POGGY’S FILTER|vol.5 COMBOさん

POGGY’S FILTER|vol.5 COMBOさん

POGGY’S FILTER

Page. 2

自分の音楽感と服をリンクさせて、次の世代へ伝える

POGGY 前回のUNION(ユニオン)のChris Gibbs(クリス・ギブス)との対談でも出たんですけど、ちょっと前だとニューヨークでローンチしていたり、ストリート系だとラスベガスの「MAGIC」と同時期に開催されるようなトレードショウで発表していたようなブランドが、かなりパリに移ってきています。そういった、ここ数年のファッションシーンの大きな流れの変化ってどう感じていますか?

COMBO かなり変わったと思いますね。一番はこのファッションがメジャーになったこと。もちろん、Virgil Abloh(ヴァージル・アブロー)とかの出現も大きいわけですけど、その流れにヌビアンも乗れたこともデカいです(笑)。

POGGY COMBOさんがパリへ行くようになったのは、いつ頃からですか?

COMBO 原宿店が出来る前なので、2010年頃からですね。実はPOGGY君がやっていたリカーの存在が、僕がパリへ行くようになった一つのきっかけでもあって。最初、リカーを見た時に、「わぁ、スゲえな!」って思ったんですけど、同時に「自分では出来ない」とも感じていました。当時、国内の取引先もほぼ無い状態で、商社と取引するなんて想像も出来てなかったし、ましてや、コレクションブランドを扱えるなんて想像も出来なかったわけで。けど、ヌビアンが次へ進むためには、やっぱり洋服屋としてちゃんと認識してもらえないとダメだなって思うようになりました。それでショウルームを回ったり、ブランドに取引先としてアカウントを作ってもらうっていうのを地道にやり始めたんですよ。だから、リカーにはすごく刺激を受けましたね。

POGGY そう言っていただけるのは、すごく嬉しいです。逆に僕はもともと、COMBOさんみたいにリアルなヒップホップのシーンの側にはいなくて、後発でヒップホップのファッションが面白いって思って、傾倒していったタイプなので。だから、自分はファッションとして出来ることをちゃんとやらないと、そういう方たちに認めてもらえないっていう気持ちはありました。COMBOさんがパリに行くようになって、どのようにデザイナーズブランドとかを仕入れ始めるようになったんでしょうか?

COMBO 最初は何も知らないで行ったんで、結構ヤバかったです。どこに何があるかも分からなくて、「ショウルームっていうのがあるらしい」とかいう情報を聞きつけて、とりあえず、アポなしで全部行きました。コレクションブランドとかも全部アポなしで行ってましたし、そもそも、僕らなんてアポすら取れないんで。とりあえず、いきなり行って、全身そのブランドの服を着て、好きをアピールすれば行けるかなって。

POGGY 凄いですね(笑)。

COMBO 最初の大きなきっかけとなったブランドが、Rick Owens(リック・オウエンス)が手がけているDRKSHDW(ダークシャドウ)で。仕入れた商品をバッコン!って売ったんですよね。10万円くらいのスニーカーを100足くらい売り切ったりして。そうしたら、ダークシャドウ側も「あの店、なんなんだ?!」って注目してくれて。日本の代理店にもヌビアンのことを伝えてくれて、代理店にも認めてもらえるようになって。それが2013年くらいだったと思いますけど、ダークシャドウが最初に道を開けてくれて、そこから一気に広がりました。

POGGY ちょうど、A$AP Rocky(エイサップ・ロッキー)がリック・オウエンスを着たりとか、そのくらいの時期ですね。ロッキーの出現とかも、インパクトが大きかったですよね。

COMBO あの頃、正直、ヒップホップのサイドから見たら、ヒップホップファッションが少し停滞気味だったんですよ。でも、いろんな選択肢が増えていた時期でもあった。そこにロッキーの出現が重なって、「ストリートファッションがヤバい!」ってなって。ロッキーをきっかけに、昔、ヌビアンに来ていたお客さんもまた来るようになったし、G-DRAGONみたいな韓流ファッションを追いかけてる子達も来るようになりました。

POGGY リック・オウエンスやダークシャドウも扱っているお店って、すでに日本にも沢山あったと思うんですけど。ヌビアンみたいに、ヒップホップの視点で仕入れて販売するっていう人たちが、その当時は他にいなかったと思いますし、それは2005年から培ってきた、COMBOさんのバイイングのやり方が、実を結んだわけですよね。その後から、今までロックファッションを扱っていた媒体が、ヒップホップファッションを扱うようになったりもしてきましたよね。

COMBO なんでですかね……おそらく、(ヒップホップファッションが)モテるからじゃないですかね(笑)。ただ無視が出来なくなってきてるのかなと思います。

POGGY 確かにそうかもしれませんね(笑)。

COMBO けど、そういうのも本当にウェルカムだし、良いことだと思っています。そうは言っても、2、3年前くらいまではまだ(ヒップホップファッションに対して)アンチはいたと思うんですよね。けど、もう今や無視出来ない存在になっている。ヴァージルとかは、Louis Vuitton(ルイ・ヴィトン)も認めちゃってるわけですからね。

POGGY そういうのとはまた違った流れで、今、若いアメリカのヒップホップの子たちが、日本の90年代とか2000年代頭のUNDERCOVER(アンダーカバー)や、宮下さんがデザインしていた頃のNUMBER NINE(ナンバーナイン)といったデザイナーズブランドにすごく注目しているじゃないですか? あの流れが起きている理由は何だと思いますか?

COMBO ちょっと言葉で説明するのは難しいんですけど、服に対しての欲求なのかなと思います。最近思うんですけど、ヒップホップでもトラップが出現して、昔とは音楽の作り方もかなり変わってきていて。それと同じように、服も昔とは作り方が変わりましたよね。今や「パターンが」とか「生地が」っていう時代ではないじゃないですか。もしかしたら、あの当時のアンダーカバーとかナンバーナインみたいな服の作り方をするデザイナーは現れない可能性もあるのかなって。尖ったラッパーとかがその辺に興味を持っているっていうのは、その反動が現れてきていているのかなって思います。

POGGY 音楽とファッションの世界が完全にリンクしている話ですね。

COMBO そうだと思います。今はコードがどうとか、どういう解像度でサンプリングしてとか、そんなことを考えて曲を作っている人なんて少ないじゃないですか。僕はどっちかと理屈っぽい音楽が大好きだったから、今、洋服に対してもそう感じるんですよね。

POGGY あの当時の日本のブランドって、曲を作っている感じで服を作っていましたよね。だから、そういうヒップホップの人たちが響くポイントがあるのかなと。

COMBO そうですね。実際、そういうコンセプトでやっていたと思うので。

POGGY 最後に、ファッションに限らず、COMBOさんが今後やっていきたいことってありますか?

COMBO 何か音楽に携わることはやりたいなと思いますね。HIPHOPはもちろんですが、みんながみんな同じところを向いてきてるので違ったアプローチをしたいと思います。例えば、最近ヴァージルがDJ Harvey(DJハーヴィー) と一緒にやったりしているところを見ると痺れます。僕もヌビアンを通して、自分の音楽感と服をリンクさせて、何か出来ないかなって思っています。 もう自分自身、伝えていく側の世代でもあるし、そういう立場でもありますからね。