連載・Yoko Ueno Lewis|暮らしノート・第12回 収納のためのマジカルミステリーツアー

連載・Yoko Ueno Lewis|暮らしノート・第12回 収納のためのマジカルミステリーツアー

Yoko Ueno Lewisの暮らしノート

The Way We Live with “STYLE”

暮らしノート 第12回

収納のためのマジカルミステリーツアー(1)

“収納”と聞くといつも思い出すのは、建築家の妹島和世さんと西沢立衛氏がくしくも言い当てられておられた“テーブル理論”と呼ばれるマジカルミステリーです。

Text & Photographs by Yoko Ueno Lewis(Aug. 2012)

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収納のミステリーとは <Lessons Learned 疑問と反省>

簡単に説明すると、テーブルの上が仕事の書類やサンプルでいっぱいになってしまい、狭くて使いづらいくて、まったく片付かない……。ある日、決心して、もう一つテーブルを増やして倍の面積を使えるようにします。通常ならば、倍もテーブルが広くなったので、さぞかし使いやすくなり、仕事はずいぶんとはかどるだろうと想像できます。しかし……しばらくすると、以前にも増してテーブルの上はいっぱいになり、余裕どころか、さらなる混沌の面積がたんに2倍になったに過ぎないという結果に終わるのです。

収納のミステリーはここにあります。収納用品の専門店に行くと、収納に頭をいためているたくさんの人びとが大きなカートを押しながら、ぐるぐるとお店の中を歩き回り、真剣に収納用品を見定めています。収納には収納をするための収納用の箱やケースやラックやコンテナや袋やらが必要だと考えられているのです。私がここでいつも疑問なのは、その箱やケースやラックやコンテナや袋たちをどこへ収納するか? なのです。アメリカのハウスには幸いガレージという最大の収納スペースがあります。本来ここはクルマを止めるためのスペースなのですが、クルマはおしなべて毅然と通りに止められています。なぜなら、ガレージは、収納あるいは、ジャンクの一時的待機場所として、かなり昔からすでに満杯なのです。

そして、もうひとつ、収納のための箱やケースやラックやコンテナや袋が、とうてい収納という地味で簡素な目的のためのツールとは思えないほど、自己主張が激しくて、仮にそこに何らかのものが無事収まったとしても、その外観がすでに景色や空気をかき乱してしまっていて、収納によって本来得るはずの、安堵感や達成感や解放感やすがすがしさのような平和な気持ちとはほど遠い、未消化で後味の悪い顛末が約束されているような気がするのです。とにかくプラスティックや樹脂製品が多いのも気になります。たしかに、収納用品にそれなりのお金を使い、ひとまず、その中にしかるべきものを収納して、そして問題は解決するはずなのですが……。

ABOUT
UENO Yoko Lewis

Yoko Lewis Design主宰 グラフィック&プロダクツデザイナー 京都芸大ビジュアルデザイン専攻(現大学院)卒。 在学中アーネスト・サトウに写真を習う。 80年代にギフトラッピングの企画で商品企画の世界に入る。 …