【第13回 仏ルポルタージュ大賞 受賞記事】探検船で“ラグジュアリーな冒険”を

【第13回 仏ルポルタージュ大賞 受賞記事】探検船で“ラグジュアリーな冒険”を

LOUNGE TRAVEL

第13回フランス・ルポルタージュ大賞 受賞記事
「シルバー・エクスプローラー」で巡るボルドーからノルマンディーへの船旅

特集|“探検船”でラグジュアリーな冒険を!(1)

客船でのクルーズというと、イメージするのはブラックタイにロングドレスの紳士淑女。そして、毎夜の華やかなイベントに、数々のプロトコール。もちろんそれは正しい。クルーズとは海の上の社交場にほかならない。しかし、ここにきて新しい楽しみ方が登場し始めた。それが、冒険的体験をコンセプトにしたアドベンチュラスな探検船の旅、シルバー・エクスプローラーだ。手がけるのは、最上級のラグジュアリーなクルーズを提供するシルバーシー・クルーズ。南極や北極といった極地へのクルーズはもちろん、アフリカ西海岸、中南米など知的好奇心をかきたてるエキゾチックなデスティネーションへと航海をおこなっている。今回はボルドー、ノルマンディーなどお馴染みの場所を、ソフトアドベンチャー気分で巡る旅へと誘う。

※「フランス・ルポルタージュ大賞」は、フランス観光開発機構とエールフランス航空により2000年に創設。第13回目となる2013年の今年、雑誌部門『ポパイ』、テレビ部門『美の巨人たち』とならんで、インターネット部門で本記事が大賞を受賞しました。

※本記事は2013年1月15日に公開されたものです。

Text & Photographs by TERADA Naoko

世界で最も品格ある探検船の極上ライフ

「シルバー・エクスプローラー」の誕生は2008年。当初、冒険家として知られるモナコ公国大公の名前を冠したプリンス・アルベールII号として就航した。進水式にはローマ法王庁の祝福を受けている。その後、現在のシルバー・エクスプローラーと改名し、エクスペディション(探検)という「人生で一度」のドラマチックな体験を堪能できる、ラグジュアリークルーズ船として話題をさらってきた。

6072トン、乗客定員132名。優美な姿ながら、北極や南極といった極地航行用に設計された本格的な探検船で、8艘のゾディアックボートを備えているのが特徴。世界で最も権威のある船舶鑑定団体のひとつ、ロイド船級協会によって、氷海域での船体構造としては最高レベルのアイスクラス(1A)を取得。強靭なボディで、過酷な環境にも順応する。

そのハイスペックさを活かして昨年2月には、20世紀初頭、アーネスト・シャクルトン率いる探検隊の生存者たちが4カ月以上にわたり救助船が到着するのを待ったという南極のエレファント島、ポイントワイルドへ、120名のゲストとともに初の到達を果たしている。

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シルバー・エクスプローラーの特徴は、サービス、スケジュールにおいても個性が際立っている点にある。ほかのクルーズ船と最も異なるのが、エクスペディション・チームの存在だ。抜群のスキルと経験を持つリーダーを筆頭に生物学者、地質学者、歴史家などを含めた10人前後の専任スタッフが帯同。ゾディアックの運転から、トレッキングの引率、インタープリターとしての生態系や動植物についてのレクチャーなど、行程を満喫するためのオペレーションをパーフェクトに務める。

さらに、このエクスペディション・チームがすごいのは、同じ場所を訪れても前回とは異なるロケーション、体験ができないか常にリサーチをおこない、「ベスト・オブ・ベスト」を求めて行程を進化させている点にある。今回はヨーロッパ~英国海峡というエリアのクルーズだったため、エクスペディション・チームの活躍ぶりも限られていたが、毎晩、翌日の行程についての最新天気情報、歩く距離、ハードさなどを詳細に解説するスキルの高さに驚かされた。

また、通常は船外でのオプショナルツアーは追加料金がかかるが、シルバー・エクスプローラーの場合は、すべて含まれているという点も大きな魅力。ということで、ゲストはあらゆる質問やリクエストに的確に応えるエクスペディション・チームにより、知的好奇心を満足させるネイチャー体験を、心ゆくまで、たっぷり味わえるというわけだ。

