特集|ドバイのラグジュアリートラベル最前線|Prologue「日本人の知らないドバイ」
LOUNGE / FEATURES
2015年4月16日

特集|ドバイのラグジュアリートラベル最前線|Prologue「日本人の知らないドバイ」

注目の3ホテルをピックアップ!
特集|ドバイのラグジュアリートラベル最前線

Prologue|日本人の知らないドバイ

ホテルの滞在記をはじめる前に、日本ではあまり知られていない「ドバイのいま」をお伝えしたいと思う。かつて雑誌やテレビを賑わせた“豪華なドバイ”は、果たしてどうなっているのか? そこには驚きの真実があった。

Photographs by MATSUI HiroText by OBARA YukikoEdited by TANAKA Junko (OPENERS)

ドバイショックの真実

ドバイと聞いてなにを思い浮かべるだろうか? 世界一高いビル、世界最大規模のショッピングモール、世界最大のテーマパーク……。同時に「もうダメなんでしょ?」という声が聞こえてきそうだ。ここ日本では、2006年ごろから「ドバイを知らずして海外を語るなかれ」と言わんばかりのブームを迎え、雑誌もテレビも豪華絢爛のドバイ取材が途絶えなかったことを覚えている方も多いだろう。

が、2008年のリーマンショックに伴う世界経済の低迷にくわえ、2009年に判明したドバイ政府の債務不履行、欧米系銀行の債権焦げ付き懸念など、「ドバイショック」と呼ばれる事態に。一気に日本のドバイ熱は冷め、ブームは去ってしまった。ドバイに関するニュースは衰退を匂わせるものばかりが目立ち、以前のように“豪華なドバイ”を紹介するテレビも雑誌も極端に減ってしまった。

ところが実際には、世界経済やドバイショックの影響はあったものの、中東の経済中心地としての地位が揺るぐことはなかった。それどころか、世界有数の観光都市に成長しつづけ、中東からの旅行者はもちろん、ヨーロッパ人にとっては「常夏の楽園」として絶大な人気を誇っている。その証拠にドバイの国際級ラグジュアリーブランドのホテルはまさに「売り手市場」。予約困難な時期が1年の大半を占めている。そんなドバイの“不死身”具合を象徴する存在をひとつ紹介したい。

世界一豪華なポリスカー

ドバイを訪れる数週間前のこと。たまたま見つけた記事に、ドバイ警察がアストンマーティンスーパーカー「One-77」を、ポリスカーとして導入したとあった。英国での価格が日本円にして約1億6000万というから、世界一高額なポリスカーと言えるだろう。すでにランボルギーニフェラーリポルシェなども導入しており、これはなんとしても見ておかなければと思っていた。

「日本人の知らないドバイ」 03

派手なエンジン音とともに、ランボルギーニ「アヴェンタドール」が到着

ドバイ政府の観光・商務局から、ドバイモールで雑誌『ナショナルジオグラフィック』がポリスカーの撮影をおこなうという情報を入手し、さっそく駆けつけた。お目当てのアストンマーティンは、あいにくメインテナンス中。代わりにランボルギーニとフェラーリが来るという。いやおうにも期待が高まる。

ドバイモールは世界最大級のショッピングモールで、丸一日かけても回りきれない大きさだ。本来ドバイモールに行くチャンスがあったら、せめて半日はすごしてショッピングを楽しみたいところだが、今回はポリスカーを優先して、ショップには脇目もふらず、指定場所が見える入り口付近でひたすら「スーパーポリスカー」の登場を待った。それから待つこと1時間強。「ドタキャンか?」と不安がよぎりはじめたころ、派手なエンジン音とともに、ランボルギーニ「アヴェンタドール」が到着した。

「日本人の知らないドバイ」 06

白を基調に緑を配した塗装がドバイらしい

「日本人の知らないドバイ」 09

記事にあったとおり、白を基調に緑を配した塗装である。ポリスカーの存在に気づいた人が少しずつ集まってきた。もちろん全員カメラと携帯を片手に持って。ランボルギーニらしく華々しくドアが開き、なかから出てきた警察官は、一見強面だが子供に優しく、笑顔で撮影に応じている。

するともう一台、白とグリーンで塗り分けられた派手なポリスカーが到着。最新のフェラーリ「FF」だった。女性警察官がハンドルを握り、観光客の多い地域をパトロールすることが多いそうだ。このときフェラーリから降り立った女性警察官は、モスグリーンのロングスカートという制服姿。顔は隠していないものの、帽子の下からはスカーフが。ああ、ここはアラブの国。

「日本人の知らないドバイ」 11

ロングスカートに隠れているが、ピンヒールのパンプスを着用

「日本人の知らないドバイ」 15

9センチはありそうなハイヒールで、フェラーリを操っている

驚いたのはロングスカートに隠されていたピンヒールのパンプス。9センチはありそうなハイヒールでフェラーリを操っている。ランボルギーニを運転していた男性警察官とは異なり、フェラーリを取り囲む男性陣に(女性にも)決して笑顔は見せない。やはりアラブの国というわけだ。とはいえ、『ナショナルジオグラフィック』の撮影時には、フェラーリの横に笑顔で立ち、モデルの役目を立派に果たしていた。

世界ナンバーワンを求めつづけるドバイのパワーを、改めて認識した野次馬体験であった。

問い合わせ
ドバイ政府 観光・商務局
www.myfavoritedubai.com
dubai.japan@aviareps.com

           
Photo Gallery