伊藤嶺花×小山進|スピリチュアル対談(後編)
Lounge
2015年3月4日

伊藤嶺花×小山進|スピリチュアル対談(後編)

スピリチュアル対談 Vol.16|小山進

伊藤嶺花が“視た”ゲストの肖像

「ロックンロール・スピリッツの聖職者」(後編)

さまざまなステージで活躍するクリエイターをゲストに迎え、スピリチュアル ヒーラーの伊藤嶺花さんが、ひとが発するエネルギーを読み解くリーディングと複数の占星術を組み合わせ、クリエイターの創造力の源を鑑定。現世に直結する過去生や、秘められた可能性を解き明かし、普段は作品の陰に隠れがちでなかなかおもてに出ることのない、クリエイター“自身”の魅力に迫ります。

Photographs by SUZUKI KentaText by TANAKA Junko (OPENERS)

前編では「伝えるために生まれてきた」という使命が明らかになったショコラティエ/パティシエの小山進さん。後編では、ずっと一貫していたという驚きの前世と、現世での使命についてさらにくわしく解き明かしていきます。

──伝えるために生まれてきた!?
スピリチュアル対談(前編)を先に読む

五感は幸せを感じるためにあるもの

伊藤 ひと言で言うなら天性のスターです。話しつづけるだけでも、絵を描いても、歌ってもいい。表現するものはなんでもいいんです。とにかく感じ取って受け取ったもののなかから、メッセージというかキーワードを抜き出して、世の中の人に一番ヒットするようなやり方でアウトプットしつづけていく。そんな使命をお持ちです。

「どれだけ幸せを感じていますか?」「命に感謝していますか?」って伝えることも、小山さんの使命のひとつ。それぞれが抱えている問題や悩み、置かれている環境を吹っ飛ばすほどの勢いで、「生きているだけで幸せなんだよ。五感は幸せを感じるためにあるんだよ」ってことをいろいろな形で伝えつづけていかれます。

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小山 たしかに「伝えよう」という、ある種の使命感のようなものが湧き上がってくる感じはありますね。

伊藤 小山さん自身、いつも五感は思い切り全開(笑)。生きていることの喜びを、しっかり受け止めながら生きていらっしゃいます。究極にスピリチュアルですよね。そこから「みんなにも伝えよう」となるのは、ごく自然なことなんです。文字にして伝えることもお上手ですよね。これからは詩も書かれたりしますよ。

小山 詩ですか! 書いたことはありますけど、あんまり上手じゃないかもしれません。でも文章を書くのは好きですね。

伊藤 詩と言っても詩人というよりは、ミュージシャンに詞を提供する感じ。表現していくうちにひとつのクリエイションになる、と言った方が正しいのかもしれません。なにより表現力が素晴らしい。それは周りが発しているエネルギーを、敏感に感じ取ることができるから。「ここにいる人たちは、なにを求めているんだろう」ってことを、瞬時に察知して応えることができるんです。

まずは「隣の人の人気者」になることから

小山 それはありますね。テレビや雑誌の取材のとき、スタッフにも「相手よりも自分の方がエスコヤマのことをよく知っている」という立ち位置でお話をするように伝えています。プロデューサーや記者のみなさんは、それぞれの切り口や視点をお持ちだとおもいますが、自分たちの方が知っていれば「こんなのはどうですか?」と提案できます。

下調べの深さや感性、センスはあるとおもいますが、相手の方がつねに正しい視点を持っているとは限りません。エスコヤマを「正しく伝える」という点では、ある意味、正しい方向に誘導していかなければ、世の中に正しく伝わらない部分もあるとおもうんです。それから「人気者になれ」ってことも。人気者っていろいろあるじゃないですか。キムタクみたいな人気者にならなくてもいいから、隣の人の人気者になることからはじめたらどうかなって。

伊藤 いいですね。

小山 やっぱり商売しようとか、お店をやりたいとか、自分の伝えたいことを表現する仕事を選んだなら、どこかで人気者になってくれないとお客さんは来てくれません。

伊藤 そのぐらい大衆の心をわしづかみにする力がないとね。

小山 でも独りよがりはダメ。お笑い芸人でも、理屈抜きに面白い人っているじゃないですか?

伊藤 狙っている人は、意外に面白くないんですよね。

小山 そうそう。それってお菓子屋さんにもおなじことが言えるんです。「理屈抜きに好き」っていうレベルまでいかないと、ダメな気がするんですよね。生菓子好きから焼菓子好きまで、子どもからおじいちゃんおばあちゃんまで、みんなに「あなたのお菓子のファンです」って言ってもらいたかったら、とびきりのものでないといけないとおもうんです。

そのためにどうすればいいのか? まずは自分を知ることです。そのプロセスを経て、はじめて自分が発信したいものが見えてくるとおもいます。

スピリチュアル対談 Vol.16|小山進

伊藤嶺花が“視た”ゲストの肖像

「ロックンロール・スピリッツの聖職者」(後編)

