ザ・ペニンシュラホテルズが誇る美しきインターナショナル・ウーマンの姿とは|INTERVIEW

INTERVIEW|ザ・ペニンシュラホテルズが誇る美しきインターナショナル・ウーマンの姿とは

LOUNGE INTERVIEW

ザ・ペニンシュラ香港 総支配人兼香港・タイ地区ヴァイスプレジデント|INTERVIEW

レイニー・チャンの魅力に迫る(1)

東京のビジネスマンなら誰もが知っているラグジュアリーホテル、「ザ・ペニンシュラホテルズ」。しかし、その旗艦ホテルが香港だということをご存知だろうか。そして、その旗艦ホテルの総支配人が、レイニー・チャンという女性だ。ホテリエのキャリアがおよそ30年に渡り、その約半分がマネージメント職という彼女がいかにチームワークと、ホスピタリティを大切にしているか。また、その想像以上に多忙な生活を一切感じさせない美しさと、女性らしく輝き続ける秘訣について、チャン氏に語ってもらった。

Photographs by TANAKA TsutomuText by ASAKURA Nao

今となっては、すべて結果オーライ

――ホテリエになろうと思ったきっかけは何ですか?

まず、約7年間勤めたハワイのホテルでキャリアをスタートしました。ハワイにはそのとき観光業と不動産業の大きな二つの産業があったのですが、色々な人たちと出会え、コネクションができるのを魅力に感じ、観光業を選びました。特にハワイを訪れる人は皆さんハッピーでよい雰囲気な方が多いですし、全く知らない方たちによいサービスが提供でき、そうしたことで感謝のお手紙をいただいたときは、とても満足感があります。若いときはソーシャルワーカーや教師になるのが夢だったのですが、今の仕事も人を助けたり、それとリンクする部分がありますね。

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総支配人 レイニー・チャン氏

総支配人として12年務めており、キャリアの半分がマネージメント職ということになりますが、リーダーの役割はホテルの中でもとてもユニークな仕事。各々の部署には異なる文化や教育を持つスタッフがいますが、各チームのメンバーをまとめていき、そのチームワークが素晴らしいものになるときがあります。その結果、ゲストやスタッフから得る満足度は、他の業種にはないものだと感じています。

――ハワイでキャリアをスタートされ、その後香港に戻られていますが、その背景にあるストーリーなどあれば教えてください。

元々はハワイにいようと思っていたのですが、ザ・ペニンシュラ香港のフロントオフィスマネージャーとしてのポストのお声掛けをいただきました。そのポストには65年間、ずっと西洋の男性が務めており、アジア人、かつ女性というのは私が初めてだったので、自分にとっても、とても有意義なことだと思って、チャレンジしました。

――大抜擢だったんですね。レイニーさんが選ばれた理由は何だったと思いますか?

当時、ザ・ペニンシュラ香港が探していた人材が、ローカルのカルチャーに精通しており、国際的なバッググランドがある人だったのです。私は当時アメリカに7年間住んでいて、国際的なバッググランドを経験していました。それとホテルに新しいタワー棟を作っていて、それを全て見れる人を探していたようです。

――まさに、グッドタイミングだったんですね。

いえ、そうとも言えないですね(笑)。プライベートの話になるのですが、当時私には婚約者がいて、彼はハワイから出る気持ちはなかったので、一年間で戻ると約束しました。ですが、結局私はハワイに戻りませんでした。今では、彼は別の人と結婚して幸せになっているはず。でも、今となってはすべて結果オーライですね。

嫌なことがあったときは、女友達とマッサージに行ってリフレッシュ

――女性の成功を絵に描いたようなレイニーさんですが、女性がキャリアを積んで仕事で輝くための秘訣はなんでしょう?

