フェラーリ GTC4 ルッソに北イタリアで試乗|Ferrari

フェラーリ GTC4 ルッソに北イタリアで試乗|Ferrari

CAR IMPRESSION

Ferrari GTC4 Lusso|フェラーリ GTC4 ルッソ

フェラーリ GTC4 ルッソに北イタリアで試乗

イタリアの至宝によるエポックメイキングな1台 (2)

高級サルーン並みの快適性を実現

そもそもFFは、フェラーリにとってイノベイティブなモデルだった。なんとなれば、大人4人がゆったり乗れる4シーターのシューティングブレーク風スタイルに、同社初となる独創的な4WDシステムを組み合わせることで多用途性を獲得した、これまでのフェラーリには存在しないモデルだったからだ。そんな彼らの試みは成功したと言っていいだろう。

「612スカリエッティはじめとする従来の4シーターモデルに対し、FFユーザーの平均年齢層は10歳若いのです」

プレゼンテーションの席で、開発担当者はそう語った。つまり、これまでよりも若い富裕層を、FFにより新規顧客として迎え入れることができたわけだ。彼らの60パーセントは4名乗車でロングツーリングに出かけ、平均年間走行距離もフェラーリの他モデルより50パーセントも多いのだそうだ。フェラーリに乗るとこう行為は、言ってみれば“ハレ”(非日常)そのものだが、FFの登場によっていい意味で“ケ”(日常)に舞い降りてきたといえるのかもしれない。プレゼンテーションでは、スクリーンに映し出された、FFのリアでチャイルドシートに収まり笑みを浮かべる赤ちゃんの画像が印象的だった。

Ferrari GTC4 Lusso|フェラーリ GTC4 ルッソ
Ferrari GTC4 Lusso|フェラーリ GTC4 ルッソ

GTC4 ルッソとの対面を果たした翌朝、いよいよ我々にそのステアリングが委ねられた。ドライバーズシートにおさまってまず気づくのは、インテリアがエクステリア以上にリファインされていたことだ。新たに「デュアルコクピットデザイン」というコンセプトが導入されたそれは、インストルメントパネルからリアシートまでを貫くセンターコンソールにより、運転席と助手席の空間が対称的に分けられているのが特徴。縦方向にゆったりとしたスペースをとりながら、横方向を適度にタイトにすることで、心地いい囲まれ感が実現されている。「ドライバーとパッセンジャーのいずれにも、スポーティさとラグジュアリーな快適性を提供する」という担当者の言葉とおり、助手席に身を置いても心が躍りそうなインテリアだ。

インストルメントパネルの意匠は、円形のエアダクトやコンパクトなメーターナセルのセンターを回転計が占めるレイアウトなど、フェラーリの文法に則ったものだが、FFと比べてより立体的でモダンな造形となった。回転計の両サイドには2つの5インチTFTディスプレイ、センターコンソールには10.25インチとたっぷりとしたサイズのタッチスクリーン、さらに助手席側インストルメントパネルにもパッセンジャーディスプレイと呼ばれる8.8インチの横長なディスプレイが設置されるなど、最新のインターフェイスもこれでもかとばかりに用意されている。

なによりも感心させられたのは、車内全体に横溢する上質感だ。たとえばシート。瀟洒な造形といい、高品質なレザーの質感やクラフツマンシップを感じさせるステッチといい、ため息が出るほどに麗しい仕上がりなのだ。「細心の注意を払ったデザインとディテールへのこだわりによって、スポーティラグジュアリーなキャビンを創造した」とプレス資料にはあるが、まさに”スポーティラグジュアリー”という形容がふさわしい空間である。

Ferrari GTC4 Lusso|フェラーリ GTC4 ルッソ
Ferrari GTC4 Lusso|フェラーリ GTC4 ルッソ

ユーティリティの改善についてもぬかりない。ラゲッジスペースは最大で800リッターを確保。車内の収納スペース容量は50パーセント以上拡大され、リアシートのレッグスペースも16mm広くなっているという。

ステアリングホイールに設置された真っ赤なスターターボタンを押し、フロントアクスル直後に鎮座するエンジンに火を入れる。V12 ユニットが目覚めたというのに車内は予想外に静かだ。紛れもなくマルチシリンダーエンジンならではの息吹を感じさせるのだが、ボリューム自体が絞られているのだ。

その印象は走り出しても変わらない。ブルーニコの街中を40〜50km/h程度で流していると、タコメーターの針は7時の位置、つまり1,800rpm前後を行き来しているのだが、そんなコンディションではV12サウンドは心地いい程度に抑えられている。恐らく、新たにエキゾーストパイプに設置された電子バイパスバルブも一役買っているのだろう。これにより、ダウンスピード域ではエンジン音を抑え、スポーツドライブ時にはV12特有のパワフルなサウンドを発生させるのだという。

さらにGTC4 ルッソでは、シャシーとボディの接合部の剛性強化、エアコンの静粛性向上、そして音響特性に配慮した新素材の採用などさまざまな取り組みにより、FF比で静音性が50パーセント向上しているという。確かに、キャビンはFFより明らかに静かで、高級サルーン並みの快適性を実現していると思った。