マイウェン監督が語る『モン・ロワ 愛を巡るそれぞれの理由』|INTERVIEW

INTERVIEW|マイウェン監督が語る『モン・ロワ 愛を巡るそれぞれの理由』

LOUNGE INTERVIEW

マイウェン監督作『モン・ロワ 愛を巡るそれぞれの理由』

甘いだけではない愛を描いた意欲作に込めた思いとは(1)

フランス映画界のお家芸といえば、恋愛もの。その王道を行く大人の愛のドラマが、彼の国から届いた。惹かれあうほど傷つけ合い、近づこうとするほどすれ違う―。情熱的に愛してしまったからこそ、痺れるように甘くそれでいて切ない毒を互いの胸に流し込んでしまう男と女を軸に描いた映画『モン・ロワ 愛を巡るそれぞれの理由』は、甘いだけではない愛の正体を、リアルに、そして官能的に映し出す10年に及ぶドラマだ。メガフォンを執ったのは、新進気鋭のマイウェン監督。リュック・ベッソンの元パートナーにして、女優としても活躍していた彼女が、激しく求め合うがゆえに痛みと向き合う男女を描いた意欲作に込めた思いを聞いた。

Photographs by YOSHIDA MitsuhiroHair and Make-up by KUBO MarikoText by MAKIGUCHI June

アーティストは常に自分の感情で創作する

――本作では、甘いだけの恋愛ではなく、痛みを伴う愛の本質に正面から挑んでいます。男女のリアリティについて描くことは勇気がいることではありませんでしたか?

テーマと映画作りは全くの別物です。処女作を撮影したときも、内容的にはすごくハードでシリアスなものでしたが、私自身は陽気にそしてハッピーに映画作りができました。だからその時と同様に、つらいテーマを扱っていても、それを描くこと自体は全く苦痛ではありませんでした。むしろ、映画作りそのものの方がつらいですね

――映画制作に伴う苦悩とは?

監督には、新しいものを作り続けなくてはいけないというプレッシャーが常につきまとうんです。恋愛映画はこれまでに何度も作られてきました。だから皆に、また恋愛映画なの?と思われる。でも、これは私が作った恋愛映画であり、初めて描かれる物語であることを納得してもらうために、新しい何かを見せなくてはならない。映画というのは、何を語るかだけでなく、どのように語るかも重要です。今回も、そこに生みの苦しみがありました

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マイウェン監督

――今回、男女の違いを実に明確に描き分けていますね。ヒロインのトニーと、その恋人ジョルジオが体現する男女の違いというものをエピソード化するにあたり、どのようにアイディアを集めていったのでしょうか。

ノートにメモしたりはしないけれど、とにかく日頃から人を観察するわ。そして、吸収する。メモをとってしまうと、その時点で考えが頭から出て行ってしまって、ノートが見つからないと大変なことになってしまうでしょ(笑)。だから、感じたことを心に残して自分のものにするよう努めています。物語のディテールは、どちらかというと外に出さずに、自分の中で熟成させて、脚本を執筆するときにそれを引出しから出してくるという感じですね

――監督が作る映画は、見聞きし、感じたことが一度自分のものとなっている、つまり個人的な考えが色濃く反映されているということなのですね。

もちろん! アーティストとは常に自分の感情で創作していますからね

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――今回は、キャスティングのコンビネーションも素晴らしかったです。

トニー役のエマニュエル・ベルコは、脚本執筆時から心に決めていました。ジョルジオ役のヴァンサン・カッセルについては、2度3度考えて彼に決めました。作品ごとに違う役を演じられるすごい人だと思っていましたが、実際に会ってみて期待通りだったのは、ユーモアのセンスがありチャーミングなところ。変幻自在の彼を起用すれば、まるで粘土のように私の手でジョルジオという男性を具現化することができると確信しました

Page02. タイトルに込められた二義性とは?