待望の新型ホンダNSXに試乗|Honda
CAR / IMPRESSION
2016年11月29日

待望の新型ホンダNSXに試乗|Honda

Honda NSX|ホンダ NSX

待望の新型ホンダNSXに試乗

驚きを与えてくれるクルマ

初代のデビュー以来、じつに26年。日米の共同チームにより開発され、オハイオの専用工場で生産される2代目「NSX」がついに日本に上陸した。2017年2月の発売される同モデルに下野(かばた)康史氏が試乗した。

Text by KABATA YasushiPhotographs by ARAKAWA Masayuki

新型のハイライトはパワートレーン

こんどの「NSX」は、米国で生産される。アキュラブランドの北米モデルに販売の軸足を置いた決定だ。オハイオ州に新設した専用工場“パフォーマンスマニュファクチャリングセンター”で、現在、マックス1日8台がつくられている。アメリカではすでにデリバリー(納車)が始まっているが、それでも直近でまだ月70台のペース。ハンドビルトを売りにするなら、ぜひ日本でつくってほしかったと思うが、そうしたら、次期大統領が黙っていなかったかもしれない。

Honda NSX|ホンダ NSX

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4年を要した開発は、日米チームの共同による。ざっくり言うと、パワートレーンが日本。ボディ/シャシーがアメリカだ。チーフエンジニアにあたるLPL(ラージ プロジェクト リーダー)は米国チームのアメリカ人。ホンダは1980年代から米国で現地生産を行っているが、LPLまで米国側という例は、北米専売の大型SUVが例外的にあるだけで、きわめて珍しい。次期大統領はお喜びだろう。

新型NSXのハイライトはパワートレーンである。3.5リッターV6ツインターボ+モーターのハイブリッドユニットが後輪を駆動し、前輪は2基のモーターが左右それぞれを駆動する。いわば、駆動力で曲げる。「スポーツハイブリッドSH-AWD」の最新バージョンを搭載するミドシップ4WDスーパー スポーツが2代目NSXである。

Honda NSX|ホンダ NSX

待望の新型ホンダNSXに試乗

驚きを与えてくれるクルマ (2)

ドライバーがたじろぐほどのフル加速

複雑なメカトロニクスの塊だが、新型NSXの運転はイージーである。

モーターのみのEV走行ができるハイブリッド車でも、始動時には必ずエンジンがかかる。クルマらしくていい。パワートレーンやシャシーの硬軟を切り替えるドライブモードは、デフォルトが“スポーツ”。その上が“スポーツ+”、さらに上がサーキット走行を企図した“トラック”である。NSXにノーマルモードはない。代わりに備わるのが、クワイエットモード。エンジン回転を最高4,000rpmに抑え、EV走行を優先させるモードだ。

変速システムは、2ペダルの9段DCT。初代モデルにはMTもあったが、今回は当初から計画になかったそうだ。

Honda NSX|ホンダ NSX

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スタートしてまず感じたのは、走りの軽さである。車重は1.8トン近いが、高性能スーパースポーツにありがちなズデンとした重々しさを感じない。足まわりはかろやかで、ステアリングも軽い。軽い走行感覚のおかげで、2,370万円を動かしている気の重さが少しやわらぐ。

スポーツかクワイエットモードのとき、バッテリーに余裕があると、前輪のツインモーターのみでEV走行をする。トルクのあるモーターで引っ張られる走行領域が多いのも、走りの軽さを演出しているように感じた。

Honda NSX|ホンダ NSX

Honda NSX|ホンダ NSX

一方、アクセルを踏んでいる本人がたじろぐほどのフル加速は、圧巻である。1990年に登場した3リッターV6の初代NSXが280psだったのに対して、新型はシステム最高出力581ps。速いのは当然だ。0-100km/h加速は3秒台。最高速はアキュラNSXで307km/hだという。

だが、このクルマで特筆すべきは旋回速度の速さである。

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待望の新型ホンダNSXに試乗

驚きを与えてくれるクルマ (3)

驚くほどの旋回性能

プロの自動車記者としてクルマに接して40年近くになる。その間、筆者のコーナリングスピードは劇的に上がった。ウデではない。ひとえにクルマとタイヤの進歩のおかげである。

