連載 | 須永辰緒の選盤流儀 第3回 ジャズとお酒が繋いだ東北復興支援

連載 | 須永辰緒の選盤流儀 第3回 ジャズとお酒が繋いだ東北復興支援

連載 | 須永辰緒の選盤流儀

連載 | 須永辰緒の選盤流儀 第3回

ジャズとお酒が繋いだ東北復興支援

BILLY SPRAGUE 『Summer Time』
FRANCES FAYE 『Night and Day』
VICTER FELDMAN 『Evening in Paris』
SUPERTRAMP 『Goodbye Stranger』

連載第3回目は、古典酒場を紹介する人気番組「吉田類の酒場放浪記」でお馴染みの吉田類氏が開催する、東北復興支援チャリティイベントをリポートしていただいた。須永氏と親交のあるDJや著名人が、お酒とともに音楽を通して復興への思いを伝える宴にちなみ、福島で掘り出した名盤をご紹介。

Text by SUNAGA Tatsuo

まだ過去にならない現実と向き合うべき機会

9月4日(日)に東北復興支援チャリティイベント「吉田類と仲間達Vol.9」が笹塚ボウルで開催されました。『我々酒呑みにも何かできることはある』発起人でもある酒場詩人・吉田類さんの言葉はいうまでもなく2011年3月11日の関東東北大震災で被災された方々へ向けられたものです。以降年に二回、一回と続けてきました。私は代表雑務係として関わっていますが、何よりも痛感するのが『風化』への怖さです。

こうしたイベントを開催することによってもう一度あの日に立ち返り、東北に復興に思いを馳せるのも目的です。入場料は経費を除いた全てを義援金として送ります。チャリティなので出演者は当然手弁当です。類さんの人柄か、たくさんの企業さんにも理念に賛同して頂きました。酒場や飲食店からもたくさんのおつまみが振る舞われます。三浦漁港からはほぼ解体ショー、剛毅にお寿司を現場で握ってもらっていますし、宇都宮餃子会は焼き台と共に上京、2000個以上が振る舞われます。

いずれも東北復興支援の旗を振り続けるためにたくさんのスタッフや出演者、そして入場料という名の支援金を義援金とすべく駆けつけてくれるお客さんが一緒になって作り上げるイベントです。熊本にも支援の輪を広げた9回目の今回も入りきれないほどのお客さんに来場頂き、たくさんの義援金を無事届けることができました。渡辺祐さんの司会に類さんを加え、いとうせいこうさんや有田芳生さんを中心としたトークあり。FPM田中知之くん、DJ MAYURI、小宮山雄飛くんなどジャンルなど垣根をとっくに超えたメンバーでのDJプレイ。音曲漫才トリオ、ポカスカジャンのライブなど盛りだくさんで盛会のうちに終了。

須永辰緒の選盤流儀 第3回
須永辰緒の選盤流儀 第3回
須永辰緒の選盤流儀 第3回
須永辰緒の選盤流儀 第3回

偶然にも直前の日程にて、お世話になってる仙台Loop Cafeのアニバーサリー・パーティにお呼ばれ。翌日は福島にこの店ありと知られるLittle Birdに途中下車して立ち寄りDiggin’、7インチを中心に鬼買い。その成果の一部はこちら。

(1) BILLY SPRAGUE/Summer Time (PHOTO)
マイナーコードがお馴染みの切ないスタンダードですが、なぜか景気良く!(笑)7インチ特有の音圧と高音域の弾けっぷりはアメリカのインディーズ盤に顕著。鳴り物入りのマンボジャズのB面のダブルサイダー(両A面のような扱いの意味)ユニゾンを奏でるトランペットとヴィヴラフォンにリズム隊を加えた編成。このレーベルは初めて見たな。アメリカは広い。

BILLY SPRAGUE 「Summer Time」

(2) FRANCES FAYE/Night and Day (GNP)
BETHREHEMなどに数枚のアルバムを残すエンターティナー、フランシス・フェイは中性的なヴォイスが特徴。カリフォルニアの青い空ばりに陽気にスイング。曲はスタンダードながらJack Costanzo(Bongo)というクレジットが肝。オーケストラをバックにグルーヴを加速。このタイプの曲は文句なくフロアで映える。

FRANCES FAYE 「Night and Day」

(3) VICTER FELDMAN/Evening in Paris (SONET)
こちらもなぜかBETHREHEM人脈なメンバーで。偶然だろうか。表記にVic Feldmanとありますが、ジャズ・ジャイアンツのひとり、ビクター・フェルドマンで間違いなし。57年ということでキャリア初期の録音で、7インチシングルのみのセッションとのこと。SONETはスウェーデンの老舗ジャズレーベル。この時期アメリカやイギリスのジャズマンは活動の場とジャズの啓蒙のために広く欧州に出かけてセッションなどを続けていた。そんな縁が回り回ってうちのレコード棚に。そういう縁(えにし)もレコードハンティングのロマンですよね。

VICTER FELDMAN 「Evening in Paris」