新型ジャガーXFに試乗|Jaguar
CAR / IMPRESSION
2016年6月7日

新型ジャガーXFに試乗|Jaguar

Jaguar XF|ジャガー XF

新型ジャガーXFに試乗

趣味性の高いラグジュアリーサルーンを求めている人に

2015年3月に、軽量化を視覚的に訴えるべく綱渡りのパフォーマンスでワールドプレミアを飾った、新型ジャガー「XF」。その半年後には国内発表も行われた新型XFに小川フミオ氏が試乗した。サミットでも注目を集めた風光明媚な伊勢志摩を舞台に、ディーゼル、4気筒ガソリン、そしてV6エンジンとバリエーション豊かなモデルを試す。

Text by OGAWA FumioPhotographs by ARAKAWA Masayuki

バリエーション豊富な新型XF

ダイナミック ラグジュリー サルーンを標榜するジャガー「XF」のジャーナリスト向け試乗会が、2016年3月末に開催された。発表は2015年9月だったので、待つこと半年、ようやく実車に接する機会が生まれたことになる。ダイナミックを標榜するだけに、走りのよさが印象に残るモデルだ。

ジャガーXFは2007年に本国で発表された先代のフルモデルチェンジ。今回は先に導入されたジャガー「XE」と基本プラットフォームを共用する。アルミニウムをボディの75パーセントに使用した軽量構造によって先代XFに対して最大190kgの軽量化を図っている。寸法をみると、ホイールベースが50mm長くなったいっぽう、全長は10mm短く。車高は5mm低くなった。パッケージングの煮詰めによって、後席レッグルームは15mm、ニールームは24mm、ヘッドルームは27mmそれぞれ拡大している。

Jaguar XF|ジャガー XF

Jaguar XF 20d

Jaguar XF|ジャガー XF

Jaguar XF 20d

豊富なラインナップも、XEと共通している。先んじてXEに搭載された新開発の2リッター4気筒ガソリンの「XF 25tピュア」と「XF 25tプレスティッジ」、340馬力の3リッターV6ガソリンエンジンの「XF 35t Rスポーツ」と「XF 35t ポートフォリオ」、そして頂点に380psの3リッターV6を載せた「XF S」がある。2リッター4気筒ディーゼル版も同時発売され、「XF 20dピュア」と「XF 20d プレスティッジ」が設定されている。合計7車種のラインナップだ。価格はXF 20tピュア(ガソリン)の598万円からはじまる。上はXF Sの1,105万円と幅広い。

今回の試乗は、名古屋駅からスタートし、伊勢志摩の英虞(あご)湾に浮かぶ賢島(かしこじま)を中心に行われた。用意されたモデルは、4気筒の25tピュア、最も馬力が高いV6のS、それにディーゼルの20dプレスティッジだった。バリエーション豊富である。市街地、高速道路、それに伊勢から鳥羽へと山越えをする伊勢志摩スカイラインと、志摩半島の海沿いの屈曲路を走るパールロード。ドライブ好きには変化に富んで楽しいコースである。

新型XFはエンジンとともに個性が豊かなモデルだった。

Jaguar XF|ジャガー XF

趣味性の高いラグジュアリーサルーンを求めている人に (2)

個性豊かな新型XF

新型XFにおける最もベーシックなグレードが、XF 20t ピュア(598万円)だ。ベーシックといっても、「装備を簡略化した受注生産車でなくきちんと満足いただけるカタログモデル」とジャガー・ランドローバージャパンの広報担当者は言う。上級グレードの20tプレスティッジ(668万円)に比してもそう見劣りしない内容だ。

大きな違いは、ピュアは17インチホイール(プレスティッジは18インチ)、ラックステックという合成皮革シート(同レザーシート)、シートヒーターはオプション(同標準)といったところだ。電動シートをはじめ、自動緊急ブレーキやレーンキープアシストといった安全装置、アダプティブクルーズコントロール、「イン コントロールタッチ プロ」と名づけられたタッチスクリーン式のインフォテイメントシステムなどは標準装備となる。メルセデス・ベンツ「C 250 アバンギャルド」(534万円)と「E 250 アバンギャルド」(687万円)の中間に位置する価格設定の説得力が増す。

