伊藤嶺花×鈴木康広|スピリチュアル対談(前編)

伊藤嶺花×鈴木康広|スピリチュアル対談(前編)

Divine of Creation - 創造力の背後にあるもの -

スピリチュアル対談 Vol.15|鈴木康広

伊藤嶺花が“視た”ゲストの肖像

「自然と人とモノの“心”をつなぐ正義の味方、クリエイティブメッセンジャー」(前編)

「ひそかに『このアイデア、だれかが実現してくれないかな』って」(鈴木さん)

伊藤 (パラパラ漫画を手に取りながら)あぁ、ものすごい味がある。人間的な味っていうか、深さがあるっていうのかな。

鈴木 「味」ですか。じっさいは、ペンでただ描いているだけだから、タッチもなにもないんですけどね(笑)。

伊藤 字もかわいいですもん。線の柔らかい感じとか、太さ的にちょうどいい。これ以上太いペンで書いちゃうと、ポップになっちゃうでしょうね。鈴木さんのは、カフェのメニューとかにしたい感じ。

鈴木 うれしいですけど、なんか、かわいい子ぶっているみたいじゃないですか(笑)。ぼくは、読みやすいように書いているだけなんですけどね。できるだけたくさんの人に読んでもらえるようにってところも含めて。でも、字のことをそんなふうに指摘する方はあまりいらっしゃらないので、おもしろいです。どちらかというと、グラフィックデザイナーの視点ですよね?

伊藤 わたし、大学のときにビジュアルデザインの勉強をしていたんですよ。だから、どうしてもそっちに目がいっちゃって……。これ、ぜったい女の子は好きですよ。

鈴木 へええ。意識したことなかったです。姉と妹に挟まれているからですかね?

伊藤 あ、そうかも。ほんとやさしい柔らかさを持ってる。(頭の上にリンゴを乗せて走る“リンゴタクシー”を描いた一冊、『リンゴタクシー』を見ながら)これとかも、ほんと素敵ですね。

鈴木 あ、これはリンゴタクシーが開業した瞬間なんですよ。リンゴタクシーっていう、リンゴが上に乗っているタクシー会社です。

伊藤 発想が最高におもしろいですね!

伊藤嶺花×鈴木康広|スピリチュアル対談(前編) 05

鈴木 偶然、車体にリンゴがボトンと落ちた瞬間、開業したというストーリーだから、リンゴタクシー会社。リンゴは固定していないんです。だから、リンゴが落ちないように運転するテクニックが必要なんです。すごく緩やかに、最高速度は低く、止まるときやカーブを曲がるときも、つねにリンゴが落ちないように走らないといけない。安全運転が売りです。じつは、ひそかに「このアイデア、だれかが実現してくれないかな」っておもっているんですけど。

伊藤 いいですね。動画にも向いていそう。

鈴木 ずいぶん前になるんですが、ぼくがパラパラ漫画をめくっているのを撮影して、映像にしたことがあるんです。トークをするときには、その映像を流したりして。ナレーションとまではいかないですけど、解説するとよく伝わる気がするので、その都度、映像を流しながらぼくが話すようにしています。

伊藤 それ、おもしろい! そのまま、企業のテレビコマーシャルになりそう。

鈴木 ほんとですか? ぜひお願いします(笑)。

伊藤 (笑)いやいや、ほんとに。たとえば、以前だったら、アニメーションと言えばCGだったのが、最近は鈴木さんが作られているような、素朴さの光る作品に戻ってきていますから。

「子どものときに自分のなかにあったものをつなぎとめておきたい」(鈴木さん)

鈴木 たしかに、みんなCGに飽きてきたみたいですね。

伊藤 CGを作るプロセスにも、間違いなくハートが詰まっているとおもいます。でも完璧すぎると、一般の人が見たときに、その奥が想像できなくなってしまうんですよね。

鈴木 最後の最後まで完成しきっているというか。「もうちょっと見たい」というところまで見せてしまっているような……。

伊藤 そうそう。プラスしすぎちゃうと、人間ってお腹いっぱいになってしまうので、あえて引き算していった方がいいんですよ。だから、子どものころにだれもが経験したり、やったことがあるシンプルなものを出していく方が、「この人はなにを考えてるの?」とか「ほかにどういうのがあるの?」とか、どんどん興味が出てきますよ。

鈴木 じゃあ、ついにぼくの出番がやってきましたね(笑)。ある意味、ものすごく当たり前のことをやっている感じがするんですけどね。

伊藤嶺花×鈴木康広|スピリチュアル対談(前編) 06

伊藤 あ、そうです。すごくシンプル。だけど、シンプルなものこそ奥が深いじゃないですか。たとえば、モノがなにもなかった時代に生きていた昔の人は、生活のなかからいろいろなモノを生みだしていました。すべてに「ありがたいな」という気持ちで生きていたわけで。そういうものが、鈴木さんのシンプルな作品のなかに全部詰まっている気がするんです。モノを大切にするとかね。このパラパラ漫画にしても、タイトルと絵の中に、人として大切にしたい“想い”みたいなものが詰まっています。

いまはテクノロジーが発達して「これも人間が作ったの?」って驚くものが世の中にどんどん出てきていますけど、そこから「さらに先へ」という進化と引き換えに、人として忘れてはいけない大切な“こころ”が薄れつつあるとおもうんです。

鈴木 そう言われてみると、「子どものときに自分のなかにあったものを、必死につなぎとめておきたい」という想いがあるのかもしれません。自分が「おもしろいな」とおもったことを、わかりやすく人に伝えたいとおもったときに、自然と自分のなかにある大事なものが出てくるんです。パラパラ漫画を描いているときも、そうやって自然に引き出されてくる感じがおもしろくて。アイデアをかたちにして、人に伝えるおもしろさと、「自分はこんなことに興味があったんだ」という発見。そのふたつがちょうどいいバランスにあって、はじめてパラパラ漫画ができあがるんです。そうじゃないと、こんなに長続きしなかったとおもいます。もともと、ぼく飽きっぽいので。

ABOUT
SUZUKI Yasuhiro

1979年静岡県浜松市生まれ。2001年東京造形大学卒業。2001年NHKデジタル・スタジアムで発表した公園の […]

ITO Reika

株式会社ディヴァイン代表/スピリチュアルヒーラー 服飾雑貨系の企業にて商品企画、広告宣伝、経営企画の仕事に従事 […]