祐真朋樹・編集大魔王対談|vol.22 「オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー」ラムダン・トゥアミさん、ヴィクトワール・ドゥ・タイヤックさん
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2017年6月26日

祐真朋樹・編集大魔王対談|vol.22 「オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー」ラムダン・トゥアミさん、ヴィクトワール・ドゥ・タイヤックさん

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1803年にフランス・パリで創業した総合美容薬局「L’OFFICINE UNIVERSELLE BULY(オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー)」が日本に初上陸。今年4月1日に東京・代官山に日本第一号店をオープンした。今回の対談相手は、創業当初から伝わる製法を受け継ぎながら、2014年にこの老舗の本店をパリに復刻させたアートディレクターのラムダン・トゥアミさんと、ビューティー雑誌『CORPUS(コルピュス)』編集長であり美容専門家のヴィクトワール・ドゥ・タイヤックさん夫妻。まるで美しいトリックアートのようなこだわりの内装から、世界中から厳選した素材を使用した化粧品の製作秘話にいたるまで、多忙を極めるお二人に話を聞いた。

Interview by SUKEZANE TomokiPhotographs by SATO YukiText by ANDO Sara (OPENERS)

クラシカルとモダンが融合したユニークな店内

祐真朋樹・編集大魔王(以下、祐真) ショップオープンから約2ヵ月経ちますが、ここは恵比寿と代官山の中間になるのでしょうか。このエリアには久しぶりに来ましたが、街の雰囲気が変わりましたね?

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ヴィクトワール・ドゥ・タイヤックさん(以下、ヴィクトワール) そこまでエリアにこだわっていたわけではないのですが、前からラムダンも私も恵比寿や代官山など、この辺りが好きだったんです。都内で100軒ほどの物件を見て回っていたのですが、ようやく辿り着いたのがここでした。外観も内観もモダンで、まだ誰も入居したことのない新築のビルだったことも、スタートするにはいいなと思って決めました。

祐真 このお店ができて、この辺りもお洒落な雰囲気に変わりそうですね。

ヴィクトワール そうなってくれれば私たちも嬉しいです。パリの本店は左岸のボナパルト通りにあるのですが、そこも少し奥まったところにあるんです。ありがたいことに、それでも皆さん、お店をめがけて来てくれています。大通りから一歩入った、ちょっと隠れたところにある、というスタイルが私たちは好きなのかもしれないですね。

祐真 そういう感じ、僕もとてもいいと思います。

ヴィクトワール ありがとうございます。私たちもこのお店をとても気に入っているので、毎朝お店に来るのが楽しみなんです。

祐真 内装からもこだわりが伝わってきます。

ラムダン・トゥアミさん(以下、ラムダン) 日本にお店をオープンするということで、日本らしくするのか、フランスらしくするのかで悩んだ挙句、決められなかったので、両方作ってしまおう、と店内にパリと東京の二都市を表現しています。ここまでフランスの大工さんが担当し、ここからは日本の大工さんが、という具合にそれぞれのパートで別々の建て込みをお願いしました。照明もパリ側が暖色で、東京側が寒色と使い分けています。お店の中央に立つと片足はパリ、もう片足は東京にいるような感覚が面白いでしょ。

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祐真 実際にフランスから職人さんを呼んだのですか?

ラムダン はい。フランスのチームが来て、日本のチームとそれぞれ役割分担して作業してくれました。私は施工会社と全体のミーティングをしました。職人同士のコミュニケーションはありませんでしたが、とても面白い経験でした。

祐真 同じ空間とは思えないですね。とてもユニークで素敵だと思います。今世界中に何店舗あるのですか?

ラムダン このお店をオープンした直後の4月18日にニューヨークをオープンさせたので、ロンドンのドーバーストリートマーケット、パリの直営店など、現在6店舗あるのですが、今年中にあと5店舗オープンさせる予定です。

祐真 その土地らしさを表現しているのですか?

