マニュファクチュールが製造する誇らしきHigh-Value|MAURICE LACROIX
Watch & Jewelry
2017年2月12日

マニュファクチュールが製造する誇らしきHigh-Value|MAURICE LACROIX

MAURICE LACROIX|モーリス・ラクロア

腕時計の新たなトレンドを予感させる
外装クオリティに特化した製品コンセプト(1)

はじめは正直、目を疑った。第一印象からして、とてもしっかりとしているのである。いい時計というのは、ひと目で見ればたいてい分かる。アレっ? という違和感がないからだ。ケースの磨き分け、際立つエッジ、文字盤の作り込み、細部をひとつひとつ点検しても、粗はどこにも見当たらない。しかも製造するのはスイスの高級時計ブランドとして世界に知られたモーリス・ラクロアである。

Text by TSUCHIDA Takashi(OPENERS)

クルマに例えるなら、プレミアムブランドのコンパクトモデル

新製品「アイコン」の披露のため、来日したモーリス・ラクロアCEOステファン・ワザー氏はこう語る。

「この新作はムーブメントをクオーツにしてコストを抑え、マニュファクチュールとしての誇りを外装品質に注いだまったく新しいコンセプトを採用しています。スイスクオリティにはじめて触れるユーザーに最適なばかりか、気軽に使用できるセカンドウオッチとしてのニーズもあると見ています」

実はこのモデル、ヨーロッパ地域だけで販売していく予定だったが、予想を超える反響で販売計画を変更。早速、アジア地域にも広げていくことになり、日本での発売が決定したのである。当初、ヨーロッパ地域に絞った理由は、このモデルの元になった「カリプソ」というモデルが、ヨーロッパで人気を博した実績からだ。「カリプソ」はモーリス・ラクロアのベストセラーモデルであり、このモデルがヨーロッパで売れたことでブランドの認知度が上がり、中東、アジアへと販売網が広がっていった経緯がある。

「カリプソの成功理由は、品質の高さです。例えば、ねじ込み式リューズ。防水仕様が現在のように一般的ではない時代に、クオーツモデルにもかかわらずねじ込み式リューズを採用しました」(ステファン・ワザー氏)

ほかにもアール面を用いてケースの輝きを表現したこと、サファイア製風防を用いたことが挙げられる。つまりコストを掛けた誠実なモノづくりが高い評価に繋がったのだ。そのデザインをDNAとして引き続き、現代の技術水準でさらに磨きをかけたのが新作「アイコン」である。この高品質なシリーズが9万3000円(税抜き)からスタートするのだから驚きである。

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ベゼルおよびラグに用いたツイン・ブロックがアイキャッチ。ケースに表情を生み出し、輝きの濃淡を生み出している。ストラップにはイニシャルの“m”を配置。ブランド草創期のディテールを踏襲したリバイバルデザインだ。

Page02. 抜くべきは抜き、掛けるところにコストを集中

MAURICE LACROIX|モーリス・ラクロア

腕時計の新たなトレンドを予感させる
外装クオリティに特化した製品コンセプト(2)

抜くべきは抜き、掛けるところにコストを集中

新作「アイコン」の愛でるべきポイントは、ケースだ。第1にケースエッジの美しさ。第2にケースからブレスレットへとスムーズにつなげた意匠。第3にポリッシュ仕上げとサテン仕上げの小気味よい磨き分けである。どのエッジをとっても、角がダレていないのだ。シャープな印象に写るのはそのためである。誠に失礼ながら、他社の同価格帯の時計と見比べると一目瞭然である。

モーリス・ラクロアは自社でケース作りできる体制を持っているが、この「アイコン」は外部サプライヤーに製造を委託した。コストを落とすためである。ただし自社製造できるからこそ、発注条件も厳密なものとなっている。どの部分に気を配るべきか。どうすれば美しいケースができるのか。自社製造の経験が強みとなり、サプライヤーに委託しても「自分たちのクオリティを保つことが可能」という。

「ブレスレットも新開発です。気軽に着けられて、信頼できて、しかも仕上げが高級機械式時計と変わらないニーズは必ずあると踏んでいます。それと、もうひとつ、クロノグラフの押し心地にもこだわりました。このモデルはクオーツですが、ボタン操作は機械式そのもの。クルマの場合、ドアを締めるときの音の伝わり方がユーザーの満足度を測るうえで大切と言われますが、腕時計に当てはめるならばクロノグラフのプッシュボタンの押し心地です」(ステファン・ワザー氏)

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三針モデルから派生したクロノグラフ。縦3つに並んだカウンターは、現代的でスポーティな印象を放つ。

モーリス・ラクロアは総勢70名という小さな時計メーカーである。50代のベテランスタッフがひとり、企画担当者とデザイナーがそれぞれ40代。ほか、30代のスタッフが大半を占める若い会社でもある。若いブランドなので、若手が多いのだ。

そしてマニュファクチュールモデルと普及モデルで担当分けをしていないこともモーリス・ラクロアの現体制の特徴だ。これはステファン・ワザー氏が2014年にCEOとなって以降の方針である。逆に言えば、マニュファクチュールレベルの腕時計を作れるチームの知識を総動員しているので、エントリーモデルでも、この質感、雰囲気が作れるのだ。

「大きくなりすぎたブランドはリスクが取りづらい。しかし、私たちの規模であれば、まだまだ機敏に動くことが可能」と、ステファン・ワザー氏。クラフトマンシップとデザイン力の双方で、モーリス・ラクロアは欧州内でも高く評価されている。その成功を日本でも再現するべく弛まぬ研鑽を続けていくことを彼は私たちに約束した。

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ステファン・ワザー
1998年 大学を卒業後、プロダクトマネージャーとして時計業界でのキャリアをスタート。
2001年 マーケティングの才覚を評価され、異業種での経験を積む。
2008年 モーリス・ラクロアのインターナショナル・マーケティング・マネージャーに就任。
2014年 モーリス・ラクロアCEOに就任。

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アイコンコレクション
Ref.AI1008-SS001-330-1

ムーブメント|クオーツ
ケース|ステンレススチール
ケース径|42mm
ストラップ|アプライドロゴ入りカーフ
バックル|プッシュボタン付きダブルフォールディングクラスプ
防水|10気圧
価格|9万3000円(税別)

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アイコンコレクション:クロノグラフ
Ref.AI1018-SS002-131-1

ムーブメント|クオーツ
ケース|ステンレススチール
ケース径|44mm
ブレスレット|磨き分けを施した5連ブレスレット
バックル|プッシュボタン付きダブルフォールディングクラスプ
防水|10気圧
価格|12万5000円(税別)

問い合わせ先

DKSH ジャパン

Tel.03-5441-4515

http://www.maurice-lacroix.jp

           
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