ボルボ「XC60 T5 R-DESIGN」に試乗|VOLVO
CAR / IMPRESSION
2015年1月27日

ボルボ「XC60 T5 R-DESIGN」に試乗|VOLVO

VOLVO XC60 T5 R-DESIGN|ボルボ XC60 T5 R デザイン

ボルボ「XC60 T5 R-DESIGN」に試乗

日本でのセールスも好調なボルボ。そのミドルレンジSUVである「XC60」にはこれまで4WDモデルの「T6」のみにスポーティーグレード、「R-DESIGN」が用意されていた。しかし今回あらたに2WDモデルの「T5」にも「R-DESIGN」がラインナップとなった。OPENERSでは、あらたにくわわったこの「XC60 T5 R-DESIGN」の試乗を九島辰也氏に依頼、ハンドルを託した。

Text by KUSHIMA Tatsuya Photographs by NAITO Takahito 名official Photographs

ボルボ、ヨットレース、アドベンチャースピリッツ

このところ街で見かけることが多くなったボルボ。「XC60」とそれ以降の新デザイン世代となる「S60」「V60」をくわえ、都心ではすれちがわない日はない。

それもそのはず、販売は好調でドイツ勢有利の日本の輸入車マーケットにおいてボルボはひとり、気を吐いている。スタイリッシュなフォルムとセンスのいい装備、それとシティセーフティやヒューマンセーフティといった安全装備が浸透してきたのだろう。2、3ヶ月前も60シリーズよりもコンパクトになる「V40」を海外でいち早く試乗してきたが、こいつもかなりご機嫌な仕上がりだった。日本上陸は2013年まで待たなくてはならないが、発売すればすぐに人気になるのは必至。そう考えるとボルボの快進撃はまだまだつづくく気がする。

VOLVO XC60 T5 R-DESIGN|ボルボ XC60 T5 R デザイン

VOLVO XC60 T5 R-DESIGN|ボルボ XC60 T5 R デザイン

そんな「60シリーズ」と新世代「40シリーズ」登場の狭間ということだろうか、このところボルボにスペシャルエディションが増えている。つい最近も「V60」「V70」「XC60」「XC70」の「オーシャンレース・エディション」が追加されたばかり。大海原を疾走するレーシングヨットをイメージした仕様は、海を趣味としない人までも気持ちのいい世界に引き込む。実際にボルボオーシャンレースを海外に取材に行った立場から言わせてもらうと、オーシャンレース・エディションの価値は日本よりも海外の方が高そうだ。特にヨーロッパでは「ボルボ=ヨットレース」の図式が出来上がっていて、このブランドにたいし、アドベンチャースピリッツを強く抱いている。

VOLVO XC60 T5 R-DESIGN|ボルボ XC60 T5 R デザイン

ボルボ「XC60 T5 R-DESIGN」に試乗 (2)

T5にR-DESIGNが追加された

それはともかく、今回またあらたに「XC60 T5」に「R-DESIGN」が追加された。人気の「XC60」にまたひとつ価値のたかい魅力的なグレードが登場したのだから、見逃すわけにはいかない。

と、その前に「XC60」のラインナップを今一度整理しよう。

これまで「XC60」には2リッターターボの「T5」と3リッターターボの「T6」があった。前者は240psの最高出力とFWDの駆動方式で、後者は304psとAWDでクルマを走らせる。「V60」にある「T4」と呼ばれる1.6リッターターボ(180ps)はラインナップされない。車両重量のかさむSUVではこのエンジンのおいしいところがスポイルされてしまうという判断だろう。

VOLVO XC60 T5 R-DESIGN|ボルボ XC60 T5 R デザイン

VOLVO XC60 T5 R-DESIGN|ボルボ XC60 T5 R デザイン

そして「XC60」には6気筒エンジンを搭載する「T6」にのみ「R-DESIGN」が用意されてきた。上級グレードだけの特別装備車といったところである。よって、当然のこと価格も一番上に位置する。

ところが今回は「T5」にも「R-DESIGN」が追加された。もちろん、すでに「S60」と「V60」の「T4」にそれがあることを鑑みれば自然の流れだが、「R-DESIGN」の持つスポーティかつエレガントな装備がより身近になったのだからカスタマーサイドからすれば嬉しいニュース。なんたって「T6」の「R-DESIGN」より価格もおさえられる。

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ボルボ「XC60 T5 R-DESIGN」に試乗 (3)

こんなにスポーティーだっけ?

具体的に中身を見てみると、エクステリアではグリルやホイール、サイドミラー、マフラーなどが変わる。イメージ的にはメッキがキラリと光り高級感が増した感じだ。インテリアでは本革のスポーツシートやステアリング、それにペダルやメーター類を意匠変更。こちらもちょっぴり豪華バージョンとなった。

だが、こうした見た目だけで終わらないのが「R-DESIGN」。減衰圧を高めた専用のスポーツサスペンションが組み込まれ、乗り味をスポーティにする。20インチのロープロファイルタイヤも見た目だけでなく、こうした走りを助長するのはいわずもがなだ。

なので、走り出して少しすると「ボルボってこんなにスポーティだっけ」と自問自答する。足まわりが引き締まり、乗り心地が少々固く感じられるからだ。しかも、今回の試乗コースはワインディングがメインだったためそれが前面に出た。通常の「T5」よりコーナーでロール角は抑えられ、グリップも高められたのがよくわかる。

もともと新世代60シリーズは相当スポーティな走りを演出してきたが、それがより色濃くしているのが「R-DESIGN」 だ。しかも、こうしたスポーティな動きを感じさせながらも低回転から発生するフラットなトルク特性がクルマを扱いやすくするのもボルボらしいセッティングである。

といった感じの「T5 R- R-DESIGN」だが、これまで同様シティセーフティを標準装備し、ヒューマンセーフティをメーカーオプションとする姿勢は変わらない。安全性にたいして抜かりがないのがボルボ。聞くところによると、日本でのヒューマンセーフティの装着率は他の国とくらべて、ものすごく高いそうだ。

それは同時にオーナーたちの安全にたいするプライオリティが高いことを意味する。これにかんして本国のエンジニアたちは相当喜んでいたのを記憶する。安全にたいする意識の高い人々がつくった技術を、おなじ考えの人が手に取るのはすばらしいこと。ボルボがこの国でまだまだ売れつづけるポテンシャルは、おおいにあると感じた。

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VOLVO XC60 T5 R-DESIGN|ボルボ XC60 T5 R デザイン

車両寸法|全長4,625×全幅1,890×全高1,715 mm

ホイールベース|2,775mm

最低地上高|235mm

車両重量|1,790kg

エンジン|2リッター直列4気筒 DOHCターボ

最高出力|177kW(240ps)/5,500rpm

最大トルク|320Nm(32.6kgm)/1,800-5,000rpm

トランスミッション|6段ギアトロニック

駆動方式|前輪駆動

燃費(JC08モード)|9.7km/ℓ

車両本体価格|569万円

           
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