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ラムダン はい。ビュリーのお店はすべてデザインが違うんです。いつもその場所や地域への敬意を表すような要素を入れるデザインを心掛けています。ロンドンのドーバーストリートマーケットのお店には、オーブンでひとつひとつ焼いた陶製ブロックを持ち込み、ニューヨークのお店は、バーグドルフが創立された当時のアールデコをイメージしてデザインしました。今は香港店のオープニングに向けて準備中です。

祐真 なるほど。いいですね。ここの壁のデザインもとても好きです。

ラムダン 植物を一度乾燥させてからアクリル樹脂で固めたものをコンクリートに埋め込んでいるのですが、実はとても難しい技術を要するんです。まず、植物の持つ本来の色を保つ技術がなかなか難しくて。変色しないように色をキープしながらドライにするという技術は、日本の職人にしかできないということがわかりました。あまりにもこの技術が気に入ったので、7月にマレ地区にオープンするビュリーのパリ2号店の隣に、このドライフラワーショップをオープンすることにしました。

祐真 この技術はどこで知ったのですか?

ラムダン 日本です、とことんリサーチしたんです。花屋に行くたびに、「できますか?」って聞いて。そこから数珠つなぎに紹介をしてもらって、やっとこの職人に辿り着きました。そしてさらに大変だったのが、アクリル樹脂で固める行程です。このウィンドーひとつに約40キロの樹脂を使っているのですが、このお店に使われている総量は4トンになります。これだけの量の樹脂を持っている業者は日本にはいなくて、どこに問い合わせても無理と言われてしまいました。日本では、問い合わせた業者全てに「あなたのアイデアは実現しない」とか「納期も間に合うはずがない」と断られました。でも「この僕に不可能って言うの?」という精神で「絶対に実現してみせる!」と心に決めました。

祐真 素晴らしいです。それで、結局どこに発注したのですか?

ラムダン ふふふ、秘密です。

Page02. パッケージデザインが目を引く厳選素材にこだわった商品の数々

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パッケージデザインが目を引く厳選素材にこだわった商品の数々

祐真 ここに飾られている植物は、商品の原料に使われているものとして関係があるのですか?

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ラムダン 全部ではないのですが、ほぼ使われています。唐辛子などは化粧品にはまったく使われていませんが、見た目が良いので選んでみました。また、装飾用の素材が日本で手に入らなかった時は、直接、世界各国の生産者のところまで行って調達してきました。たとえばアルガンの実はモロッコまで行って、現地の契約農家のおばちゃんにもらってきました。

祐真 ものすごい商品数ですね?

ラムダン ビュリーでは7〜800種類の商品を扱っていますが、東京では、5〜600種類の商品を取り揃えるようにしています。そうそう、ヒゲを剃るならこクレーム・ポゴノトミエンがおすすめなのですが……。

祐真 僕は肌が弱くて負けちゃうので、電気シェーバーを使っているんです。

ラムダン あぁ、それは残念です!これは世界で一番良いと断言できるシェービングクリームなんですよ。歯磨き粉も好評です。フランスの南西部にガスコーニュ地方というところがあって、ヴィクトワールの祖先の故郷でもあるのですが、そこの温泉水を使って作っています。3フレーバーあって、ミントとコリアンダーとキュウリ、これはオレンジとショウガ、そしてリンゴがあります。僕自身も、市販のミントの歯磨き粉があまり好きではないのでお気に入りの商品のひとつです。もうすぐデンタルフロスも発売する予定です。モロッコのミントティーのようなマウスウォッシュもとてもポピュラーなんですよ。

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祐真 どれもパッケージがいいですね。

ラムダン いいでしょう。ビュリーのボトルはキャップにもメタルを使っていて、プラスティック製のものはないんですよ。

祐真 カッコいいですね。

ラムダン ギフトにもおすすめですよ。去年のクリスマスにアナ・ウィンターがたくさんオーダーしてくれて、今一番のお気に入りって言ってくれて嬉しかったですね。ミシェル・オバマへのクリスマスギフトがビュリーのプロダクトだったなんて。