専属バトラーサービスが、華麗なるクルーズを演出

夏とはいえ南極半島の気温は0℃前後。そんなときでも、船内にはシャンパンを片手に談笑するゲストたちの姿。それが、シルバー・エクスプローラーでの光景だ。探検船としてハイスペックでありながら、船内でのクルーズライフは、通常のシルバーシーと同様。あくまでもエレガントでラグジュアリー。探検船だからといってなんの遜色もない。

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ただし船内でのスタイルは、たとえるなら「スマート・カジュアル」。ディナーでもラムズウールのセーターにチノパンツといったカジュアルな服装で構わない。一般的なクルーズには欠かせないブラックタイでのガラディナーも、基本なし。最も固いドレスコードでも、「インフォーマル」、つまりセミフォーマル・レベルで、ディナー時には学者然としたツイードジャケットのジェントルメンがいれば、極上のカシミアスーツの殿方も。一流のゲストが醸す、ソフィスティケートされつつも、なんとも気取らないムードで過ごせるのが、シルバー・エクスプローラーの真骨頂。実に快適で心地よい。

シルバーシー・クルーズの船は、ゲスト一人につきクルーがほぼ一人の割合で付くため、ホスピタリティの高さに定評がある。そして、最も贅沢な体験にバトラーサービスがある。さらに、シルバーシー・クルーズの客船はオールスイート仕様が特徴で、シルバー・エクスプローラーもしかり。チェックインしてスイートに入ると、すかさず担当のバトラーが挨拶にやってきた。テイルコート姿の長身のバトラーは、インド人。インドのタージマハルパレスなど最高級ホテルでの経験を持った彼は、美しい英語とおだやかなほほ笑みで、「いつでもお気軽にお声がけください。まずは、アフタヌーンティーでもいかがですか」 とたずねてくれた。

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シルバーシー・クルーズでは、三度の食事はもちろん、シャンパンも含めたミニバー、ルームサービスなどもすべて料金に含まれている。今回のクルーズで、やや風が強く船が揺れた際には、食事に出られなかったわたしのために、真っ白なクロスの上にビーフコンソメ、青リンゴのスライス、クラッカーという、「酔い止め」効果のあるメニューを丁寧に並べてくれたのもバトラーだった。

バトラーを使いこなすのは、日本人の場合慣れないこともある。が、彼らは、いつしかいつでもそばにいてくれる存在となり、礼節を持った態度でさまざまなリクエストに応えてくれる。ちなみに、彼らへのチップも料金に含まれているので、毎回渡す必要はない。わたしは下船時に、感謝のメッセージを書いたカードを渡してきた。

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ガラパゴスの探検船を取得、シルバー・ガラパゴスがデビュー

2012年、シルバーシーはガラパゴス諸島を専門とするエクアドルの旅行代理店、カノドロス社および所有するラグジュアリー探検船、「ガラパゴス・エクスプローラーII」を買収、、2012年10月にはあらためてシルバー・ガラパゴスと命名。これにより、シルバー・エクスプローラーとあわせ2隻のエクスペディション船が、ガラパゴスを含めた極地への定期的なクルーズを、より充実させて催行できるようになった。また、2013年のゴールデンウィーク時にも、今回と同じコースをたどるシルバー・エクスプローラーによる14日間のクルーズが発表された(http://www.silversea.com/expeditions/destinations/plan-expedition/?voyage=7309)。

シルバーシー・クルーズ日本地区販売総代理店
インターナショナル・クルーズ・マーケティング株式会社

Tel. 03-5405-9213
www.silversea.jp/expeditions/silverexplorer.php

寺田直子|TERADA Naoko
トラベルジャーナリスト。年間150日は海外ホテル暮らし。オーストラリア、アジアリゾート、ヨーロッパなど訪れた国は60カ国ほど。主に雑誌、週刊誌、新聞などに寄稿している。著書に『ホテルブランド物語』(角川書店)、『ロンドン美食ガイド』(日経BP社 共著)、『イギリス庭園紀行』(日経BP企画社、共著)、プロデュースに『わがまま歩きバリ』(実業之日本社)などがある。

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TERADA Naoko

トラベルジャーナリスト 東京生まれ。日本とオーストラリア・シドニーの旅行会社勤務後、編集プロダクションを経てフ […]