LOOPWHEELER|ルモアズ別注、ドレスパンツにも合うカーディガン
FASHION / NEWS
2015年8月3日

LOOPWHEELER|ルモアズ別注、ドレスパンツにも合うカーディガン

プレスライン入りのドレッシーなパンツにも合う!

ループウィラー×ルモアズのスウェットカーディガン完成!(1)

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エクスクルーシブな素材によるスウェットパーカが好評だった、今春におこなわれたループウィラー×ルモアズによる別注企画。今回は“ドレスパンツに似合う”という点に重きをおいた、モードな顔つきのスウェット地のカーディガンだ。細部の作りにまでこだわり抜いた渾身の一着に仕上がっている。その過程や想いを前回同様、ループウィラー代表 鈴木 諭氏とルモアズのディレクター 松本博幸氏に語ってもらった。

Text by INOUE ShunPhotographs by TAKADA Midzuho

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質実剛健なスウェットカーディガンを現代的にアレンジ

ビックメゾンからのラブコールも、きちんと取捨選択し、自分たちの納得がいくブランドやメーカーとの協業に取り組んできたループウィラー。そんな強い信念を持った鈴木氏と良好な関係を築いてきたECサイトのルモアズは、この秋冬も別注アイテムを展開する。前回作り上げたエクスクルーシブなスウェット生地をベースにした、カーティガンの出来ばえやプロセスを詳らかにしていこう。

LOOPWHEELER|ループウィラー 02

──カーディガンを別注することになった経緯を教えて下さい。

松本 当初はカーディガンとTシャツのアンサンブルを予定していました。セットでの提案も新鮮だなと思いまして。ただファーストサンプルが上がってくると、予想以上にカーディガンの出来が良くて、単品で展開することにしたんです。ドレスパンツに合うシルエットへと方向転換したので、カーディガンだけで売り出した方が、メッセージがシンプルではないかと。

鈴木 元となったのは、ループウィラーで定番として出しているスウェットのカーディガン。ライトな生地の「LW180」と最も薄手な「エキストラライト」の2タイプで展開しています。そのベースとなっているのは1940~50年代頃のヴィンテージです。シルエットを微調整し、ポケットをパッチタイプにするなど、アレンジしつつも、あくまでもオーセンティックなデザインに仕上げています。もちろん王道のアメカジアイテムとも相性は良いのですが、個人的にはコットンオックスフォード地のボタンダウンシャツにオールデンなどを足元に合わせた、アメリカントラッドが気分です。パンツはやっぱりデニムですかね。

松本 今回も前回同様、風合いや着心地など、ループウィラーの良さはしっかり継承しています。そこから、ドレスパンツにも合わせやすいモダンなシルエットやルックスに変更しました。先ほどの鈴木さんの話を踏まえて言えば、従来のモデルはアメリカ寄りで、この別注品はヨーロッパの香りが強い、というのが分かりやすいでしょうか。身幅を従来のものより細くし、ボタンもかなり小さめのものを採用、すっきりとさせました。最もこだわったのが、袖と裾のリブの長さ。とくに裾のリブを極端に短くすることで、シャツをタックインした時のバランスも絶妙になりました。もちろん、デニムにも合うように。

LOOPWHEELER|ループウィラー 03

──ポケットは、パッチタイプからシームレスな形になっていますね。しかも左側のみに配されています。何か理由があるんですか?

鈴木 実は5月に上がったファーストサンプルの段階では、まだ両方にポケットが付けていたんです。ただ、どうも両側にあると野暮ったく見えてしっくりこなかった。しかも、その時は袖や裾のリブも今より長めで。キレイめスタイルとの合わせを想定すると、もっと思い切ってシンプルにした方がいいっていう結論に達したんです。形自体はパッチだと存在感が強いので、フラットにしてさりげなさを重視しました。

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松本 ウールパンツと合わせるとなると、リブは短いくらいがおさまりがいい。お洒落の達人であれば、従来のモデルくらいのリブ幅でも上手く着こなせるんでしょうが、なかなかそうはいかないんです(笑)。ファーストサンプルでも全体的にリブは短くしたつもりなんですが、なんだか中途半端な感じが否めなくて。とくに裾は大胆に変える必要がありました。そうすると、ポケットと裾の「余白」も気になってくる。そのためファーストサンプルの時よりも、実はポケットの位置そのものを下げています。かつ右ポケットを省略することで、フロントに開放感が生まれ、洗練された印象に仕上がりました。

プレスライン入りのドレッシーなパンツにも合う!

