POGGY’S FILTER|vol.1 VERBALさん(後編)

POGGY’S FILTER|vol.1 VERBALさん(後編)

POGGY’S FILTER

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カニエ御一行とのファッションウィーク珍道中〜パリコレのアメリカ化

POGGY ラグジュアリーストリートのシーンが始まった時の大きなトピックスとして、カニエ御一行がパリコレに行き始めたというのがあったじゃないですか。彼らみたいなヒップホップのアーティストがパリコレに行くっていうこと自体が、その時ってあまりなかったと思うんですけど、VERBALさんはあの当時、その動きをどのようにご覧になっていましたか?

VERBAL 実は僕もニューヨークのファッションウィークの時に、彼らと一緒に行動したことがありました。そもそもファッションウィークがどういうものなのかも全く知らなかったのですが、たまたまそのタイミングでニューヨークにいたことがあって。カニエに「これから◯◯のショーに行くぞ!」って呼び出されて、入れるの?ってわけもわからずついて行ったら、全然入れてもらえなくて(笑)。

POGGY (爆笑)

VERBAL カニエでも門前払いされるんだなって(笑)。あと、みんなでファッションショーの合間にソウルフードを食べるんですよ。チキンでギトギトになった手で、洋服屋に入って物色して。「大丈夫かな、この人たち?」って、いちいち面白くて(笑)。何が起こるかわからないけど、違う惑星に探索に行くような感覚でした。でも、まだ僕も何も知らなかったんで、心地良かった。やっぱり当時は、そういうところへ行くと、「なんなの、この人たちは?」「あなたたちの来る場所じゃないよ」みたいな空気が強かったですね。でも、カニエにそんなことをしたって、火に油を注ぐようなものでしたよ、「何がなんでも入る。行くぞ!」って。「本当に入れるの? また追い出されるの嫌だよ」みたいな(笑)。

POGGY (笑)そんな感じだったんですね。でも、そこから徐々に受け入れられていったわけですよね。

VERBAL アメリカが良い意味で現金だなと思うのは、結局、エンタメとファッションが全部繋がっているということ。(カニエ・ウェストの妻の)キム・カーダシアンのカーダシアン家も、そもそも“ファッション系”とかではなかったんですけど、世の中にすごく認知されていて、とにかくバズがすごい。そういう人たちを取り入れればすぐに浸透するって、いち早く気付いたブランドが、どんどんと動き始めて。まだインフルエンサーって言葉すらなかったような時代に、ビジネスの展開も含めて、一緒にやろうって。

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POGGY それがカニエにも結びついていくわけですね。

VERBAL カニエはファッションが好きだから、何か一緒にやろうって。最初にやろうとしていたフェンディではインターンとして、そしてナイキとは一緒に最初のYEEZY(イージー)を作りましたしね。ただ、Louis Vuitton(ルイ・ヴィトン)でもほぼ同じ時期に、同じようなデザインで出して、それが問題になったりして。でもそういう部分も含めて、やっぱりこの人はぶっ飛んでるなって思いましたね。

POGGY パリに関しては、僕ですら、昔は結構冷たいなって思っていた時もあって。そんな状況の中で、アメリカの人たちが自分たちの居場所を作ろうって、パリコレがどんどんアメリカ化していった気がしていたのを覚えています。パリの変化に関しては、VERBALさんはどう思いますか?

VERBAL 当時、コレットで売っていたイケてるものって、ほとんどが日本かアメリカのものだったじゃないですか。そういう文化交流みたいなのを、サラがコレットを通してやってたと思うんですよね。フランス人ってプライドが高いので、建前では「もう間に合ってます」って言いながら、ちゃっかりと海外のものも流用している。だから、以前から分かっている人達同士はちゃんと繋がっていたのかなと思いますね。

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