祐真朋樹・編集大魔王対談|vol.29 黒木理也さん

祐真朋樹・編集大魔王対談|vol.29 黒木理也さん

祐真朋樹対談

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メゾン キツネ代官山オープンから一年。今後の展望は?

祐真 いいストーリーですね。彼らは何歳ぐらいなんですか。

マサヤ リーダーが23歳で、他は20〜21歳。デモを送ってきた当時は、キーボードの子なんて17歳でしたからね。今はベルリンに住んでいて(写真を見せて)こんな感じですよ。ヴィジュアルもいいし、みんなイケメン!

祐真 ファッションにしても、ニューヴィンテージを彷彿とさせていて、いいですね。ちなみに、KITSUNÉのレーベルに所属しているアーティストたちは、みんなメゾン キツネを着ているわけではないでしょう?

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マサヤ 「これが欲しい」と言われたら店でディスカウントしますけれど、もちろん強制はしていないです。アーティストは、生き方や環境、着る服すべてが彼らのスタイル。パーセルズも来日した時は毎日ヴィンテージショップに行って、寝ていないですからね。今の時代はオンタイムで情報を得られるけれど、彼らは過去のものを見て着て感じて、逆に時間をさかのぼる。機材にしてもあえて古い音を出すものを探して使ったりしているんです。だから、古着をひととおり見た後は、渋谷とか新宿にある古い楽器屋さんに行っていましたよ。モダンな東京は何も見ずに(笑)。

祐真 面白い! そもそも、オーストラリアの若者たちっていうのが珍しい。欧米からするとかなり遠いし、カルチャーも違う。でも、そういうところに埋もれている才能は、探せばあるはずですよね。

マサヤ もちろんあると思うし、発想にしても僕らにないユニークさを持っている。環境が変われば思考も変わるというのは、絶対にあると思います。

祐真 僕も一時期ゴールドコーストにハマって、3年ぐらい年末年始に通っていたんですよ。直行便がなくなって行かなくなったんですけど、居心地がいいし、人もすごくいい。

マサヤ みんなフレンドリーで、フェスでもハッピーで一日中ハグしている感じですよね。それと、ストリートでも東京では絶対に見られないようなスタイルをしているのが面白い。オージーならではのスタイルというか、スキニージーンズをぼろぼろにして穿いているし、VANSを履いているカルチャーも長い。何よりも蛍光カラーを世界で一番可愛く着るキッズたちがいる。

祐真 蛍光色は積極的に着ているイメージがありますよね。ゴールドコーストなんてアディダスしかなかったりして。しかも、オシャレなアディダスじゃなくて、リアルアディダス。もしくはビラボン。でも着てみたら「ビラボン、いいじゃん!」ってなって、それを着てバーベキューをしてました(笑)。

マサヤ グローバルに響いていないスタイルで、トレンドの波の中にも入り込んでいないプロダクトを着てバーベキューなんて、かなりの開放感がありそう(笑)。オーストラリアは何よりも時差がないのがいい。僕も日本にいることになったことだし、これからもっとオーストラリアに行こうかなと思っています。

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祐真 じゃあ、そろそろ服の話をしましょうか。代官山にメゾン キツネの店ができて一年。手応えはどうですか。

マサヤ 嬉しいことに順調に行っています。なかでも、外国からの観光客が、代官山店の空間を写真に撮って、SNSとかでシェアしてくれているのを見ると本当に嬉しい。従来の和のスタイルを崩して、自分が発想するモダンな和の空間にこだわったわけだから、そういう反応は素直に喜ばしいことですよね。

祐真 代官山の店は、改装前のホテルオークラへのオマージュでもあるんですよね。

マサヤ 一階は特にそうです。壁やライティングもそうだし、オープンした時にオークラのロビーにインスパイアされた椅子を置いたほど。和のカッコよさをもっと海外の人にも見てもらいたいという、今までなかった気持ちが出てきたのかもしれないですね。小さい頃から外国に出て、10代はヨーロッパで育って、その後ニューヨークに住んで、今は日本在住。和のカルチャーと適度な距離感があったからこそ、こういう空間を作る発想が出てきたんだとも思っています。

祐真 マサヤくんのバックグラウンドであれば、そういうものは必然的に出てくるでしょうね。それと、9月にはニューヨークにお店ができると聞きましたけど。
 
マサヤ そうなんです。ニューヨークファッションウィークに合わせて、ソーホーでレビューします。「ちょっと無理し過ぎじゃないの」とも言われましたけど、できる時にやらないと。それと、10月には京都に直営店がオープンしますよ。140年の歴史がある……

祐真 藤井大丸! 僕は、藤井大丸で中学生の時にファッションデビューしていますからね(笑)。

マサヤ じゃあオープニングの時には、DJをお願いします(笑)。メゾン キツネが関西でデビューする時は京都と決めていたんです。将来的には、大阪にも神戸にもオープンしたいけれど、まずは京都。京都の人って新しいものに対して常に敏感だし、センスもトンがっている。自分たちのように、コーヒー屋さんをやって音楽のレーベルを持って、さらに洋服もやっているっていうタイプの人間は、果たして受け入れられるのかなと思っていたけれど好感触で。だから今はしょっちゅう行っています。京都、おしゃれですよね。

祐真 京都のいいとこ、教えてくださいよ(笑)。今回は久々に会いましたけれど、マサヤくんはいつも精力的に動き続けてますよね。オージーの若い子たちと曲を作って、お店をオープンさせて、世界中をいろいろ飛び回っていて楽しそう。さらに、それらは全部マサヤくんじゃなきゃできないこともであるわけだし。

マサヤ やっている僕自身がすごく楽しいし、楽しくないとやれないと思う。それに、みんなは僕よりもリアリストなんだと思う。自分は現実味がないほうだから(笑)。

祐真 外に発信していけるっていうのが強みですよね。日本にはいいものがいっぱいあるけれど、いいカタチで外に出していけるのは必ずしも得意じゃない。感性の豊かな時期をヨーロッパで過ごしていた、マサヤくんならではなんでしょうね。

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SUKEZANE Tomoki

1965年京都市生まれ。(株)マガジンハウスのPOPEYE編集部でファッションエディターとしてのキャリアをスタート。現在は『UOMO』『GQ JAPAN』『Casa BRUTUS』『MEN’S NON-NO』 …