ループウィラー×ルモアズのスウェットカーディガン完成!(2)

別注企画はまだまだ続く

──お話をきく限りでは、制作はかなりスムーズに進んだんですね。

鈴木 前回もコラボを行っているので、今回はわりと阿吽(あうん)の呼吸に近い形でできました。松本さんの要求はすごく明確で、こちらをリスペクトしてくれているので、非常にやりやすい。素材も以前と同じものを使用しているので、そういった面でもスムーズにいった気がします。

松本 吊り編み機の技術や縫製など、ループウィラーのスウェットは本当に完成度が高い。本物ということなのです。そこにルモアズらしさというか、自分の考える感覚を具現化してもらうんです。しかも鈴木さんは“テーラードのもの以外はすべて作った”というほど、現場を長年経験してきた人。数々のブランドのデザイナーともやり取りをしてきて、苦労する局面にも対応してきたはず。だから、僕が言う前に、シーマーを変えたりしてくれて。僕なんかのお願いはお見通しだし、簡単に解決してもらえるんですよ(笑)。

LOOPWHEELER|ループウィラー 11

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──このカーディガン、どんな風に着こなすのがイメージでしょうか?

松本 先ほどもお伝えしたとおり、ドレスパンツに合わせることも意識して作ったスペシャルモデルです。いわゆるインコテックスやG.T.A.などのイタリア系ブランドのドレスパンツをはいても遜色のない、そんなカーディガンを目指しました。もちろん本来の持ち味であるデニムとの相性のよさも変わらずに保っています。つまりドレスカジュアルからアメリカンカジュアルまで、幅広いジャンルに対応する希有なスウェットカーディガンに仕上がったと思っています。

鈴木 今はまだ展開しているブランドも少ないスウェットカーディガンですが、これから確実に増えると思います。そんな先取り感の高いアイテムでもある。松本さんの手によって、かなりモダナイズドされたので、キレイめなワードローブが多い方にもきっと気に入ってもらえる1着になっているはずです。

松本 最近オウプナーズやルモアズは、海外からのアクセスが非常に増えています。ループウィラーもフランスのコレットなどで取り扱われるなど、海外でコアな人気を誇っています。実は前回の別注パーカを紹介したとき、海外からの問い合わせのほうが多いくらいだったんです。おそらく今回もヨーロッパの人たちに気に入ってもらえると自負しています。これからも日本の職人さんやブランドの良さを、国内だけでなく海外にまで伝えていければうれしいですね。

──ちなみに次シーズンも別注は展開するんですか?

松本 もちろんです。今度はボーダーのバスクシャツの色別注を予定しています。すでにそのイメージは、鈴木さんにお伝え済みですよ。定番のホワイト×ネイビーとはまた違った表情の、大人らしい遊びの利いたカラーリングになるはず。どこもまだコラボしたことのないアイテムなので、今から出来上がるのが楽しみで仕方ないですね。

鈴木 ちなみにこれも吊り編み機で仕上げているんです。理論上は可能なんですが、実際に吊り編み機でボーダー柄を表現したのはループウィラーが世界初。そのあたりについては……長くなるので、次回ゆっくりお話しします(笑)。

LOOPWHEELER|ループウィラー 14

──ありがとうございました。

ループウィラー
http://www.loopwheeler.co.jp/

鈴木 諭|SUZUKI Satoshi
1959年、静岡県生まれ。法政大学卒業後に繊維業界へ進む。独学で服作りを追求し、99年、吊り編み物しか扱わないというスウェットシャツのブランド「LOOPWHEELER(ループウィラー)」を立ち上げる。長年カット&ソーの企画生産に携わり、築き上げた人脈と信頼、確かな技術力と生産工場を背景に、メイド・イン・ジャパンによる品質の高さと、その哲学的な部分まで次世代に伝えたいと考えている。ヴィンテージのスウェットシャツの研究はもちろん、旧式吊り編み機、そして編み方など技術的なことまで含めて研究を続ける、スウェットのスペシャリスト。

松本博幸|MATSUMOTO Hiroyuki
1969年生まれ。学生時代にクルマ専門誌の編集と営業を経験後、株式会社ワールドフォトプレス入社、広告営業部に配属。『世界の腕時計』『モノ・マガジン』をはじめ、数多くの雑誌に携わる。2005年に退社し、「SHIBUYA-FM」の制作プロデューサーや、アパレルブランドのコンサルティングおよび商品開発を手掛ける。06年、七洋株式会社設立に参画し、「オウプナーズ」「ルモアズ」を立ち上げる。ファッション業界のみならずさまざまな業界に幅広い人脈を持つ。現在同社常務取締役であり、ルモアズのMDも務めている。

           
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