ヴィクトワール 商品の幅が広いので、ざっとご説明させていただきますね。ここはルームフレグランスのコーナー。以前、フランスの老舗キャンドルブランドを手掛けていたこともあり、キャンドルはとても力を入れている商品のひとつです。容器には大理石を使い、植物由来のワックスを使っています。フレグランス系で一番人気の商品が、陶器に入ったアラバストルという香りの石。盆栽のオアシスに使うような吸収性の高い石を何層にも重ね、そこに香りのリキッドを垂らして楽しむものです。強く香らせたい時は容器をオープンし、十分に香りが充満したと思ったら蓋を閉めます。小さなオブジェにも見えるので玄関に置いて使う人も多いんですよ。

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祐真 旅行にも持って行けそうでいいですね。

ヴィクトワール フランスではトイレなど、小さなお部屋の香りをマッチで消臭するという文化があるのですが、そこに香りをつけたら素敵だな、と私達2人が楽しみながら開発したのがこの香りつきマッチです。火をつけて半分ぐらい燃やしてから火を消すと、煙がお部屋を良い香りを残してくれます。

祐真 トイレをマッチで香らせるとはエレガントですね。パッケージも可愛い。

ヴィクトワール ありがとうございます。

ラムダン 当時のオリジナルパッケージを元に、全部デザインし直したんです。デザイナーにハンドドローイングしてもらって今のパッケージが完成しました。

祐真 なるほど。

ヴィクトワール スキンケアに関しては少ない品数に徹底しています。フランスでは、“less is more(少ない方がより多くを得られる)”の精神を美徳としています。女性ならたくさんのプロダクトを使いたいと思いますが、私は、スキンケアは少ないアイテムで十分まかなえるものだと信じています。一番おすすめしたいのが、1803年の創業当初にビュリーも作っていたローズウォーターの化粧水。

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成分は現代にアップデートして調合していますが、これとフェイスクリーム(ポマード・ヴィルジナル)があれば基本のケアは十分です。フェイスケア商品は香りを控えめにし、お寿司を食べに行っても邪魔にならないような香りの製品を作りました。先ほどラムダンが、片足パリ、片足東京にいるようだと言いましたが、片足は過去、そしてもう片足は未来にいるという風に過去の良いものを継承しつつ、現代の技術や効果ある成分を使うのがビュリーのスピリットです。

祐真 ビュリーさんも当時新しい技術を開発していたのでしょうか。

ヴィクトワール はい。香水やボディローションなどが彼の一番の功績で、特に人気を得たアイテムだったようです。私たちも新しい技術を駆使した製品を、ということで水性香水を開発しました。ラムダンがアルコール性香水が得意ではなかっとことが開発のきっかけとなりました。

ラムダン アルコール香水の肌への刺激が強いということと、香りが強すぎて広範囲まで香らせてしまうところが好きではなくて。2年かけてフランスの技術者とアルコールを使用しない香水を開発しました。乳白色なのは、そのほとんどが水分だからです。お酢を作る技術に近い工程でこの香水を作っています。

祐真 そもそも香水に、なぜアルコールを使わなくてはいけないのですか?

ヴィクトワール アルコールは香水に強さと持続性を持たせるんです。このテクニックは19世紀に開発されたのですが、それ以前はオイルベースのものしかなかったんですよ。アルコール香水というのは原価も安いので、当時センセーショナルな発明品でしたが、私たちはそのさらに上を行ってこの水性香水を作りました。

ラムダン 全世界でも初めてで、業界からこの技術が欲しいと言われるのですが、すべて「NO」と断っているんです。

ヴィクトワール アルコールだと最初スプレーした時にアルコールの香りがするので、扇いで揮発させてから、その後に実際の香りが香ります。ただ、アルコールが肌の成分と混ざって香りが変わってしまうんですよね。水性香水の場合は、調合した香りがそのまますぐに香ってきます。本来の香りが直接肌に付くので、持続性もあるし、自分の肌と混ざっても香りはそのまま。さらに保湿作用もあります。

祐真 発明ですね!

