名車の血をひく新型アルピーヌ「A110」に試乗|Alpine

名車の血をひく新型アルピーヌ「A110」に試乗|Alpine

CAR IMPRESSION

Alpine A110|アルピーヌA110

ラリー界を席巻した名車の血をひく新型アルピーヌ「A110」に試乗

オリジナルA110のノウハウが息づいている (2)

よく曲がるだけじゃない、お喋りなシャシー

まずは一般道をタウンスピードで、できるだけ空いていそうな峠を目指した。段差や路面のうねりを越えても、スポーツカーとは思えないほど足が柔らかで、乗り心地は望外にいい。そもそもの車重が軽くて前後44/56と重量配分のバランスもよく、サスペンションをあまり固めずに済んだという、開発チームのシャシー担当の言葉を思い出した。アーム長を十分にとったダブルウィッシュボーンを前後とも採用し、低速で流す程度でも足回りがよく上下に動き、しなる。

それにしても今日日、ハイエンドなニューモデルはコンフォート/スポーツ/スポーツ+といった数段階のアダプティブ シャシー コントロールを備えているものだ。しかしセンターコンソールに置かれたA110のSPORTボタンは、純粋にエンジンの回転数を鋭く引っ張り上げ、ギアチェンジのレスポンスやステアリングのゲインを高めるほか、レースモードでもESP介入をオフにするのみ。つまりダンパー回りに重たい電子制御や減衰力可変エアサスは与えられていない。単一のセッティングで街乗りも峠もサーキットもこなせるA110の足回りは、元のシャシーの高バランスぶりというか、素性のよさを物語っている。

ラリー界を席巻した名車の血をひく新型アルピーヌ「A110」に試乗 07
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やがて交通量の少ない峠に着き、徐々にペースを上げてみた。公道ゆえ、限界を探るような飛ばし方はせず、ESPも介入しない程度の速度域だったが、後でマルチファンクション スクリーン内のテレメトリーを確かめたところ、横方向1G超えをやすやすと記録していた。とはいえ、峠でよく曲がる痛快なコーナリングマシンであることは、半ば想定内のことだ。アルピーヌA110で語りたくなるのは、その曲がり方の質や、過程の話だ。

前後荷重を積極的に使って操り始めると、手のひらや骨盤まわりに伝わってくるロードホールディングの確かさ、いってみればA110が語りかけてくる情報の多さに、驚かされる。グリップが横方向に移ってターンインが始まり、向きを変え続ける間ずっと途切れないニュートラルステアの感覚。アクセルオンとともにリアが踏ん張って地面を蹴り上げる感触。加えてタイヤが滑るか滑らないかのマージナルな「閾(いき)」の微妙な領域が素晴らしく広く、情報がリッチなのだ。

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タイヤのたわみや接地状況が手にとるように伝わってくる饒舌な足回りについては、後半の試乗パートでミニサーキットを数周した際に、さらに確信を得た。決して、何をしても曲がってくれるというタイプではない。むしろブレーキが遅れてステアリング舵角をこじり気味に当てると、当然のようにアンダーステアに陥って、ドライバーを甘やかさない。

しかし、コーナリング中の挙動がじつに穏やかで、ステアリングとアクセルワークでアングルをつけるように走らせても至極、操りやすい。これはミシュランと当初から共同開発したという、専用の「パイロットスポーツ4」に負うところもある。横方向のグリップを高め過ぎない一方、ブレーキング時の縦方向やウェット路面でのグリップを落とさない、専用コンパウントを採ったのだ。