マーテル ヘリテージディレクター、ジャック・ムニエ氏 インタビュー|MARTELL

MARTELL|マーテル ヘリテージディレクター、ジャック・ムニエ氏 インタビュー

LOUNGE INTERVIEW

MARTELL|マーテル

熟成コニャック「コルドン ブルー」の
“カッティング・エッジ”な愉しみ方(1)

「コニャックなんて、とてもとても……」と、敬遠していてはいけない。ましてや飲まず嫌いは、人生において大きく損をするんだよ、キミたち。バーテンディングの先進都市(NEWYORK、LONDON、SINGAPOREなど)では、コニャックを用いたカクテルがブレイク中。シングルモルトのハイボールのように、熟成コニャックをソーダで割り、ミントの葉をたっぷり添えた「モヒート」なんて、もう最高にHIPなのである。え? なぜ熟成ものじゃなきゃいけないかって? 確かにもっともな質問である。このインタビューでは、そのあたりをジャック・ムニエ氏に切り込んでみようと思う。

Photographs by OHTAKI KakuText by TSUCHIDA Takashi(OPENERS)

割って旨いのは、丁寧に作られたコニャックだけ

コニャックは加水により、香りがゆっくりと開いていく。熟成樽のオーク材がもたらしたバニラや蜜蝋のような香り、さらにローストしたアーモンドのような香りが、水と混ざり合うなかで、じんわりと解き放たれていくのだ。しかし「加水はクオリティの高いコニャックにしか許されない」と、ジャック・ムニエ氏は指摘する。水を加えることで、コニャックの長所が引き出されるが、同時に短所も強調されてしまうからだ。続けて、ジャック氏はこう説明する。

「マーテルのXOには2つの種類がありますが、とりわけ『コルドン ブルー』は軽やかでフルーティな味わいが特徴です。ボルドリ産のブドウの使用割合を他のものよりも高めているからです」

※XOとは、Extra Oldの略であり、6年間、樽の中で寝かせた長期熟成コニャックを指す(編集部・注)。

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コニャック初心者のために、少々説明を加えたい。そもそもコニャックとは、フランス南西部コニャック地方の6つの区画で作られたブドウのみを用いて作られるブランデーだが、マーテルではそのうちの上級区画(クリュ)4箇所にワイナリーを所有している。なかでも特徴的なのがジャック氏も指摘するボルドリで、ここでは硬い岩石が混じった粘土質の土壌により、軽やかで芳醇なブーケのようなイメージのコニャックができる。しかも熟成させても軽やかさを失うことがなく、加水によって一層、華開くのだ。

すでにバーデンディング先進都市ではコニャックがブレイクしていると先述したが、とりわけマーテルのXOコニャック「コルドン ブルー」が脚光を浴びている点はここにある。

さらにマーテルが他のメゾンと異なる点を、ジャック氏はこう述べた。

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「コニャック作りでは、まず収穫したぶどうを圧搾し、十日間ほど発酵させて、もととなるワインを作ります。この生まれたてのワインには、通常、澱がたくさん含まれておりますが、その澱をワインと混ぜてしまい、そのまま蒸留するのが通常です。
ところがマーテルでは澱を丁寧に取り除き、澱がまったく含まれていないクリアなワインを蒸留に使います。というのもマーテルは“香り高いコニャック” “軽やかなコニャック”を常に目指しているからです」

なるほど、最低でも6年以上という熟成期間を経たマーテル「コルドン ブルー」が、軽やかでフルーティな味わいを持つ秘密が垣間見えた。が、話はここで終わらない。

「蒸留のステップを経たあとは、樽に入れて熟成させるのですが、使用するオーク材にも特徴があります。通常、樽に使うオーク材には2種類のタイプがあります。木の目が粗いリムザン産のオークと、目が詰まったトロンセ産のオークです。
リムザン産のオーク樽を使うと、コニャックの熟成が早まります。そしてオークの香りも移りやすくなるのですが、同時に苦味もコニャックに移してしまいます。

対してトロンセ産のオーク樽を使うと、熟成に時間はかかるのですが、バニラのような香り、あるいは蜂蜜の蜜蝋のような香りとなり、苦味をまったく残しません。もちろんマーテルが使用するのは、このトロンセ産のオーク樽のみです」

Page02. 美しいコニャックは、2度香る