Jaguar XF|ジャガー XF

Jaguar XF 20d

Jaguar XF 20d|ジャガー XF 20d

Jaguar XF 20d

新開発の1,998cc 4気筒エンジンは、240馬力(177kW)の最高出力と、340Nmの最大トルクを発生する。1,750rpmから最大トルクが出はじめる設定により低回転を主に使うことで燃費向上を目指しているそうだ。実際に、走りはじめから力強い印象だが、いっぽうで加速性もかなりよい。ひと昔前の2リッターとは隔世の感を受ける出来のよさだ。

380馬力(280kW)の最高出力と、450Nmの最大トルクを持つ2,994ccのV型6気筒エンジン搭載のXF Sは、このパワープラントのよさを生かしきったモデルだ。最高出力を発生する回転数は6,500rpm、最大トルクは3,500rpmでという高回転型のエンジンで、実際、回す楽しさが味わえる。回転が上がっていくと、ぐんぐんと力強く加速し、同時に足回りはしなやかに動くし、ステアリングホイールの切り込みに対する車体の反応もダイレクト感が強い。スポーティな印象が最も強いモデルだ。

V6ユニットは、ジャガー ドライブ コントロールで「ダイナミックモード」を選択すると、シフトスケジュールが変わり、より活き活きと回りはじめる。回転が上がるほどレスポンスが鋭くなる感じで、締め上げられた脚まわりとともに、ドライバーとの関係性がより密になる感覚だ。実際に3リッターV6モデルの人気は世界各国のマーケットで高いそうだ。しかしフォードの工場に生産を委託しているため、思うように増産体制がとれないのが、ジャガーの悩みの種だとか。ダウンスピーディングといって、低い回転域での太いトルクで加速力を体感させつつ燃費もかせぐという今の時代にあっても、クルマはエンジンの出来のよさで評価が左右されるという昔からの公式はいまだに健在と感じさせるのだ。

Jaguar XF|ジャガー XF

Jaguar Ingenium Engine

Jaguar XF|ジャガー XF

Jaguar Ingenium Engine

インジェニウムシリーズに連なる2リッター4気筒ディーゼルエンジン搭載のXE 20dも、今回は最初から用意された。XEも同じタイミングで追加設定となる。パーツの多くをガソリンエンジンと共用しつつ、180馬力(132kW)の最高出力と、430Nmの最大トルクを発生する。この大トルクは、3リッターV6のXF Sと近い。1,750rpmから最大トルクが出はじめるため、走り出しから力強く、加速性もとてもよい。特有のノッキング音はほとんど聞こえてこない。

全長5メートルになんなんとする大型ボディを持ったXFのような高級サルーンが、2リッター ディーゼルエンジンで気持ちよく走る時代となったというのが、なにより感慨ぶかい。広いスペースと、ぜいたくなしつらえと、豊富な装備という点では、十分かそれ以上にかつての大排気量車に匹敵しているのだ。

新型XFには注目の装備が多い。

Jaguar XF|ジャガー XF

趣味性の高いラグジュアリーサルーンを求めている人に(3)

乗り込むとドラマチックな演出効果

新型ジャガーXFは、XEの姉妹車であることが一目でわかる。いわゆるファミリー アイデンティティを濃厚に持つ。矩形のグリルに縦方向に細く造型されたヘッドランプのフロントと、半円形をモチーフにしたリア コンビネーション ランプが備わったリア。いっぽう、XFならではの特徴としては、リアクォーターウィンドウを持つ6ライトのウィンドウ グラフィクス、半円型が(XEは1つであるのに対して)2つ並んだリアコンビネーションランプなどがあげられる。

躍動感があるのは、XEと共通したキャラクターだ。ショートデッキといってトランクリッドの前後長を短めにしてクーペ的な要素を強調したシルエットが全体に動きを生む。いっぽう、大型エアダムなどディテールでもスポーティさが強調される。それでいて、室内はぜいたくだ。ピュアおよびプレスティッジではシートのカラーがブラックもアイボリー調も選べる。35tポートフォリオになるとシート表皮のカラーがさらに豊富になることに加えウッドパネルも選択肢に入ってくる。Sとポートフォリオでは2トーンのレザーシートにコントラストステッチとなり、さらに後者ではパーフォレーテッドレザーが用意される。

