MAISON TAKUYA|創設者自身が語るレザーブランド「メゾン タクヤ」のすべて

MAISON TAKUYA|創設者自身が語るレザーブランド「メゾン タクヤ」のすべて

FASHION MEN

MAISON TAKUYA|メゾン タクヤ

ブランド創設者、フランソワ・ルッソ インタビュー

レザーグッズブランド「メゾン タクヤ」のすべて(2)

「メゾン タクヤ」はシンガポールを活動拠点としている。タイに工場を設立し、100%自社生産体制を確立。タイの若い人材に高度な技術を教育するなど、地元ではあらたな産業として歓迎されている。発売4年で日本、アメリカ、フランス、シンガポールをはじめ世界17カ国で展開され、パリのコレット、ニューヨークのバーグドルフ・グッドマンなど、各国の高級ショップでも好調な売り上げを獲得している。

シンプルを突き詰めて、エッセンシャルな価値に行き着く

──お話をうかがっていると、とても日本の影響を受けているように感じますが、最初にどんな影響を受けましたか?

それは食べものです。私は生粋のフランス人だと思っていますが、食べものにかんしてはフレンチに心酔したことはありません(笑)。まだ子どものころにパリに初めて和食の店が同時にふたつオープンしたのですが、当時まだ珍しかった日本料理を食べました。

──口に合いましたか?

とても驚きました。「なんてシンプルで贅たくでおいしいのだろう」と。シンプルを突き詰めたところの、すばらしい価値の中核まで達するその味覚に、大きなインパクトを受けたのです。フランスはルイ16世の新古典主義など18世紀の影響が色濃く、19、20世紀にも踏襲されています。それは、料理もファッション(服飾)も装飾的であるということ。フランス人はシンプルと対極のDNAにどっぷり浸っている。ですからシンプルとラグジュアリーが結びつかない。

──なるほど。

ラグジュアリーとは、ひと目を引くこと、注目を集めること、ひとの気持ちを高めるものですが、この世にそれとまったく正反対のことが成立することに気づかされました。それが私の転換点でした。シンプルを突き詰めて、エッセンシャルな価値に行き着くこと。それが私の探求であり、これからさらに深まっていくと思います。

──その探究心とアジア・日本の接点は?

ラグジュアリーは感情や驚きに訴え、過剰であることも価値ですが、日本のいろいろな職人と接し、彼らから“わび・さび”の教えを受け、完成度の高いものに触れた経験はとても大きいものでした。

──ラグジュアリーとシンプルという対比は、西洋と東洋とも言い換えられますか?

物事はコントラストのなかから真実が浮き彫りになります。対比のなかからあたらしさや完璧さ、エレガンスなどが見えてくるのです。

もの作りにおける創意工夫は終わりのない世界

──メゾン タクヤにとって「完璧」とは何を示すのでしょうか?

ブランドポリシーとして「一分の妥協も許さない、完璧な皮革製品を作る」ことを挙げています。しかし逆説的ですが、完璧はありません。完璧は目指すもので、できるだけ近づけることです。芸術や概念には完璧なものは存在しますが、物質的なものには完璧はあり得ないと思います。

──でも完璧を目指すと。

そうですね。完璧を目指すためにデザインからはじめます。ものづくりはそれにかかわっている人びとの気持ちを共有することが不可欠なので、私はオーケストラの指揮者のように、各パーツの演奏者を理解して、その気持ちを一つの交響曲にまとめあげるようにして、ものづくりでもオリジナリティを追求しています。

メゾン・タクヤ|フランソワ・ルッソ 16

私は100人以上いるスタッフと自分の価値観を共有するのです。そうすると、たんなるもの作りではなく、価値を理解したすばらしい感情が入ったものが完成します。

メゾン タクヤでは、職人たちとプロセス一つひとつに気持ちを分かち合いながらもの作りに励んでいます。もの作りにおいて、創意工夫は終わりのない世界で、私たちは完璧を目指しながら、何度も考えを巡らせて、濃厚に煮詰めて作り上げていきます。