フェラーリ GTC4 ルッソに北イタリアで試乗|Ferrari

フェラーリ GTC4 ルッソに北イタリアで試乗|Ferrari

CAR IMPRESSION

Ferrari GTC4 Lusso|フェラーリ GTC4 ルッソ

フェラーリ GTC4 ルッソに北イタリアで試乗

イタリアの至宝によるエポックメイキングな1台

フェラーリ初となる4WDモデルとして2011年に登場し、注目を集めたFF(フェラーリ・フォー)。あれから5年、後継モデルとなる「GTC4 ルッソ」が今年のジュネーブモーターショーでデビューしたのはご存じのとおり。北イタリアは南チロルで開催された同車の試乗会からのリポートをお送りする。

Text by YAMAGUCHI Koichi

大幅に洗練されたインテリア

イタリア最北端に位置する南チロル地方。ドロミテ山脈の雄大な山並みを望むその代表的な街、ブルーニコのスキー場に到着すると、ガンメタリックにペイントされた1台の真新しいフェラーリが出迎えてくれた。同社初となる4WDモデルとして話題を集めた「FF(フェラーリ フォー)」の後継車、「GTC4 ルッソ」の試乗会が、7月初旬、まだ肌寒さを感じさせるアルプスのスキーリゾートを起点に開催されたのだ。

GTC4 ルッソの背後には、山肌からニョキッと生え出た巨大なオブジェのような、斬新な建物がたたずんでいた。秘密基地のようにも見えるコンクリート打ちっぱなしの建造物は、世界的建築家、ザッハ・ハディットの手になる「メスナー山岳博物館」だ。奇才と呼ばれる彼女の作品らしく、未来的で奇抜な造形だが、周囲の大自然にも不思議となじむ、有機的な美しさを備えているのが印象的だ。

Ferrari GTC4 Lusso|フェラーリ GTC4 ルッソ

メスナー山岳博物館

フェラーリのスタッフは、自らの最新モデルをこの建築作品と共演させるかのように展示し、我々を出迎えたわけだ。そして主役たるGTC4 ルッソもまた、シューティングブレークという個性的なスタイルを採用しながらも、FFにはないクラシカルで洗練された美しさを湛えていた。率直に言って、ずいぶんスタイリッシュになった印象なのだ。

Ferrari GTC4 Lusso|フェラーリ GTC4 ルッソ
Ferrari GTC4 Lusso|フェラーリ GTC4 ルッソ

つぶさに観察してみると、この真新しいクーペ、確かにFFから大幅にリファインされていることに気づく。例えば、ルーフライン。FFがほぼ水平であったのに対し、GTC4 ルッソではリアエンドにいくにしたがって下降しており、それに沿うようにウィンドウグラフィクスにも変更が加えられている。これがファストバッククーペのような流麗な印象をつくりだしている。

「プロポーションはFFとほぼ同様です。ただし、ルーフラインは後端で低く下がっています。私たちはよりダイナミックなイメージをつくり出したかったのです」

プレゼンテーションの席で、GTC4 ルッソを手がけたデザイナーはそう語ったが、確かに彼らの狙いは果たされていると思った。

フロントまわりはノーズ先端がより低く長くなり、グリルは冷却効率向上のため大型のシングルタイプに変更。リアまわりではテールランプが2灯から伝統の4灯に改められ、よりボディのワイド感が強調されている。

ボディ側面に目を向けると、フェラーリの往年の名車「330GTC」を彷彿させる3枚のルーバーが切られ、フロントフェンダー後端からリアフェンダーに向かってシャープなエッジラインが走る。これらFFにはない繊細なディテール処理により、彫りが深く、躍動感を感じさせるデザインに仕上げられているのだ。実際、FFから受け継いだボディパネルはほとんど存在しないという。ちなみに、ボディサイズはFFとほぼ同寸ながら、車両重量は60kgのダイエットに成功している。

Ferrari GTC4 Lusso|フェラーリ GTC4 ルッソ
Ferrari GTC4 Lusso|フェラーリ GTC4 ルッソ

スーパースポーツとしてのダイナミズムと、クーペならではエレガンスを感じさせるGTC4 ルッソのエクステリアは、眺めているだけで惚れ惚れするのだが、同時にエアロダイナミクスの向上も図られている。デザインの初期段階からデザイナーと開発チームが連携し、風洞実験などを繰り返した結果、FF比でドラッグが6パーセント削減されたほか、後輪へのダウンフォース強化など、空力効率が改善されている。

ちなみに、ボディサイドに設けられたルーバーの引用元である330GTCは、同じくフェラーリが誇る歴史的名車「250GT ベルリネッタ ルッソ」とともに、GTC4 ルッソのネーミングの由来となるモデルだ。GTCは「グランツーリズモクーペ」を、ルッソ(Lusso)はイタリア語で「ぜいたく」を意味するわけだが、フェラーリがこれら名車たちの名前を引用したことは、GTC4 ルッソがFFの単なるマイナーチェンジモデルではないことの左証だといってもいいだろう。実際、主役との初対面後に行われたプレゼンテーションでは、デザインのみならず、エンジンからビークルダイナミクス、そして快適性にいたるまでたっぷり1時間以上の時間が費やされ、全面的な進化を遂げていることが謳われた。