ヴィクトワール 水性香水を発明したのはフランスの技術者と私たちですが、これから、恐らくほかのブランドにもどんどん浸透していって、10年後には水性香水が業界の主流になるかもしれません。今後は、お客さまが自由に、アルコール性、水性のどちらかを選んでいただけるようになればいいと思っています。

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Page03. こだわり抜いた心からのおもてなしでお客さまに喜んでいただきたい

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こだわり抜いた心からのおもてなしでお客さまに喜んでいただきたい

祐真 これはハンドクリームですか?手のイラストが可愛くて好きです。

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ヴィクトワール ありがとうございます。ハンドクリームはテクスチャーを敢えて固めにしているので、温めてマッサージしながら塗りこんでいただくことをオススメしています。ウォーターベースで肌になじみやすいものが主流になっている中、シアバターとミツロウが主成分のシンプルなものですが、とても人気です。

祐真 ポマードや軟膏のようなテクスチャーが昔ながらのムードでいいですよね。この石けんもいいですね。

ヴィクトワール私たちはパフューマーなので、敏感肌用に薬局で売られているような中性石けんにオリジナルの香料を練り込みました。お好きなイニシャルを刻印できるサービスもありますよ。

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祐真 それには日にちがかかるのですか?

ヴィクトワール レーザーで刻印するので5、6分で仕上がります。

祐真 香りを選んで、パーソナライズしたければイニシャルを刻印して、とカスタマイズができるというわけですね。

ヴィクトワール その通りです。パーソナライズといえば、世界各国から集めてきた天然素材のオイルやパウダーを提案するコーナーも人気です。ローズヒップならローズヒップ、アルガンならアルガン、カレンデュラだったらカレンデュラだけを抽出したピュアオイルと、一成分一瓶で提案しています。このスタイルは日本でも人気が出るかしら……?と思っていたら、実はこのコーナーが今一番人気なんです。フランスではローズが人気で、ローズヒップオイルやローズウォーターが人気なのですが、日本人のお客さまも、自分に合ったオイルはどれですか?って、楽しみながら選んでくれています。カウンターに私やスタッフが立っているのですが、「シミやくすみが気になるならこのパウダーでマスクを作って、このオイルを何滴か落としてパックするといいですよ」という感じでご案内しています。お客さまご自身に学んで頂きながらケアが出来るように、商品の使い方や植物効能などを一通り説明したカタログを作っています。

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セレクトした商品は世界55ヵ国から買い付けてきていますが、オリジナルのプロダクトは、一部を除いてすべてメイド・イン・フランスです。私たちは、化粧品だけでなくビューティ・ライフスタイルをトータルで提案しているので、オイルやクレイといった素材と同じように、ビューティアクセサリーも世界各国から探してきています。これは植物の根っこを束ねたインド製のブラシなのですが、シャワーの時に使うボディマッサージ用として最適です。マッサージブラシだけでもイタリアで見つけてきたものや、肌を柔らかくしてくれるモロッコの火山石など数種類ご用意しています。

祐真 おすすめはありますか?

ヴィクトワール 私のお気に入りはドイツで見つけた銅の細い繊維と馬の毛で作られたマッサージブラシです。北ヨーロッパでは定番のドライマッサージで、乾いた肌をブラッシングするんです。肌を活性化させたり、イオンを発生させたり、柔らかくしてくれたりと嬉しい効果があるので私は手放せません。

ラムダン 僕はそのブラシの良さがあまりよくわからないんですけどね(笑)。僕がこだわったのは櫛のバリエーション。植物由来のアセテートを使った櫛は、職人のハンドシェイプにより加工される工場をスイスに見つけ生産しています。僕は彼らの唯一無二な技量に魅了されてしまったんです。

ヴィクトワール アセテートは石油系のプラスティックではないんですよ。ラムダンがデザインをしたオリジナルのプレートをイタリアの工場で生産し、それをスイスの工場に送ると、ハンドクラフトしてくれるんです。普通、櫛を探しにお店に行っても、4〜5種類の型数しかないと思うのですが、ラムダンが魅了されたスイスの工場では、どんどん開発を進めていったらビュリーの櫛形が100種類以上になってしまったんです!もうラムダンは櫛の虜なんですよ。

ラムダン 20型あれば多いと言われる中、ビュリーには約100種類の型があり、櫛の商品数だったら、他のどのブランドに負けないと思います。なぜ僕たちがここまでアクセサリーを重要視するかというと、キッチンと同じように様々なツールやグッズでバスルームを美しく整えてもらいたいという思いがあるからです。今後も色々なプロダクトを展開する予定ですよ。

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祐真 東京限定のアイテムはありますか?