今回、新型NSXでいちばん驚いたのは、コーナーのエイペックス(頂点)でも「まだ踏める!」と感じさせる旋回性能の高さだった。横Gが最も強まり、最もおっかないポイントで、もっと踏んでいける、もっと踏んでいこう、なんて思わせるクルマは初めてである。オンザレールで曲がれる旋回速度が、かつて経験したことがないほど高いのだ。状況に応じて、マイナスのトルク(制動力)を与えながら、駆動力で曲がり、安定させるトルクベクタリング制御を、前輪のツインモーターで緻密にやる機構のなせる技だろう。

Honda NSX|ホンダ NSX

Honda NSX|ホンダ NSX

開発段階ではフロントのトルク制御だけでオーバーステア(お尻を振り出す)に持ち込めることも確認したそうだ。それほどこのシステムはポテンシャルが高いということだが、生産型ではその能力をオンザレール感覚の操縦性に結実させている。

ただ、筆者の場合、調子に乗ってワインディングロードを走っていたら、キモチ悪くなってしまった。文字通り、性能に酔った。次のモデルチェンジのときは、無人自律自動運転モードを付けていただき、ギャラリーとしてコーナリングを見せてもらう側でもいいかなという気もした。いずれにしても、たかだか二次元の地表を走る乗り物の走行性能がここまで来たか!? という驚きを与えてくれるクルマである。

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驚きを与えてくれるクルマ (4)

まだ出ていないのに、もう買えない

新型NSXのデザインは、十分ホンダ的で、十分スーパーカー的だと思う。初代モデルより明らかに“濃厚”だ。

特徴的なのは、フローティング構造のリアピラーで、ピラーの後端部がグラスキャビンから離れ、浮いている。ドアの近くにしゃがんで見上げると、隙間から空が見える。走行中、そこに空気を通すことで、ベンチュリー効果を発生させ、エンジンの排熱を助けるのだという。

後ろへ回ると、グラスハッチ越しにエンジンルームが見える、というか、見せている。そのデザインがアメリカ映画の「プレデター」に似ていると思ったのが、“アメ車”をいちばん感じさせたところだった。

Honda NSX|ホンダ NSX

Honda NSX|ホンダ NSX

ホンダNSXの国内発売は、来年の2月27日である。つまり、まだ出ていない、のに、もう買えなくなっている。2016年8月から予約受付を開始したところ、2018年2月までの販売予定台数100台が瞬く間に売り切れたのだ。初代NSXの3倍の価格であるにもかかわらず、初年度計画台数完売御礼。発売前からセールスが過熱するのは、NSXの“伝統”といえる。

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Honda NSX|ホンダ NSX
ボディサイズ|全長 4,490 × 全幅 1,940 × 全高 1,215 mm
ホイールベース|2,630 mm
重量|1,780kg
エンジン|3,492cc V型6気筒DOHC ツインターボ + 電気モーター(前×2、後×1)
ボア×ストローク|91.0 × 89.5 mm
圧縮比|10.0
エンジン最高出力|373 kW (507 ps)/6,500 – 7,500 rpm
エンジン最大トルク|550 Nm (56.1 kgm)/2,000 – 6,000 rpm
モーター(前)最高出力|27 kW(37 ps)/4,000 rpm (1基あたり)
モーター(前)最大トルク|73 Nm(7.4 kgm)/0-2,000 rpm(1基あたり)
モーター(後)最高出力|35 kW(48 ps)/3,000 rpm
モーター(後)最大トルク|148 Nm(15.1 kgm)/500-2,000 rpm
システム統合最高出力|427 kW(581 ps)
システム統合最大トルク|646 Nm(65.9 kgm)
トランスミッション|9段デュアルクラッチ
駆動方式|4WD(SPORT HYBRID SH-AWD)
サスペンション 前/後|ダブルウィッシュボーン式 / ウィッシュボーン式
ブレーキ 前/後|ベンチレーテッドディスク / ベンチレーテッドディスク
燃費(JC08モード)|12.4 km/ℓ
駆動用バッテリー|リチウムイオン電池(72セル)
ハンドル|右
タイヤ|245/35ZR19 93Y / 305/30ZR20 103Y
最小回転半径|5.9メートル
最低地上高|110 mm
価格|2,370万円

問い合わせ先

ホンダお客様相談センター

0120-112010

http://www.honda.co.jp/

           
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