドやルーフを支えるフレームにも、アルミを使用した。前後重量配分はフロント38パーセント、リア62パーセントと発表されている。

ボディ外板は、SMC (シート モールディング コンパウンド)を使用。これは、従来の鋼板に比較して20パーセントの軽量化を実現しつつ、設計の自由度が高いために、個性的なデザインを採用できるというメリットがある。また、アルミニウムとは対照的に、軽微な衝突でも変形しない安定した素材である。

バンパーには、PUR-RIM(注入ポリウレタン)を採用した。こちらも鉄製にくらべ20パーセントの軽量化を実現する。さらに、ウィンドウ自体もスリム化し、平均重量を15パーセント低減した。これによりフロントガラスは、わずか4mmの厚さになっている。

Alfa Romeo 4C|アルファロメオ 4C

サスペンションは、フロントにダブルウイッシュボーン式、リアにストラット式を採用。これらは、アルミ製のサブフレームにマウントされている。タイヤはフロントが205/45R17、リアが235/40R18をベースに、最大フロント205/40R18、リア235/35R18にまで拡大可能だ。ブレーキはブレンボ製で、フロントに305×28mm、リアに292×22mm径のドリルド ディスクローターを採用、キャリパーは4色の中から選択可能になっている。

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アルファのライトウェイトミッドシップカー「4C」デリバリー開始 (3)

4C向けに進化したパワートレーン

エンジンは、ジュリエッタにも採用されている、アルミブロック製の総排気量1,750ccの直列4気筒直噴ターボ。ただし、このエンジンは「4C」搭載にあたり、「ジュリエッタ クアドリフォリオ ヴェルデ」のそれよりも22kg以下の軽量化に成功している。

最高出力240ps/6,000rpm、最大トルク350Nm(35.7kgm)/2,200-4,250rpmというベースエンジンにプラスアルファのパフォーマンスをそなえ、スペックはリッターあたりに換算すると137ps 、200Nm(20kgm)以上で、クラス最強を誇る。最高速度は258km/h、静止状態から100km/hには4.5秒で達する。これは、大排気量エンジンを積むより、軽量なボディにじゅうぶんなパフォーマンスをそなえたエンジンを搭載し、最高速度や加速性能を確保するという21世紀型のスーパーカーのプロフィールともいえるだろう。

ギアボックスには、6段のアルファ TCT デュアルクラッチ トランスミッションを採用した。変速プログラムは「4C」用にあたらしく書き換えられ、すべての最新世代のアルファ ロメオと同様にDNAセレクターを装備している。

ただし、この走行モードセレクト用の電子デバイスは、4C用に進化。スポーツ走行用の「D=ダイナミック」、市街地走行用の「N=ノーマル(本国ではナチュラル)」、雨天や雪道など滑りやすい路面用の「A=オールウェザー」の3つの走行モードにくわえ、今回あらたに「R=レース」モードをくわえている。

Alfa Romeo 4C|アルファロメオ 4C

「レース」モードはもっとも過激なパフォーマンスモードで、「ダイナミック」の位置にモードセレクターを動かし、5秒ホールドすることによって切り替わる。このモードでは、電子システムの介入を最小限に抑え、ドライバーの操作を最大限に尊重。車両コントロールの余地を残すようになっている。 ESCは、急ブレーキの下のみアクティブになり、 ASRは、加速かブレーキの操作でのみ介入する。これによって、4Cは、後輪駆動のミドシップマシンらしいドリフト走行も自在におこなえる、とアルファ ロメオは自信を持って説明する。

Alfa Romeo 4C|アルファロメオ 4C

Alfa Romeo 4C|アルファロメオ 4C

マセラティとのコラボレーションによる生産

アルファ ロメオは、4Cのワークショップ、 すなわちボディシェルの製造とアセンブリーラインをモデナのマセラティの工場内に新設した。テストと最終確認のラインも、マセラティの生産と共有されている。塗装のみが、マセラティの工場外で行われている唯一のプロセスである。

これは、かのアルファ ロメオ「8C Competizione」いらいのアルファ ロメオとマセラティのコラボレーションになる。最新の技術とマテリアルを使用しながら、最高品質を生み出す職人の技が、このユニークなクルマの生産を支えているのである。

10月から、「ローンチエディション」と呼ばれる最初の1,000台のデリバリーがはじまると同時に、標準モデルの本格的な生産もスタートする。価格は、56,000ユーロからと発表されている。



Spec|スペック

Alfa Romeo 4C|アルファ ロメオ 4C
ボディサイズ|全長 3,989 × 全幅 1,864 × 全高 1,183 mm
ホイールベース|2,380 mm
重量|895 kg
エンジン|1,742cc 直列4気筒 直噴DOHC ターボ
最高出力| 177 kW(240 ps)/ 6,000 rpm
最大トルク|350Nm/ 2,200-4,250 rpm
トランスミッション|6段オートマチック(6段アルファTCT)
駆動方式|MR
サスペンション 前|ダブルウィッシュボーン
サスペンション 後|ストラット
タイヤ 前/後|205/45R17 / 235/40R18
ブレーキ 前|ベンチレーテッドディスク 305×28 mm
ブレーキ 後|ベンチレーテッドディスク 292×22 mm
最高速度|258 km/h
0-100km/h加速|4.5 秒
100-0km/h減速|36 m
燃費(NEDC値)|6.8 ℓ/100km(およそ14.7km/ℓ)
CO2排出量|157 g/km
燃料タンク容量|40 ℓ
トランク容量|110 リットル
価格|56,000 ユーロ

           
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