GIORGIO ARMANI|成宮寛貴が着こなすジョルジオ アルマーニ
FASHION / MEN
2015年5月4日

GIORGIO ARMANI|成宮寛貴が着こなすジョルジオ アルマーニ

GIORGIO ARMANI|ジョルジオ アルマーニ

うら若き革新者――ノンリミットに生きるということ

成宮寛貴、あたらしい着こなしの基準(1)

ファッションとは、それをまとう人間がどんなスタイルをもっているかによって決まる――ジョルジオ アルマーニ×OPENERSの年間連載最終回を締めくくるのは俳優 成宮寛貴さん。「ジョルジオ アルマーニ」というミラノのラグジュアリ―ブランドを、「いまの成宮寛貴」が東京でどう着こなすのか――? パーソナリティをふくめ、ここで語ってくれた。

Photographs by NAKANO Hirohisa(ANARCHIC AGENCY)Styling by MARUYAMA AkiraHair&Make-up by INOMATA(&'s management)Edit by NAKAMURA Akiko (OPENERS)

洋服に、自分を“アゲ”てくれるパワーがある

強い視線から放たれるのはどこかアンドロジナスな印象。落ち着きのある声のトーンで、思慮深くゆっくりと言葉を選びながら喋る姿から受けるイメージは、聡明さ。時おり、少年のように屈託なく笑う。俳優 成宮寛貴さんは、今年30歳を迎えたばかりである。

「今日あらためてジョルジオ アルマーニを着てみて思ったのは、やっぱり色がきれいですよね。ネイビーはネイビーでも、エレガントな光たくがある。それに素材。ベルベットはアルマーニらしい素材ですが、自分がワンランク上がるような感じがします。ボタンひとつディテールをみても、ほかとはちがう。いつもよりは少し大人っぽく。大人っぽくすることは、男の場合もやっぱり楽しいんですよ。背伸びをするという意味ではなく、洋服をまとうことによって自分に期待ができるようになる。洋服のもつパワーを今日は感じましたね」と、撮影後のインタビューで話しはじめた。

「最近は、昔よりは自分に似合うものが分かってきましたね。以前はヴィンテージの革ジャンなど“安くていいものを”と思って探していたりもしましたが、いま選ぶものはキレイになめしてあるものや、上質で着心地がいいものであったり。それに色の選び方も変わりました。ベージュは着るひとの持っているものがすごく出る色だと思うのですが、そういう色にもトライするようになった。着こなし方も、ハイ&ローをうまくミックスしたりもしますね。ある程度自分に似合うものが分かると、例えばすごくいいアウターを手に入れたら、インナーにはどこのものでもないようなTシャツを合わせる、というように」

GIORGIO ARMANI|ジョルジオ アルマーニ 02

そんな成宮さんと、ジョルジオ アルマーニとの出会いは鮮烈だ。

「昔から、母のクローゼットにはジョルジオ アルマーニがありました。中学生のころに、顧客向けのランウェイショーが確かホテルニューオータニであったのですが、ちょうど母が出席できないので僕が行ったんですよ。その時、ショーの後にホテル内のアルマーニのお店に行く途中の階段でジョルジオ・アルマーニ本人とすれ違って。“きみすごくいいね”という感じでチュッとされて(笑)」

幼少のころから憧れをもって見ていた、というジョルジオ アルマーニのアイテムは、いまでもやはりおなじような気持ちを感じるのだという。

「実際に母が着ているのを見たり、ショーを見たりしても、すごく夢があると思いました。いまは僕も着ますが、ジョルジオ アルマーニを着る自分というものはちょっと“アゲ”なんですよね。やっぱりいいものはいい。僕は仕事では基本的にはドア・トゥ・ドアなことが多いので、寝間着で移動できてしまうんですね。そういうときにもちょっとアルマーニのジャケットを羽織ったり、ストールを巻いたりするだけで、寝間着に見えなくなる(笑)。最近はそんなふうにちょっと気をつけているんです……どこに行っても恥ずかしくないように」

最近のお気に入りはジョルジオ アルマーニの眼鏡だそう。このインタビュー時にも「気に入って毎日かけていますね」と語ってくれたが、フレームもテンプルも細いブラウンゴールドの落ち着いたデザインのものだ。

「ジョルジオ アルマーニの小物は、友人へのプレゼントにもいいんですよ。友人には、そのひとに似合うもので、かつ最上級のものをあげたい。男友達だったらジョルジオ アルマーニかトム・フォードの小物。そういうものを選びたいですね。男ってなかなか自分で小物を買わないですしね」

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GIORGIO ARMANI|ジョルジオ アルマーニうら若き革新者――ノンミリットに生きるということ

成宮寛貴、あたらしい着こなしの基準(2)

「僕は割と物怖じせずお店に入っていくタイプなのですが(笑)、ジョルジオ アルマーニやエルメスは、もしかすると若い子たちには敷居が高いのかもしれない。でも大人が着るものだと勝手に思い込まずに、自分に何かを期待して、トライしてみることが大切だと思います」

