祐真朋樹・編集大魔王対談|vol.22 「オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー」ラムダン・トゥアミさん、ヴィクトワール・ドゥ・タイヤックさん

祐真朋樹・編集大魔王対談|vol.22 「オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー」ラムダン・トゥアミさん、ヴィクトワール・ドゥ・タイヤックさん

祐真朋樹対談

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1803年にフランス・パリで創業した総合美容薬局「L’OFFICINE UNIVERSELLE BULY(オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー)」が日本に初上陸。今年4月1日に東京・代官山に日本第一号店をオープンした。今回の対談相手は、創業当初から伝わる製法を受け継ぎながら、2014年にこの老舗の本店をパリに復刻させたアートディレクターのラムダン・トゥアミさんと、ビューティー雑誌『CORPUS(コルピュス)』編集長であり美容専門家のヴィクトワール・ドゥ・タイヤックさん夫妻。まるで美しいトリックアートのようなこだわりの内装から、世界中から厳選した素材を使用した化粧品の製作秘話にいたるまで、多忙を極めるお二人に話を聞いた。

Interview by SUKEZANE TomokiPhotographs by SATO YukiText by ANDO Sara (OPENERS)

クラシカルとモダンが融合したユニークな店内

祐真朋樹・編集大魔王(以下、祐真) ショップオープンから約2ヵ月経ちますが、ここは恵比寿と代官山の中間になるのでしょうか。このエリアには久しぶりに来ましたが、街の雰囲気が変わりましたね?

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ヴィクトワール・ドゥ・タイヤックさん(以下、ヴィクトワール) そこまでエリアにこだわっていたわけではないのですが、前からラムダンも私も恵比寿や代官山など、この辺りが好きだったんです。都内で100軒ほどの物件を見て回っていたのですが、ようやく辿り着いたのがここでした。外観も内観もモダンで、まだ誰も入居したことのない新築のビルだったことも、スタートするにはいいなと思って決めました。

祐真 このお店ができて、この辺りもお洒落な雰囲気に変わりそうですね。

ヴィクトワール そうなってくれれば私たちも嬉しいです。パリの本店は左岸のボナパルト通りにあるのですが、そこも少し奥まったところにあるんです。ありがたいことに、それでも皆さん、お店をめがけて来てくれています。大通りから一歩入った、ちょっと隠れたところにある、というスタイルが私たちは好きなのかもしれないですね。

祐真 そういう感じ、僕もとてもいいと思います。

ヴィクトワール ありがとうございます。私たちもこのお店をとても気に入っているので、毎朝お店に来るのが楽しみなんです。

祐真 内装からもこだわりが伝わってきます。

ラムダン・トゥアミさん(以下、ラムダン) 日本にお店をオープンするということで、日本らしくするのか、フランスらしくするのかで悩んだ挙句、決められなかったので、両方作ってしまおう、と店内にパリと東京の二都市を表現しています。ここまでフランスの大工さんが担当し、ここからは日本の大工さんが、という具合にそれぞれのパートで別々の建て込みをお願いしました。照明もパリ側が暖色で、東京側が寒色と使い分けています。お店の中央に立つと片足はパリ、もう片足は東京にいるような感覚が面白いでしょ。

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祐真 実際にフランスから職人さんを呼んだのですか?

ラムダン はい。フランスのチームが来て、日本のチームとそれぞれ役割分担して作業してくれました。私は施工会社と全体のミーティングをしました。職人同士のコミュニケーションはありませんでしたが、とても面白い経験でした。

祐真 同じ空間とは思えないですね。とてもユニークで素敵だと思います。今世界中に何店舗あるのですか?

ラムダン このお店をオープンした直後の4月18日にニューヨークをオープンさせたので、ロンドンのドーバーストリートマーケット、パリの直営店など、現在6店舗あるのですが、今年中にあと5店舗オープンさせる予定です。

祐真 その土地らしさを表現しているのですか?

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ラムダン はい。ビュリーのお店はすべてデザインが違うんです。いつもその場所や地域への敬意を表すような要素を入れるデザインを心掛けています。ロンドンのドーバーストリートマーケットのお店には、オーブンでひとつひとつ焼いた陶製ブロックを持ち込み、ニューヨークのお店は、バーグドルフが創立された当時のアールデコをイメージしてデザインしました。今は香港店のオープニングに向けて準備中です。

祐真 なるほど。いいですね。ここの壁のデザインもとても好きです。

ラムダン 植物を一度乾燥させてからアクリル樹脂で固めたものをコンクリートに埋め込んでいるのですが、実はとても難しい技術を要するんです。まず、植物の持つ本来の色を保つ技術がなかなか難しくて。変色しないように色をキープしながらドライにするという技術は、日本の職人にしかできないということがわかりました。あまりにもこの技術が気に入ったので、7月にマレ地区にオープンするビュリーのパリ2号店の隣に、このドライフラワーショップをオープンすることにしました。

祐真 この技術はどこで知ったのですか?

ラムダン 日本です、とことんリサーチしたんです。花屋に行くたびに、「できますか?」って聞いて。そこから数珠つなぎに紹介をしてもらって、やっとこの職人に辿り着きました。そしてさらに大変だったのが、アクリル樹脂で固める行程です。このウィンドーひとつに約40キロの樹脂を使っているのですが、このお店に使われている総量は4トンになります。これだけの量の樹脂を持っている業者は日本にはいなくて、どこに問い合わせても無理と言われてしまいました。日本では、問い合わせた業者全てに「あなたのアイデアは実現しない」とか「納期も間に合うはずがない」と断られました。でも「この僕に不可能って言うの?」という精神で「絶対に実現してみせる!」と心に決めました。

祐真 素晴らしいです。それで、結局どこに発注したのですか?

ラムダン ふふふ、秘密です。

Page02. パッケージデザインが目を引く厳選素材にこだわった商品の数々

ABOUT
SUKEZANE Tomoki

1965年京都市生まれ。(株)マガジンハウスのPOPEYE編集部でファッションエディターとしてのキャリアをスタート。現在は『UOMO』『GQ JAPAN』『Casa BRUTUS』『MEN’S NON-NO』『ENGINE』等のファッションページのディレクションのほか、著名アーティストや文化人の広告のスタイリング等を手掛けている。パリとミラノのコレクション観覧歴はかれこれ25年以上。   Born in 1965 in Kyoto, Japan. He started his career as a fashion editor at POPEYE magazine of Magazine House. Currently, he is working on various magazines such as UOMO(SHUEISHA), GQ(Conde Nast Japan),Casa BRUTUS (Magazine House), MEN’S NON NO (SHUEISHA), ENGINE(SHINCHOSHA)and he is setting styling people such as artists and […]