すべての前世に共通すること

伊藤 輪廻転生とかいろんな言い方があるんですけど、魂は何回も生まれ変わって永遠の旅をつづけています。現代の寿命は80歳ぐらいですが、ちょっと前までは戦争なんかの影響もあって、志半ばの20~30代で亡くなることも多かったので、一回の人生でやりきれないことの方が圧倒的に多かったわけです。

そうすると、その意識がもう一度肉体を持って、記憶のない状態から今度はこういうふうに生きてみようって、階段を上るように精神性を高めていくような旅を繰り返していきます。いまの瞬間と地点にもっとも影響を与えている存在というのは、お話を聞いているうちに、3人も4人もいろんな時代がオーバーラップして見えてくるんです。つい最近の前世が見えてくることもあれば、300年ぐらい前の前世が見えてくることもあります。

小山さんの場合、長い人生の旅のなかで、聖職の道を歩んでいらっしゃることが多いんです。あるときはパイプオルガンを弾くオルガン奏者として、またあるときはステンドグラスを手がける職人として教会に携わっています。仏教や寺院に、銅でつくった伝統工芸品や鏡を納められていたこともあります。

小山 そういうのぜんぶ好きですね。

伊藤 何度も生まれ変わっているんですが、すべてが宗教にかかわることなんです。ひとつ教会も建てていらっしゃいますよ。いわゆる司祭というか、教祖みたいな存在なんですけど、そこで楽器を演奏したり、歌を歌ったりしながら、子どもたちに教えを説いています。

そこはヨーロッパにある小さな教会。食糧がない時代ですから、パンを支給したりスープを作ったりしながら、とにかく生きることを謳歌しようと努めています。家族が離ればなれになってしまうような時代のなかで「今日何回笑えた?」って。「こんなときこそ隣の人に喜びや笑顔を届けなきゃ」ってことをずっと説きつづけています。

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そうしているうちに、自然と人気者になっちゃうんですけど、単純に「すがってくる人たちを救う」っていうのとはちょっとちがう。「その人にとってなにが大事で、なにが幸せなのか」っていうことをきちんと諭すようにお話されています。その人自身が立ち上がらなければ、いくら手を差し伸べても難しいという事実を踏まえたうえで、教えを説いていらっしゃるんですね。

小山 へえぇ。

自分自身が手本を見せる

伊藤 これまでの前世は、教会だったりお寺だったり、すこし市井の人からは遠い場所というか、ある意味守られた立場で活動されていたんです。それが今回は「みんなとなにも変わらないよ。ほら、おっちゃんお菓子作っているんやで」って、そういう世界です(笑)。

そうやって、自分自身がお手本を見せる。教えを説いていくというよりは、一緒に作って、一緒に食べて、みんなで作ったものをみんなで賞味して。そして、それぞれの五感で感じる味わいのちがいを話し合って……。そこでまたヒントを得て、あたらしい形に改良していく。

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現状に満足するということがなく「永久に未完」という想いをつねに持たれています。

小山 それはいつもおもっていることですね。

伊藤 改良とか改革が大好き!

小山 ほんまそうです。

伊藤 やりたいこといっぱいありますものね。

小山 う~ん、自分ではやりたいことをやっている感覚はないんですけどね。毎日毎日進んでいると、やらなくちゃいけないことが出てくるので、それに取り組んでいるだけで。よく「やりたいことができていいよね」って言われるんですけど、やりたいことをやっている意識はあんまりなくて。でもそれが、いわゆる“やりたいこと”なのかもしれない。やらなくちゃいけないからやっているんだけど、仕方なくやっているわけではないし、それはそれでものすごく楽しめますしね。

伊藤 突き動かされている感じはありますよね。こう動かずにはいられないというか。

小山 そうですね。だけど「やりたいようにやってもいい」って言われたら、もしかすると、なにもしないでじっとしているかもしれないです。「なんかやりたいことはなんですか?」とか「夢はなんですか?」と言われても、ぼく夢ないですし。

伊藤 日常のなかで叶えていらっしゃいますもんね。

小山 そうそう。そういう意味では目標はいっぱいありますし、夢より目標って言ってあげた方が、若い子にもよく伝わるとおもうんです。「夢は持っているけど、今日は具体的になにもしなかった。でもぼくにとってはこれが夢なんです」とか言っていても仕方ないでしょ?

それだったら、この1時間をどうするかが大事。今日の夜はなにを食べるとか、人との約束とかが近いですよね、目標の達成に。だれかと食事に行く、そう決める、予定を入れるっていうことがね。それをずっとつづけていくことじゃないかなっておもうんです。具体性がある方がいい。「がんばる」っていうことほど漠然としていることはないですからね。

スピリチュアル対談 Vol.16|小山進

伊藤嶺花が“視た”ゲストの肖像

「ロックンロール・スピリッツの聖職者」(後編)

じつは一匹狼

伊藤 いつもムードメーカー的に人との調和をコーディネートされていますけど、若い見習いさんやスタッフを取りまとめるというのも、前世から受け継いだ小山さんの使命です。「こんなことを言ってもらいたいんだろうな」とか「こんなことをいま求められているんだろうな」っていうのを、瞬間の切り替えで対応できるので。その一方で、ものすごく一匹狼なところも持ち合わせています。

