スペースコンポーザー 谷川じゅんじ × アート・ディレクター テセウス・チャン|スペシャル対談

スペースコンポーザー 谷川じゅんじ × アート・ディレクター テセウス・チャン|スペシャル対談

LOUNGE BOOK

スペースコンポーザー 谷川じゅんじ × アート・ディレクター テセウス・チャン

JTQ10周年アニバーサリーブック出版記念スペシャル対談(2)

すべてハンドメイド! 2000冊限定の体感する本ができるまで

 

“ザ・作品集”という感じにはしたくない

 

――はじめて会ったときのことを覚えていますか?

谷川じゅんじ(以下、谷川) 2011年、別のプロジェクトでシンガポールに行ったときに紹介してもらったのが最初ですね。そのときに訪ねていったオフィス(注・現在は移転)が古い学校をリノベーションした建物で、「テセウスさんらしい“優しい”オフィスだな」という印象を持ったのをいまでもよく覚えています。

テセウス・チャン(以下、チャン) 谷川さんが訪ねて来てくれるとはおもってもいなかったので、最初に「会いたい」と聞いたときはちょっと意外な気がしました。軽いあいさつ程度の訪問かとおもいきや、ぼくたちの活動にとても興味を持ってくれていることがわかってね。嬉しかったですよ。

―― 最初の出会いから、どのような過程を経て「一緒に本を作ろう」ということになったのでしょう?

チャン オフィスに来てくれたとき、 ぼくたちがこれまでに作ったものをいろいろ見せていたんです。そしたら、イラストレーターのジョー・マギーを特集した『ヴェルク』の16号「JOE MAGEE SPECIAL」を、谷川さんがいたく気に入ってくれてね。その場で「JTQの本を一緒に作ろう」ということになったんです。

 

その本というのが、過去10年間のJTQの仕事をすべて網羅したもの。ハードカバーでできた“ザ・作品集”という感じにはしたくない、というのが谷川さんの希望でした。なにかもっと特別なものにしたいと。彼が手がけた空間を写真で見せてもらったんですが、10年間でこんなにたくさんの凝った空間を生み出してきたなんてね。いやぁ驚きましたよ……。これだけ材料がそろっていれば、あとはそれを調理するだけです。谷川さんは、材料だけ渡したら「あとは好きなようにやってください」と、すべてぼくたちの自由にさせてくれました。

谷川じゅんじ × テセウス・チャン 03

 

――ものすごい信頼関係ですね!

谷川 それは、テセウスさんのことを本当にすごいデザイナーだとおもっていたから。すべてを委ねたら、一体どんなものを見せてくれるんだろうという、ある意味怖いもの見たさのような(笑)気持ちでいましたね。(これまでに手がけた空間を記録した)写真を選ぶところから、すべておまかせしました。大変だったとおもいますよ。10年分の写真を渡して「ここから選んでください」ってお願いしたので。

チャン あぁ、それはそれは恐ろしいほど大量の写真でしたよ!(一同爆笑)だけど、それを「年代順に並べて」なんてリクエストがなかったので、すごく助かりました。200ページも厚みのある本を開けたときに、年代順に写真が並んでいるのを見るほど退屈なことはないですからね。順不同に並んでいれば、気軽にパラパラめくりながらでも、なんとなく10年間の軌跡を身近に感じることができるとおもったんです。

谷川 テセウスさんから唯一相談を受けたのは、タイトルや発行所などが記載された、いわゆる奥付と呼ばれる箇所だけ。そこだけは、整ったバージョンとバラバラに文字が配置されたバージョンの2パターン出して「どっちがいいかな?」って。

 

チャン 谷川さんはものすごく奇抜なデザインが好きなのか、もうすこし整ったデザインの方がいいのか、最初はその辺のさじ加減がわからなかったんです。だから両方作って見てもらいました。そしたら、整った方は「ちょっと普通すぎる」って言うもんだから、ぼくとしては「よし、これでゴーサインがもらえた」って気持ち(笑)。この作品集はぼくだけのものじゃなくて、谷川さんのものでもあるから、彼がいいとおもえなきゃ意味がない。でも、ぼくがいいとおもう方を谷川さんも気に入ってくれたので、思い切ってデザインすることができました。

 

谷川 もちろんぼくがおもっていたイメージとちがったら、ちゃんと「ちがう」って言うつもりだったんですが、そのとき出てきたものが想像以上のものだったから、このまま進むのがいいとおもいました。

ABOUT
TANIGAWA Junji

スペースコンポーザー JTQ株式会社 代表 www.jtq.jp 1965年生まれ。2002年、空間クリエイティブカンパニー・JTQを設立。 「空間をメディアにしたメッセージの伝達」をテーマにイベント、エキシビジョン、インスタレーション、商空間開発など目的にあわせたコミュニケーションコンテクストを構築、デザインと機能の二 面からクリエイティブ・ディレクションを行う。主な仕事に、KRUG bottle cooler(2011)、平城遷都1300年祭記念薬師寺ひかり絵巻(2010)、パリルーブル宮装飾美術館 Kansei展(09)、グッドデザインエキスポ (07-11)、JAPAN BRAND EXHIBITION(07)、文化庁メディア芸術祭(05-08)などがある。DDA 大賞受賞、優秀賞受賞、奨励賞受賞、他入賞多数。