MARGARET HOWELL|血脇孝昌が語る「マーガレット・ハウエル×ペグマン」の魅力
FASHION / MEN
2015年1月23日

MARGARET HOWELL|血脇孝昌が語る「マーガレット・ハウエル×ペグマン」の魅力

オールデン正規輸入代理店ラコタ社長

血脇孝昌が語る、靴「ペグマン」の魅力(1)

マーガレット・ハウエルが目指すものとおなじ方向性をもつブランドとのコラボレーションは、現在のマーガレット・ハウエルを知る上でとても重要なことだが、アメリカを代表する靴「オールデン」の正規輸入代理店で、オリジナルシューズ「ペグマン」を展開するラコタ社との取り組みも注目されている。ラコタ社長の血脇孝昌氏は、「コラボレーションのお話をいただいて、さまざまな角度から検証し、一回で想像通りのものができあがって、本国イギリスでもOKをいただき、ペグマンの別注がスタートしました」と語る。

Text by KAJII Makoto (OPENERS)Photographs by TAKADA Miduho

アメリカとイギリスの掛け合わせから誕生した「ペグマン」別注

ラコタ社は、1994年からオールデンの日本の正規輸入代理店を務め、来年で20年になります。日本ではセレクトショップの伸長とともに愛用者が増えてきたオールデンですが、弊社の直営店、青山の「ラコタハウス」のお客さまなどから、雨の日でもOKで、流行に左右されず、リーズナブルな価格で気軽に履けるユーティリティシューズがほしいという声を多くいただきました。

私もタイミングが合えばいつか作りたいと思っていましたが、あるとき叔父から中国のハンドソーンウエルトを得意とする靴工場を紹介され、技術は確かだったので、日本から木型を持ち込み、2年半ほど試行錯誤し、ハンドソーンウエルト製法で、革はフランスから、ソールはオリジナルという「ペグマン」を立ち上げました。

スタートして3年になりますが、履き心地の良さに直結する、革、ライニング、ソールなどの素材や部材は年々レベルアップしていて、現在はシーズンに新作1型をくわえながら、定番として展開しています。

マーガレット・ハウエル|ラコタ 02

マーガレット・ハウエルとの別注では、ハウエルらしい雰囲気を重視。デザインはアメリカのミリタリーをベースに、イギリス的な木型を用い、デニムからスーツまでフィットするペグマンを作りました。全体的にはイギリスの靴の雰囲気で、汎用性の広さはオールデンと似ているという、いいとこ取りの別注ができあがりました。

今シーズンの別注、チャッカブーツも、ペグマンの3アイレットチャッカブーツをベースに、細かなところまでリクエストをいただき、オリジナルとはちがった雰囲気をもつ一足となっています。デザイン以外でも、ハンドソーンウエルトならではのフィット感を重視した包み込むようなフィーリングもぜひお試しください。

マーガレット・ハウエル|ラコタ 03

マーガレット・ハウエル|ラコタ 04

アメリカ文化とオールデンの靴との衝撃的な出合い

私とオールデンとの出合いは高校時代までさかのぼります。60年代の後半、まだ雑誌『POPEYE』が出る前、高校生の私はアメリカかぶれのファッションが好きで、英語の先生がアメリカ人だったこともあり、アメリカンカルチャーに興味が湧き、ますますアメリカに傾倒していきました。高校3年のときに、友だち3人で、アンカレッジから入って、西海岸を南下してハワイまでYMCAなどに泊まりながら1カ月の旅に出ました。サンフランシスコに着いたら、ちょうどベトナム戦争中のヒッピームーブメントがはじまったころで、若者たちはロングヘアに、フレアパンツで、PP&Mやスコットマッケンジーの歌を歌っている人たちがいて、自分たちの想像とまったくちがっていました(笑)。

それと、アメリカに行く前に、先生から、「ブルックスブラザーズに格好良いコードバンの靴がある」と聞いていて、サンフランシスコのお店で見たペニーローファーは気絶するほど格好良かったんです。それをのちにオールデンが作っていることを知りました。そのペニーローファーは高くて買えませんでしたが、セールでフローシャイムの靴を買って帰ってきました。当時から靴は好きでしたね。そして、大学卒業後アメリカ遊学の帰りに最初のオールデンのローファーを手に入れました。

MARGARET HOWELL|マーガレット・ハウエル

オールデン正規輸入代理店ラコタ社長

血脇孝昌が語る、靴「ペグマン」の魅力(2)

群を抜いて素晴らしかったオールデンの工場

父が靴の材料業を営んでいて、帰国後入社しました。私は靴の製造にも興味があったので、イタリアの靴の材料関連の展示会を見たり、イギリス、フランス、スペインの工場を見学したりしていました。そして91年にラコタを設立し、アメリカのアパレルやハンドソーンのモカシンの扱いをはじめました。

知人がアメリカのオールデンとビジネスをしていて、私もオールデンが大好きだったので、その方にマサチューセッツのミドルボローにある工場へ連れて行ってもらいました。それが92年のことで、工場を見てとても感激しました。ワンフロアに革の裁断から仕上げまでを見ることができて、きれいに整理整頓され、ゴミ一つ落ちていません。ヨーロッパの靴工場もたくさん見ましたが、オールデンの工場は群を抜いて素晴らしかった。

当時は日本に代理店がなく、知人の方がエージェントで、自分が代理店になってオールデンを扱いはじめました。それが94年で、来年で20年になります。

マーガレット・ハウエル|ラコタ 06

私は世界中の靴を買って履いてきましたが、オールデンが一番フィットしました。アメリカは世界中からさまざまな人種が集まり、履き心地第一のユーティリティな実用靴、頑丈なグッドイヤーの靴を作るのがうまい。それがオールデンに凝縮されています。

マーガレット・ハウエル|ラコタ 07

マーガレット・ハウエル|ラコタ 08

男の靴は、人柄と生活があらわれるもの

マーガレット・ハウエルの上品でリラックス感のあるスタイルが以前から好きで、タイムレスでエイジレスで、買い足しの楽しめるブランドだなと思っています。とくにネイビーやカーキ、グレーなど、自分の好きな色がハウエル流に微妙にアレンジされていて、“当たり前のようで、当たり前でない”デザインとカラーのマッチングが気に入って着ています。

ファッションアイテムのなかで靴は、服のクリーニングとちがって、本人が手間をかけないと育っていかないもの。グレードの高い靴は、手をかければ良く育ちます。ですから、よく「男の靴は、人柄と生活があらわれるもの」だとお話すると、皆さんうなずかれますね。さらに、フィッティングの合う靴は、生涯友だちでいられるのも靴の魅力です。ぜひ愛着をもって大切に育ててください。

マーガレット・ハウエル|ラコタ 09

血脇孝昌|CHIWAKI Takayoshi
アメリカ屈指のレザーシューズ老舗ブランド「ALDEN(オールデン)」の日本正規輸入代理店ラコタ社代表取締役社長。東京・南青山の専門店「ラコタハウス」はオープン13周年を迎える。来年3月には、西日本エリア第一号として大阪・心斎橋エリアに「ラコタハウス」を出店予定。
LakotaHouse.com

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Tel. 03-5467-7874
http://www.margarethowell.jp

           
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