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成功というのは最終的なものではなくて、課程だと思います。現在、とりわけアジアの女性には様々なプレッシャーがかかっていると思います。職場で頑張って仕事をし、同時によい母親で、妻で、娘でいなければならない。若い女性に対してアドバイスするのであれば、「この仕事を選べば結婚できる、できない」とか、あまり細かいことを考えないでほしい。自分のハートを信じて、やりたいことを貫いてほしいです。

特に働く女性に関しては、3つポイントがあって、ひとつは男性的にならず、女性の強みを最大限に使うことだと思っています。何かというと、女性は感情的になる部分が多いけれど、それをポジティブに仕事場で出すこと。2つ目は、女性同士というのは嫉妬心が生まれやすいけれど、それを取り払って、お互いをサポートすること。3つ目は、仲の良い友人に囲まれること。女性にとって、感情を外に出すことは大事なプロセスだから、近い友人と仕事のストレスや悩みをシェアして、弱みを抑え付けないこと。私も悩むことがあったときは、女友達とフットマッサージに行ってリフレッシュしますよ。

――日本でも共働きがメジャーになってきましたが、香港の女性はどうでしょうか。

香港に関してですが、物価も高いということもあり、家庭の中にいた女性も外で働く人が増えてきました。フィールドトリップなど、子どもに対して教育に投資する額も年々増加しています。香港では、他の家族のメンバーのサポートや、ヘルパーを家に呼んでサポートしてもらうシステムがあります。これからもキャリアを保ちながら、よい母親であり、妻であり、成功するビジネスウーマンとして、全てのことに対して頑張っていく女性が増えていくことは、トレンドとしては変わらないと思います。

――レイニーさんは、ザ・ペニンシュラホテルズで女性初の総支配人だと思いますが、香港の他の業界でも、女性の管理職は増えていますか。

シニアマネージメントレベルであれば、女性が活躍するポジションも増えていますが、CEOのレベルはまだまだ男性が主流ですね。全体のグローバル企業の中だとCEOの女性は20%位だと思います。ただこれはとても自然なことで、女性でCEOのレベルに就きたいという人はそんなに多くはありません。子どもがいるとか、プライベートな理由からだと思います。我がペニンシュラがよい例で、世界中に10軒のホテルがありますが、4名の総支配人が女性です。

――このお仕事をされていて、どういった瞬間が幸せだと感じますか。

たくさんありますが、やはりチームメンバーと一緒にいるときですね。会社にいるとき、チュイ ディムという社食にいって、スタッフやチームメンバーと一緒に食事したり、話をしているときが幸せだと感じます。

――逆に、今までのホテリエのキャリアの中で苦労したことはありますか。

クライシスマネージメント(危機管理)にぶつかった経験。9.11のときにニューヨークで、ホテルのレジデントマネージャーのポジションに就いていたし、その後香港に異動したときもホテルマネージャーのポジションで、SARSが発生した。さらにその後もバンコクで、総支配人に就いてから3ヶ月後にタイの津波が起こった。大きな事件や、災害でのクライシスマネージメントに苦労しました。

あと、挑戦という意味では、若いスタッフに継続して働きたいと思ってもらえるような環境づくりです。若い人は仕事とプライベートのバランスを大切にしていて、ホテル業のように週末勤務や立ち仕事が当たり前、ユニフォーム着用の義務やシフト制など、求めているものから少し離れた仕事を、どうやって魅力的な職業かアピールできるか、アイデア出しやプログラムを考えなければならないですね。

――レイニーさんならでは視点で導入されたプログラムがあるとうかがいました。ユニークな企画やゲストに好評なものは何ですか?

ホテルのグループ全体として、「ザ・ペニンシュラアカデミー」というホテルが所在する国や都市の文化やライフスタイル、料理、歴史などをペニンシュラ独自のツアーや講座を通して学ぶ体験型プログラムを展開しています。“ジェームスボンド・プログラム”と私が勝手に呼んでいるプログラム(正式名:ザ・ペニンシュラの旅:ヘリコプターとヨット、ロールスロイスで巡るラグジュアリーペニンシュラモーメント)は、ヘリコプター、ヨット、ロールスロイスの“空”、“海”、”陸”という3つのトランスポーテーションを使ったプログラムがあります。まず自家用ヘリコプターで普段入れないようなビーチまでの空の旅を楽しみ、その後、豪華ヨットでのクルーズで湾の入り江に向かいシャンパンランチを。最後にペニンシュラ仕様のロールスロイスでヨットの着いた港からホテルまで戻る、というとてもラグジュアリーなプログラムです。

もう一つは、現在は終了していますが、女性向けのスタイリングのプログラムで、プロの専属スタイルコンサルタントに、自分の持っているビジネス、イブニング、カジュアル全ての洋服を、フレッシュな感覚で分析してもらうというもの。ある程度年齢を重ねていくと、自分の好みだけの洋服や色を選びがちなのだけど、これは一部の参加された方に、とても好評いただきました。

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