ヴィクトワール 限定ではありませんが先行発売した商品があります。このお店のオープンに向けて紙石けんを作りました。東京に家族全員で引っ越して来たのが去年の8月なのですが、その時、紙石けんに出会ったんです。私にとっては人生で2回目でしたが、ラムダンには初めての発見で、すぐに開発したいと動いたのです。直接生産者に電話をして、岐阜県の美濃市にある工場へ行き、ビュリーのオリジナル紙石けんを作れないか直談判しました。

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そしてフランス独自の香料と日本独自の技術による、オリジナルの紙石けんを作るに至りました。パリでも人気ですが、日本のお客さまにも喜んでいただいていますよ。飛行機の中や外出時などに重宝するので私も気に入っています。

祐真 便利な上に気分が良くなりますよね。ところで去年東京に引っ越して来たとおっしゃいましたが、お店のオープンのためにいらしたのですか?

ヴィクトワール もともと日本が好きで住んでみたかったということもあるのですが、はい、東京にビュリーを出店するために引っ越してきました。東京のお店は直営店なので、自分たちですべてコントロールしなければなりません。私達は細部にまでこだわっているので、ひとつひとつのこだわりを自分たちで管理するためには、東京に住むことが一番だと思いました。ラムダンは年に7回ぐらい日本に来ていましたが、住んだことはありませんでした。私の義理の兄が日本人ということもあり、以前から親しみはあったものの、こういう風に日本に暮らしてみると新しい発見がたくさんあって、とても楽しいです。

祐真 ところでいつもパリへ行くたびに不思議に思っていたのですが、フランスの薬局は日本のドラッグストアとは違いますよね。ここはオフィシーヌとなっていますが、ファーマシーとも違うのですか?

ヴィクトワール ファーマシーは薬局で、オフィシーヌというと薬局と専門店の中間でしょうか。ここはスキンケアとビューティの専門店というオフィシーヌ。世界55ヵ国のビューティシークレットを取り揃えているということでユニヴェルセル(=ユニバーサル)、という言葉を合わせています。

祐真 なるほど。薬局というと処方箋を持って薬を買いに行くというイメージだったので。ここは美容専門の薬局というカテゴリーというわけですね。パリのファーマシーへ行くと化粧品が売っているのが不思議で。でも日本のドラッグストアとも違いますし……。

ラムダン フランスのファーマシーも最近では化粧品を扱っていますが、薬剤師がいないといけないんですよ。アメリカや日本のファーマシーでは食べ物を売っていますが、フランスではありえません。

ヴィクトワール 薬剤師がいるお店で化粧品を買えるとなると、ビューティ自体が薬剤というか、薬事に関しているように捉えられてしまって、フランス人って真面目ですね、と言われちゃいそうですよね。

祐真 おしゃれでいいなと思っていましたけどね。ではここは総合店、新しい業態ということなのですね。

ヴィクトワール はい。私たちはスーパーマーケットではありません。当然レジ袋もありません。お客さまにあれをください、と言われたら、棚から商品を取って、パッケージングをして、ギフトなら包装をして、お名前を聞いて、その場で箱にカリグラフィーを施す。時間はかかってしまうかもしれないけれど、お客さまに、こだわり抜いたおもてなしをして喜んでいただくことが最も大事なことだと思っています。スタッフはカリグラフィーのレッスンを受けて、マスターの元で学ぶんです。お客さまにも喜んでいただけるし、スタッフもカリグラフィーというスキルが増えることを喜んでいますよ。そして、そんなスタッフと一緒に働ける私たちも嬉しい。みんなとても幸せです。

ラムダン 店舗や都市によって外観や内装は変えていますが、エスプリは変えずに今後も続けていきたいと思っています。

祐真 今日はありがとうございました。お店にもまた寄らせていただきます。

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