イアン・カラム氏がジャガーF-TYPEを語る|Jaguar
CAR / FEATURES
2015年1月26日

イアン・カラム氏がジャガーF-TYPEを語る|Jaguar

Jaguar|ジャガー

ジャガーデザイナー、イアン・カラム氏が「Fタイプ」を語る

ジャガーのスポーツカー、「Eタイプ」の後継車種が登場するという話題は、1998年、パリサロンで「XK180」というクルマが登場したところまでさかのぼる。2000年、この「XK180」をさらに発展させた「Fタイプ コンセプト」が登場。当時、フォード傘下で往年の人気車種の復活をふくめ、モデルレンジを拡大していたジャガーによる「Fタイプ コンセプト」は、ジャガー史上もっともコンパクトなスポーツカーとして、1からつくりおこされ、注目を集めた。その後、一度は途絶えてしまった「Fタイプ」計画。2010年、コンセプトモデル「CX-16」を経て、2012年、パリモーターショーでついに、市販車としての「Fタイプ」がデビューした。2000年の「Fタイプ コンセプト」時代から、スタイリングディレクターをつとめていたイアン・カラム氏に九島辰也氏がパリでインタビューした。

Text by KUSHIMA Tatsuya

Fタイプは純粋なスポーツカー

かつていちどはその狼煙をあげた「Fタイプ」。だがミッドシップのスポーツカーはまさに幻のクルマとして終わった。あれから10余年。ついに「Fタイプ」が登場、今回のパリモーターショーで全貌があきらかになった。スポーツカー好きで名を馳せるデザイナー、イアン・カラム氏がパリモーターショーの会場で「Fタイプ」について語る。

 

──パッケージングについて教えてください。

このクルマは、V型8気筒エンジンを搭載することを前提としてつくられています。つまり、クルマのディメンション、特に全幅はそれにあわせているといっていいでしょう。今後もし、エンジンをダウンサイジングさせ、直列4気筒エンジンのみになることがあれば、全幅は変わりませんが全長は短くできます。

ジャガーデザイナー、イアン・カラム氏が「Fタイプ」を語る|Jaguar

ジャガーデザイナー、イアン・カラム氏が「Fタイプ」を語る|Jaguar

──FRである理由は?

以前「Fタイプ コンセプト」をミッドシップで発表したことがあります。ですが、シャシーチームは反対でした。なので、こうしたFRのパッケージングがなされています。スポーツカーはミッドシップかFRだとおもいます。

──インテリアの特徴は?

インテリアはまずシンプルであることが大前提です。スポーツカーとはそういうものだとおもいます。そして運転席と助手席がわかれているというのも大切。

実車を見ていただければわかりますが、センターコンソール助手席側にグリップをつけました。これでドライバーは独立した自分の世界を感じられます。スイッチ類を機械的にデザインしたのもおなじ理由です。スポーツカーらしさを具現化しています。

──「XK」シリーズとのちがいは?

「XK」はいわゆるGTカーです。2+2のシートレイアウトがそうですし、それによってつくられたディメンジョンもそうです。ですが、「Fタイプ」は純粋なスポーツカー。ドライバーズシートに座れば納得していただけるとおもいますが、「XK」よりもタイトでクルマとの一体感を得ます。それに「XK」とはシートポジションもかえています。

──会場にはいろいろなボディカラーの「Fタイプ」がありますが、デザインするうえでイメージした色はありますか?

レッドをイメージして「Fタイプ」をデザインしました。「XK」のレッドは売れなかったのでカラーパレットから消えましたが、今回「Fタイプ」で復活です。

そのレッドに組みあわせたホイールもつくりました。もちろん何種類かありますが、ダーク系が流行なのでそれにカーボン調のカラーリングを組みあわせてつくってみました。

インテリアはチャコールのレザーにボディカラーとおなじ赤いステッチを入れています。気にいっているコーディネイトです。

「Fタイプ」のコンセプトカー、「CX-16」は昨年のフランクフルトモーターショーではグレー、そのあとのロサンゼルスモーターショーではホワイトを展示しましたが、これでいろいろなイメージが広げられるとおもいます。

個人的には、ブラックのボディカラーにレッドのインテリアも好きですね。ウエストラインから浮かびあがるレッドがとてもかっこいいとおもいます。

──次期「XK」はすでに考えていますか?

つぎは当然大きく変わっているとおもいます。このモデルはどうあるべきか? ということと、もっといいものにするには? ということを考えます。まだ話せませんが、ご期待ください。

──他メーカーで気になるデザイナーはいますか?

VWグループのデザインを統括しているワルター・デ・シルヴァ氏と、KIAのピーター・シュライヤーですかね。ピーター・シュライヤーはグッドガイであり、グッドデザイナーです。今後の活躍を期待したいですね……

           
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