チベットの壮大な巡礼旅を描くロードムービー『ラサへの歩き方〜祈りの2400km』|MOVIE
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2016年7月5日

チベットの壮大な巡礼旅を描くロードムービー『ラサへの歩き方〜祈りの2400km』|MOVIE

PATHS OF THE SOUL

五体投地による巡礼旅を通して、チベットの人びとの潔く心地よい生きざまを描く

7月23日公開、『ラサへの歩き方〜祈りの2400km』

死ぬ前に聖地ラサへ行きたいという叔父の願いをを叶えるため、聖地ラサへの巡礼を決意する主人公、ニマ。話を聞きつけ、同行を願う村人が集まり、総勢11名による巡礼の旅が始まる。一行は、五体投地(ごたいとうち)で遠く離れた聖地へ、さらに聖山カイラス山へと向かう。チベットの小さな村の物語をドキュメンタリータッチで描いた、映画『ラサへの歩き方〜祈りの2400km』が2016年7月23日(土)より、シアター・イメージフォーラムほかにて封切りされる。

Text by OPENERS

ほぼ1年かけて歩く、11人の村びとのチベット巡礼旅

物語冒頭の舞台は、チベット・カム地方マルカム県プラ村。ニマの家では、父親が亡くなり、まだ四十九日が明けず、法事が行われていた。父の弟のヤンペルは、兄のように思い残すことなく、自分は死ぬ前に聖地ラサ行きたいと願う。ニマは叔父の願いを叶えるため、ともにラサへ巡礼に行く決意をする。彼らの巡礼のことを知ると、次々と同行を願う村人が集まり、老人、妊婦、そして幼い少女タツォを含め一行は総勢11人になった。村から五体投地で遠く約1200キロメートル離れた聖地ラサへ、さらにそこから約1200キロメートル先にあるカイラス山への巡礼の旅に出る。

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『ラサへの歩き方〜祈りの2400km』は、チベットの小さな村に住む11人の人びとが、チベット仏教の聖地ラサへ、そして最終目的地の聖山カイラスへ、合わせて約2400キロメートルにも及ぶ距離を、「五体投地(ごたいとうち)」という礼拝をつづけながら少しずつ前進する巡礼旅を描いたロードムービーだ。

「五体投地(ごたいとうち)」とは、両手・両膝・額(五体)を地面に投げ伏して祈る、仏教でもっとも丁寧な礼拝の方法のこと。チベットにはいまも五体投地で礼拝しながら、長い時間をかけて聖地へ進んでいく巡礼者がいる。この映画に登場する巡礼者たちが移動する姿を目にすると、いかに進むのが大変かがおわかりいただけるだろう。

『ラサへの歩き方〜祈りの2400km』|PATHS OF THE SOUL

『ラサへの歩き方〜祈りの2400km』|PATHS OF THE SOUL

丁寧に村人たちの暮らしを見せ、さまざまなドラマがありながらも大げさにすることなく、スクリーンにはたんたんと巡礼の模様が映し出される。ドキュメンタリー作品かと見紛うが、本作は創作映画。ただ、観客はドキュメンタリーさながらの登場人物たちの自然体に陶酔していくことになるだろう。スクリーンに没入していくと、さりげない会話や行動のなかから「他者のために祈る」というチベット仏教の教えが伝わってくる。なぜ彼らは他者の幸福を願うのか。過酷に見える巡礼でありながら、なぜ彼らは楽しげなのか。「祈る」「歩く」「眠る」「笑う」、それらシンプルな所作のなかにある喜び、そしてその心のありかが見えてくる。

『ラサへの歩き方〜祈りの2400km』|PATHS OF THE SOUL

『ラサへの歩き方〜祈りの2400km』|PATHS OF THE SOUL

本作は、日本でもヒットした『こころの湯』、サンセバスティアン国際映画祭で監督賞を受賞した『胡同のひまわり』などで知られるチャン・ヤンの監督作品。ヤン監督の長年のチベットへの憧れをついに映画化した作品だという。ドキュメンタリータッチの撮影手法で、ヤン作品のイメージを大きく広げ、高い評価を得た。複雑に生きすぎる現代のひとびとに、チベットの巡礼旅が何かを気づかせてくれる。

『ラサへの歩き方〜祈りの2400km』
2016年7月23日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国ロードショー
監督│チャン・ヤン
出演│チベット巡礼をする11人の村人
配給│ムヴィオラ
118分/2015年/中国/英題「PATHS OF THE SOUL」

http://www.moviola.jp/lhasa/

           
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