小山 そう、ひとりでいるのが一番好き。どっちかというと、大勢でいるのが苦手なんです。

伊藤 やっぱりスイッチが入っちゃうと、ストイックにガーッと集中しちゃうので。

小山 そうなんですよ。ずっと人に囲まれていると、ものすごく疲れるんです。ひとりになれる時間がなかったら絶対にダメですね。

伊藤 エネルギーを受け取りすぎちゃうんですよ。目の前にいるひとりの人からエネルギーを受け取っている分にはね、創作活動だったりもの作りだったり、いろんなことに置き換えられるんです。だけど大勢のなかにいると、慕われてしまうからなかなか難しいですよね。みんなのエネルギーを受けすぎてしまう。そんなときは、どこかでリセットすることが大事です。それこそ自然のなかで、木とか山のエネルギーを受け取るといいですよ。

伊藤嶺花×小山進|スピリチュアル対談(後編) 07

伊藤嶺花×小山進|スピリチュアル対談(後編) 07

小山 (お店のある)三田にもエネルギーを受け取りに行っているんでしょうね。

伊藤 導かれているんですよ。心身の充電をするために、無意識のうちにそちらへ足が向かわれるんだとおもいます。習慣になっているというか。

“慈愛の精神”の強い、神父さんみたいな人

小山 あ、すみません。ぼくよく水飲むでしょ(笑)。

伊藤 召し上がったほうがいいですよ。木と水のエネルギーっていうのは、対になっているんです。木のエネルギーは上へ向かう力が強いので、上半身にエネルギーが溜まりがちなんです。バランスを取るためには、代謝が大事なんですね。ご自身の代謝をよくするために、自然と水のエネルギーを欲しているんだとおもいます。

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小山 バランスを取るといえば、ぼく自分のお店以外で商売をすることは基本的に嫌なんですけど、会社やブランドのプロデュースだけは頼まれたらお受けしています。自分の感覚をニュートラルな状態に保つためにね。どこへ呼ばれていっても、その会社やブランドのやるべきことが見えてこなかったらもうダメだなって。そうやって、つねに頭の体操をしておきたいから引き受けるんです。

だけど、それだけを商売にするつもりはまったくなくて。「どうやったらよくなるか」って考えるのはものすごく好きだし、そこで結果を出すのは好きなんですけど……。

伊藤 人に喜んでもらえること、ニーズに応えることが、ものすごくお好きですよね。奉仕的な“慈愛の精神”が強いので。神父さんみたいな人ですから。

小山 そんなにいいもんじゃないとおもうけど(笑)

前世から引き継ぐ異端児の精神!?

伊藤 森のなかにある小さな教会が見えていますよ。わざとそこに移したんだとおもいます。大きな宗派に属されているんですけど、ちょっと異端児というか。

小山 そこでもですか!?(笑)

伊藤 そう。宗教戦争が何百年もつづいている時代ですから、周りが焼け野原になったり、殺し合いでつぎつぎ人の血が流れていく。小山さんは、そこで「そんな理不尽な世の中なんてまっぴらゴメンだ」って立ち上がるんです。山のなかの民家を教会にリノベーションして、そこで神父をやってます。

小山 へえぇ! 異端児っていうと、小学校3年生のときに、大きい野球チームがあったんですけど、ふたりで野球チームを作っていましたね(笑)。「これじゃ試合できないよな」とか言いながらも、「いまはふたりだけど、ずっとふたりなわけはない」って励まし合って練習していました。

伊藤 異端児って聞くと「変わり者」みたいですけど、決してそうではなくって、信じるもののために立ち上がる勇気を持っているということです。

小山 それを聞いて安心しました(笑)。

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伊藤 自分で無意識のうちにうまくバランスを取っていらっしゃいます。意識して努めているわけではなくて、長い前世の教えが自然と小山さんを導いているんです。これまでもそしてこれからも。

小山進| KOYAMA Susumu
1964年、京都府生まれ。大阪あべの辻調理師専門学校卒業後、1983年に神戸の「スイス菓子ハイジ」入社。本店シェフパティシエ、商品開発部長に。数々の菓子コンクール(TVチャンピオンほか多数)で優勝し、2000年に独立。有限会社パティシエ エス コヤマを設立し、全国10数社の商品開発および技術指導をおこなう。2003年より兵庫県三田市に「パティシエ エス コヤマ」を開店。支店は出さず、店頭販売だけで1日1600本の売上を誇る「小山ロール」は、1本売りロールケーキの先駆けに。2011年、2012年と2年つづけて「C.C.C.(Club des Croquers de Chocolat)」で最高位を獲得し、国内外で大きな反響を呼ぶ。2012年11月に技術指南書『chocolat japonais(ショコラ・ジャポネ)』(柴田書店)、初の一般書『丁寧を武器にする』(祥伝社)を出版した。

取材協力
code kurkku(コードクルック)
渋谷区代々木1-28-9
ランチ│11:30~14:30ラストオーダー
ティータイム|14:30~17:00
ディナー│18:00~24:00 ※23:00ラストオーダー
Tel. 03-6300-5231
http://www.kurkku.jp/codekurkku/

           
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