プジョー208に試乗|Peugeot
CAR / IMPRESSION
2014年12月8日

プジョー208に試乗|Peugeot

Peugeot 208|プジョー 208

ホットハッチの醍醐味を味わえる

プジョー208に試乗

2012年のジュネーブモーターショーワールドプレミアを果たした、プジョーのコンパクトハッチ「208」がいよいよ日本に上陸した。代替わりするごとに大きくなるほかのコンパクトカーとは一線を画すように、ボディサイズを先代よりもわずかに小さくしつつも、ひろい室内空間を確保している。日本には、4気筒エンジン+4ATを搭載する「Cielo」を主軸に、1.6リッター4気筒ターボエンジン+6段MTというスポーティグレード「GT」を導入。さらに、エントリーグレードには1.2リッター3気筒エンジンに5段MTという仕様の「Allure」を導入したのも、トピックスといえよう。九島辰也氏が、このエントリーグレードを中心に試乗した。

Text by KUSHIMA Tatsuya
Photographs by ABE Masaya

3気筒ブームに参戦するプジョー

世はまさに3気筒ブーム。とでもいいたくなるほど、最近そんなパワーユニットが次々と公表されている。フォルクスワーゲン「UP!」の1リッター3気筒もそうだし、フォードも同排気量のエコブーストエンジンの開発をアナウンスした。またBMWは1シリンダー500ccの1.5リッターというパワーユニットを開発中。ターボを装着し電気モーターと組みあわせるとか。市場導入も時間の問題だ。

国産車では軽自動車をのぞけば「マーチ」や「ノート」に積まれる1.2リッター直列3気筒エンジンが目新しい。「ノート」ではスーパーチャージャーで加給しふたつ上のクラスに近いパワーを出す。過給器をつかうのはヨーロッパ的な発想ともいえる。

さてさて、ここで紹介するクルマもそんな1台に値する。1.2リッター直列3気筒エンジンを心臓とするプジョー「208」だ。

Peugeot 208|プジョー 208

Peugeot 208|プジョー 208

もちろん、カタログをご覧になればわかるように、1.6リッター直列4気筒エンジンや同ターボエンジンなんかもラインナップされる。今回の試乗ではノンターボの120psモデルも同時に乗ったが、じつにキビキビと楽しい走りを味あわせてくれた。4段ATでこれだけ俊敏に走れるのはホットハッチの国のなせるワザなのか。一回のレーンチェンジで、ステアリングを切る楽しさが伝わってきた。

これは最終的なチューニングによるものだが、クルマの基本骨格がよくなくては意味がない。どんなに足を固めパワステのセッティングをリニアにしても、ボディがグニャグニャでは元も子もないのだ。

その点からも新型「208」はじつによくできている。走り出して1分も経てば、堅牢なボディがひとつのカタマリとしてステアリングを切った方向へ向きを変えるのがわかる。いい手応えだ。その部分はもはやドイツ系スポーツカーレベルに近い。

Peugeot 208|プジョー 208

ホットハッチの醍醐味を味わえる

プジョー208に試乗(2)

5段マニュアルで走る

また、新型のパッケージングが個性的なのも見逃せない。これは「207」対比で考えるとよくわかるのだが、ホイールベースをそのままに全長を短くしながら居住性を上げ、さらにはカーゴスペースも拡大させている。

つまり簡単な話、前後のオーバーハングを切り詰め、運動性能を高めたというわけだ。ここでおもうのは、なぜホイールベースを長くしなかったのか? だが、そこにプジョーのインテリジェンスがある。クルマを肥大化させてキャビンを広くする時代は終焉した。これからはより高いスペース効率を求める時代にあると明言する。



では、3気筒エンジン搭載車に話を移そう。日本仕様のモデルは「208 Allure」となる。2012年12月1日に発売したグレードだ。心臓は自然吸気の1.2リッター直列3気筒エンジンで、最高出力は82psとなる。

車両重量1,070kgは4気筒エンジン搭載の「208 Cielo」からマイナス110kg。軽量ボディといって遜色ない重量だ。

だが、このクルマの目玉はほかにもある。5段MTだというところ。マニュアルシフトで82ps 3気筒ユニットを軽快なシフトワークでキビキビ走らせることができる。フランス車好きならご存知のように、これがホットハッチの醍醐味だ。カチャカチャ忙しくシフトを動かしながら走らせる楽しみはこの上ない。まぁ、助手席の女子目線は冷ややかかもしれませんが、ね。

Peugeot 208|プジョー 208

ホットハッチの醍醐味を味わえる

プジョー208に試乗(3)

貴重な存在

ということで、久々にマニアックなクルマに出会った。高回転型ユニットを手応えあるシフトで操作するのはじつに楽しい。でも、こいつのよさはそればかりでない。エクステリアのエレガントなデザインもそうだし、インテリアの質のいい仕上がりもまた、フランス車ならではの高級感を醸し出す。同クラスの日本車との差はあきらか。これなら助手席に導いた女子もうっとり。

Peugeot 208|プジョー 208

Peugeot 208|プジョー 208

それはともかく、MTが絶滅種となりつつあるこの国で、「208 Allure」は貴重なクルマであることは間違いない。この辺をお探しの方は“輸入中止”なんてことになる前にご購入を検討してみてはいかがだろうか。セカンドカー、サードカーとして、ハッピーカーライフをおくらせてくれるにちがいない。

spec

Peugeot 208 Allure|プジョー 208 アリュール
ボディサイズ|全長 3,960×全幅 1,750×全高 1,470 mm
ホイールベース|2,540 mm
重量|1,070 kg
エンジン|1,199cc 直列3気筒 DOHC
最高出力| 60 kW(82ps)/ 5,000 rpm
最大トルク|118Nm / 2,750 rpm
トランスミッション|5段マニュアル
駆動方式|FF
タイヤ|195/55R16
ブレーキ 前/後|ベンチレーテッドディスク / ドラム
燃費(JC08モード)|19.0 km/ℓ
価格|199万円

Peugeot 208 Cielo|プジョー 208 シエロ
ボディサイズ|全長 3,960×全幅 1,750×全高 1,470 mm
ホイールベース|2,540 mm
重量|1,180 kg
エンジン|1,598cc 直列4気筒 DOHC
最高出力| 88 kW(120ps)/ 6,000 rpm
最大トルク|160Nm / 4,250 rpm
トランスミッション|4段オートマチック
駆動方式|FF
タイヤ|195/55R16
ブレーキ 前/後|ベンチレーテッドディスク / ディスク
燃費(JC08モード)|13.4 km/ℓ
価格|240万円

Peugeot 208 GT|プジョー 208 GT
ボディサイズ|全長 3,960×全幅 1,750×全高 1,470 mm
ホイールベース|2,540 mm
重量|1,200 kg
エンジン|1,598cc 直列4気筒 DOHCターボ
最高出力| 115 kW(156ps)/ 6,000 rpm
最大トルク|240Nm / 1,400-3,500 rpm
トランスミッション|6段マニュアル
駆動方式|FF
タイヤ|205/45R17
ブレーキ 前/後|ベンチレーテッドディスク / ディスク
燃費(JC08モード)|15.2 km/ℓ
価格|258万円

           
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