大門酒造 伝統の継承者としての新たなる挑戦|DAIMON BREWERY

大門酒造 伝統の継承者としての新たなる挑戦|DAIMON BREWERY

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EAT|大門酒造

伝統の継承者としての新たなる挑戦 (2)

良い酒を造るためにすべきこと

現在、代表取締役CEOとして大門酒造の経営を取り仕切るのは、米国出身のマーカス・コンソリーニ氏だ。日本文化に造詣が深いこと、京都の町家再生プロジェクトに関わった経験があること、実家が飲食ビジネスを展開していることなどが、大門の新たなる挑戦への大きなチカラとなっている。

「日本では、長い歴史があるものが人知れず失われていく。海外であれば、大門酒造ほど歴史がある酒蔵が危機にあるとなれば、大きな話題になるはずなのに。

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代表取締役CEOマーカス・コンソリーニ氏

日本では、誰かに助けてほしいと声を上げることが、格好悪いことだと思われているのかもしれません。だから、静かに消えゆく伝統も多いのでしょう。伝統的な文化に憧れを持つ者にとっては、驚くべきことです。古いものを壊してしまったらもう取り返しがつかない。損失の重大性がよくわかっている大門酒造には、助けを求める勇気があったのです。

もし、国内で手立てが見つけられないなら、海外に目を向けて欲しい。喜んで手を差し伸べる人々が海外には多くいるのです。それほど日本の文化を敬愛している者は多い。今回の大門酒造の件が、良いモデルケースになってくれることを願っています」

日本人が考える以上に、日本文化を敬愛している人々は海外にもいるのだ。

今年6月には、昨年10月に仕込みを始めた新しいシリーズ「山」も完成する予定だ。大門酒造の周辺に広がる水田で実った酒米と、生駒山系の湧き水を仕込み水にした、地元の素材のみで作られた純米大吟醸。酒蔵の背後に聳え立つ山々に敬意を表してその名がつけられた。また、200年近い大門の歴史で初めて、年代物の古酒や季節限定の酒も販売を予定しているというから楽しみだ。

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新たな出発を果たした大門酒造は、良い酒を造ったその先も見据えている。現在は、江戸末期に建てられた仕込み蔵を改造したレストラン「無垢根亭」を週末限定でオープン。地酒と料理を味わえると人気を集めている。

また、ジャズや落語のイベントも定期的に開催するなど、日本酒のある楽しい生活をさまざまなスタイルで提案。毎週金・土曜日には、酒蔵見学・試飲ツアーも行っている。この4月には、昨年の10月1日に第一回目が行われた「大門フェスティバル」の第二弾も開催された。今後は4月と10月の年2回、地元の食と大門の酒を楽しめるイベントを開催していくという。

「いいお酒を造るのが生き残る道。やるべきことをやるだけ。何をすべきかはわかっている。問題はそれが実現できるかどうかなんです」。昨年10月のフェスティバルで、大門氏が語ったその言葉が印象的だった。

良き理解者を経て、やるべきことができる環境を整える。それも、伝統の継承者が背負う大事な使命なのだ。多くの伝統が“環境”を失って消えていく中、大門酒造が選んだ道は、今の日本が伝統とともに生きるためのひとつのヒントになるのではないだろうか。


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大門酒造株式会社

大阪府交野市森南3-12-1
http://www.daimonbrewery.com/

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牧口じゅん

牧口じゅん|MAKIGUCHI June 共同通信社、映画祭事務局、雑誌編集を経て独立。スクリーン中のファッシ […]