Jaguar XF S|ジャガー XF S

Jaguar XF S

Jaguar XF S|ジャガー XF S

Jaguar XF S

「車内に入ったときから演出がはじまります」。ジャガー・ランドローバー・ジャパンの技術担当者が説明してくれるように、新型XFの凝りかたはレザーとウッドの組み合わせにとどまらない。イタリアの超高級モーターボート、リーバにインスパイアされたといわれるダッシュボードの造型をはじめ。光による演出が効果的に使われている。エンジンスタート ボタンの明滅は1分間に72回。心臓の鼓動の回数を参考にしたそうだ。エンジンをかけると、円筒形のギアセレクターがゆっくりと持ち上がり、やや遅れてエアコンのベントが半回転して開く。これらを「ドラマチックな劇場効果」と前出の担当者は言うが、クルマ自体も(社名がジャガーだけに?)生命を持っているようだ。

Jaguar XF 20d prestige|ジャガー XF 20d プレスティッジ

Jaguar XF|ジャガー XF

安全装備は、さきにも少し触れたけれど、豊富だ。自動緊急ブレーキをはじめ、ステアリング操作による車線逸脱防止システム、コーナリング時に各輪のブレーキ制御を適切に行って適正なライン取りをサポートするトルクベクタリング、滑りやすい路面を走行するさいステアリングホイールの操作のみで一定速度で走行できるサーフェス プログレス コントロール、さらにアダプティブ クルーズコントロールが備わる。

趣味性の高いラグジュアリーサルーンを求めている人は、いちど新型XFを試すといいだろう。運転が好きならXF Sを、長距離移動が多い人ならXF 20dなどもいいと思う。選択肢の多さは大きな魅力だ。

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Jaguar XF S|ジャガー XF S
ボディサイズ|全長 4,965 × 全幅 1,880 × 全高 1,455 mm
ホイールベース|2,965 mm
車両重量|1,830 kg
エンジン|2,994 cc V型6気筒
最高出力|280 kW(380 ps)/6,500 rpm
最大トルク|450 Nm/3,500 rpm
トランスミッション|電子制御8速オートマチック
駆動方式|FR
0-100km/h加速|5.3 秒
最高速度|250 km/h
燃費(JC08モード)|10.6 km/ℓ
CO2排出量|198 g/km
価格|1,120 万円

Jaguar XF 25t PURE|ジャガー XF 25t ピュア
ボディサイズ|全長 4,965 × 全幅 1,880 × 全高 1,455 mm
ホイールベース|2,965 mm
車両重量|1,760 kg
エンジン|1,999 cc 直列4気筒ターボ ディーゼル
最高出力|132 kW(180 ps)/4,000 rpm
最大トルク|430 Nm/1,750-2,500 rpm
トランスミッション|8段オートマチック
駆動方式|FR
0-100km/h加速|8.1 秒
最高速度|229 km/h
燃費(JC08モード)|16.7 km/ℓ
CO2排出量|114 g/km
価格|614 万円

Jaguar XF 20d PRESTIGE|ジャガー XF 20d プレスティッジ
ボディサイズ|全長 4,965 × 全幅 1,880 × 全高 1,455 mm
ホイールベース|2,965 mm
車両重量|1,760 kg
エンジン|1,999 cc 直列4気筒ターボ ディーゼル
最高出力|132 kW(180 ps)/4,000 rpm
最大トルク|430 Nm/1,750-2,500 rpm
トランスミッション|8段オートマチック
駆動方式|FR
0-100km/h加速|8.1 秒
最高速度|229 km/h
燃費(JC08モード)|16.7 km/ℓ
CO2排出量|114 g/km
価格|693 万円

問い合わせ先

ジャガーコール

0120-050-689(9:00-18:00、土日祝日を除く)

http://www.jaguar.co.jp

           
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