自分はいつも、それを忘れないようにしているのだと成宮さんは言う。

「食べ物にしてもおなじで、一度苦手だと思ったメニューがあったとしても、自分の好きなお店で再トライしてみたり……そういった自分が齢をとっていくことによって変化していく“何か”。その“何か”に期待して前に進んでいく、イコール楽しく生きていくことだと思うんですよね。基本的に大変な毎日なので、その大変なことをいちいち気にしていたらキリがないし、その大変さやストレスやプレッシャーさえを、どう楽しんでいくかの方が重要。そういうことが僕自身、最近は実際に楽しめるようになってきました。そうすると自分の内側から出てくるエナジーも変わってきて、その時の自分にふさわしいものが手に入るようになる」

以前、リアルファーのコートを手に入れたことがあったが、まったく似合わなかった経験もある。

「単純に似合う似合わない、というのもあるでしょうが、まだまだ自分がそこにはいけないんだと感じたんですよね。30歳を過ぎて真剣に思うのは、これからは中身で勝負だな、と。若いうちに楽な方へ逃げていくと、あとで本当に大変な思いをすることになる。つねにトライしていくことが大事ですよね。僕の仕事は正しい答えがあるわけではないので、その答えがないことに対して、不安や満ち足りない気持ちもいつもあるのですが、そこから逃げちゃいけない。最近本当によく思います」

GIORGIO ARMANI|ジョルジオ アルマーニ 04

まだ10代だった成宮少年が出会ったジョルジオ・アルマーニが、大人になるにつれてさらに身近な存在になってきた。ホテルニューオータニの階段でジョルジオ本人と出会ってから約10年を経たころ、アルマーニ / 銀座タワーのオープニングのさいに、また本人とのエピソードがあるのだという。

「じつは僕は、ちょうど5年前のアルマーニ / 銀座タワーのオープニングパーティに、どうしても仕事で行けなかったんです。ジョルジオ・アルマーニ氏も来日するというタイミングだったので、ぜひ行きたかったのですが……そういう場合、切り捨てられることもあると思うのですが、ジョルジオからは額に入ったサイン入りのポートレイトをいただいて。その時、ひととひととのつながりに、非常に愛をもって接している方なのだと思ったんですよね。僕の仕事はまったく知らない他人がいきなりぎゅっと密集して、ばっと解散してということの繰り返しなので、そこでどれだけ相手に興味をもてるかであったり、何にでも愛をもって接することが大切なんです。初対面だと、ある程度偏見ではないけれど、固定観念をもって接してしまうこともありますよね。僕はその枠をなるべく取っ払って、変化することを恐れずに付き合っていきたい。変化にはもちろんリミットはありますが、でも僕はノンリミットがいい。将来的には、どこまでも受け止められるような男になりたいです」

そんな成宮さんのフィロソフィーは、ジョルジオ アルマーニともつながる。

「僕が最初に知ったアルマーニは、1980年代にジョディ・フォスターが着こなしていたような、パワーショルダーのスーツだったけれども、そのころからだいぶ変わりましたよね。アルマーニには一貫したアルマーニらしさがずっとあると思うのですが、そういう“なくしちゃいけないもの”をなくさずに、進化していくことってすごく難しいこと。自分のなかのベーシックやコンセプトを崩さずに、毎回あたらしいものに果敢にトライしていくようなーーそれを追求していくということは絶対に次の自分のステップになるものですが、そういうふうに生きているひとは、アルマーニを見たときにピンとくるものがあると思うんです」

GIORGIO ARMANI|ジョルジオ アルマーニ 05

「僕が仕事をしていて感じるのは、役者というのは映し鏡。エンターテイメントとして何かを表現するひとは、それを観るひとに何かを共感してもらわないといけない。表現することが何かというと、“愛”だったり“死”だったり、普遍的なものなんだと思うんです。けれどもその時代によって捉え方が変わってくる。辛い思いをしているときにはファンタジーが欲しいし、逆に自分より辛いひとを見てほっと安堵するようなそんな感情もあるかもしれないし。時代に対しての嗅覚があるかが大切だと思っているので、ジョルジオのクリエイティブにも共感するのかもしれないですね」

プレゼントされたジョルジオのポートレイトはいまどこに? という質問に対しては「いまでも僕の家のリビングに飾っていますよ。マイケル・ジャクソンの横にね(笑)」と答えてくれた。

彼はきっとこれからも、これまでとおなじように、自分の思う方向へと舵を取り、進みたい所へと向かいつづけるだろう――それは、演じるということにしても、スタイルにしても。躊躇することなく、軽やかに。

成宮寛貴|NARIMIYA Hiroki
俳優。1982年9月14日生まれ、東京都出身。2000年に舞台「滅びかけた人類、その愛の本質とは…」(演出|宮本亜門)で俳優デビュー。その後、「いま、会いにゆきます」「ヤンキー君とメガネちゃん」「NANA」「ドロップ」「逆転裁判」「のぼうの城」など、数々のドラマや映画に出演する。2012年10月からはテレビドラマ「相棒 season11」に三代目相棒として出演中。2013年1月1日(火)21時~「相棒」(テレビ朝日系列、元日スペシャル放送)に出演、2013年5月より映画「クロユリ団地」公開予定。

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