特集|伝統と革新の英国ロイヤル文化を巡る旅 Chapter 3

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Beautiful Britain

特集|伝統と革新の英国ロイヤル文化を巡る旅

Chapter 3:英国流ピクニックランチを優雅に愉しむ一日

王室御用達ロールス・ロイスでドライブに出掛ける

クルマのドアを開ければ、そこに広がるのは、レザーとウッドが惜しげもなくあしらわれたゴージャスなインテリア。英国王室御用達として知られるイギリスの名車「ロールス・ロイス」に乗車し、ロンドン市内からおよそ80km西北西のオックスフォードへとドライブに出かけ、英国式ピクニックランチを優雅に愉しむ。

Text by AKIZUKI Shinichiro(OPENERS)
Photographs by MATSUI Hiro

1950年に御料車としてはじめて採用されたロールス

「伝統と革新の英国ロイヤル文化を巡る旅」と題し、4回の連載に分けて、美しきイギリスの魅力を紹介してきた本特集。第1回目は豪華列車「ブリティッシュ・プルマン」で巡る鉄道の旅を、2回目は英国屈指のカントリーホテル「チュートン・グレン」に宿泊し、美しき自然に癒された。3回目となる今回は、ロンドンを起点に、オックスフォードまでのドライブを愉しむ。

イギリスが誇る名車といえば、真っ先に思い出すのはどのモデルであろう……。アストンマーティン、ロールス・ロイス、ベントレー、ランドローバー、ジャガー、そしてミニと実にバラエティ豊かだ。最近ではF1GPで名を馳せた名門マクラーレンもスーパースポーツカーブランドとしてあらたに参入するなど、イギリスは18世紀にはじまった産業革命以降、数多くのブランドが生まれた自動車大国である。

なかでもロールス・ロイスは1950年にエリザベス女王とエディンバラ公の御料車として採用されて以来、いまでも英国王室御用達と知られる老舗ブランドだ。1906年にイギリス北西部のマンチェスターで創業し、2003年にはBMW傘下となったものの、その100年以上にわたるブランドの伝統・意匠は現代にも脈々と受け継がれている。

因にあまり知られていないことだが、ロールス・ロイスが御料車として1950年にはじめて採用されるまでは、1896年に創業したイギリス最古の自動車メーカーであるデイムラーがその役目を担っていた。また日本でも皇室初の御料車して、1912年にデイムラーが採用されていたことが記録されている。

デイムラーという社名は、「Daimler」の英語読みであり、ガソリン自動車開発者のとして名を残すドイツ人のゴットリープ・ダイムラーに由来するが、当時、英デイムラー社と独ダイムラーとの関係はエンジンのみのライセンス契約であり、それ以外では直接ダイムラーとの関係はなかった。なおデイムラーは1960年にジャガーに買収され、その歴史に幕を閉じている。

伝統と革新の英国ロイヤル文化を巡る旅 Chapter 3 04

さて、前置きが長くなってしまったが、今回は最新の国王室御用達クルマ、ロールス・ロイスに乗って、ロンドン市内からオックスフォードへドライブに出かけたい。前日に宿泊したホテル「ザ・コノート」の玄関前に並ぶのは、ドライバー志向の強いニューモデルとして2010年に誕生した「ロールス・ロイス ゴースト」と、そのロングボディータイプ「ロールス・ロイス ゴーストEWB(Extended Wheel Base)」の2台。

コーチドアを開けば、そこに広がるのは、レザーとウッドが惜しげもなく使われたゴージャスなインテリア。ショーファーの手を借りながら、ゆっくりとシートに乗り込めば、ラムウールのカーペットが足下を優しく包み込んでくれる。リヤシートはそれぞれが独立しており、シャンパングラスが納まるクーラーボックスも装備。フロントシートの背面に設置されたLCDディスプレイでテレビやDVD、ナビの視聴も可能で乗客を飽きさせない。さらに上質な居住空間をご希望の方には「ロールス・ロイス ゴーストEWB」もおすすめだ。ベースモデルよりも170mmホイールベースが延長された室内はさらに広く、足下のスペースは持て余すほどである。

目指すはオックスフォード

ロンドン市内を10時に出発したクルマは、渋滞もなく国道40号(A40)を順調に抜け、いつしか高速道M40へ。V型12気筒ターボエンジンを搭載するゴーストは、570ps/5250rpmの最高出力、79.5kgm/1500rpmの最大トルクという、スーパースポーツカー並みのパワーをもつが、室内は極めて静寂。まるで空飛ぶ絨毯のようにふんわりしたソフトな乗り心地を提供してくれる。もちろん、アクセルを踏み込めば暴力的なまでのドライバビリティは持っている。だが、そこはあくまでショーファードリブン。表と裏、この二面性こそがロールスの真骨頂であることは、いわずもがなだ。

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