FPM・田中知之が聞く「セイコー プレザージュ」に込められた作り手の思い|SEIKO

SEIKO|FPM・田中知之が聞く「セイコー プレザージュ」に込められた作り手の思い

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SEIKO|セイコー

バーゼルワールド 2016で発表されたセイコーの自信作

田中知之が感じた「セイコー プレザージュ」の美学(1)

本年のバーゼルワールドで、もっとも注目を集めた日本ブランドの腕時計のひとつである「セイコー プレザージュ」。セイコーが自動巻き腕時計を手がけて、60年を迎える節目に、本格的にグローバル展開することを発表した機械式時計のブランドだ。2016年5月、ブランドを代表する「プレステージライン」から新モデルが発表され、時計店の店頭で存在感を示している。腕時計愛好家としても知られるFPMの田中知之さんが、この時計の魅力を掘り下げるべく、プレザージュの商品企画担当者と対談。手に取ったものを魅了する、その背景に迫る。

Photograph by JAMANDFIXText by OPENERS

プレーンなセイコーらしい表情をたくわえた3タイプをラインナップ

従来のドレッシーなイメージから脱し、スポーティで精悍なデザインをたくわえたセイコー プレザージュの新しいプレステージラインが発売された。3針に日付表示を加えたモデル、日付・曜日表示とパワーリザーブを多針で示すモデル、クロノグラフの3型をラインナップし、もっともシンプルな3針モデルは、10万円(プラス税)という価格設定だ。

田中知之×セイコー プレザージュ

いっぽうで、「Trimatic(トライマチック)」というセイコー独自の技術や機構を備え、セイコーのフラッグシップブランド「グランドセイコー」にも通じる仕上げの良さが息づいたデザインで、時計愛好家から早くも好評を得ている。

セイコーウオッチでこのプレザージュの商品企画を担当する、平岡孝悦さんを招き、この魅力的なモデルに、FPMの田中知之さんが触れた。

コストパフォーマンスこそ、日本製の矜持

田中知之(以下、田中) 基本的にセイコーさんのシンパなので、バーゼルの速報を見てすごく気になっていました。いま機械式時計にフォーカスして、プレザージュというブランドをグローバルに展開されるという背景はどんな意図があるのでしょうか。

田中知之×セイコー プレザージュ

FPM・田中知之さん

田中知之×セイコー プレザージュ

平岡孝悦(以下、平岡) セイコーは135年前から続いている企業で、腕時計製造も100年以上続けています。その技術や思いは蓄積され、ずっと「深化」を続けています。とくに現在、かつて機械仕掛けだった、装飾品や日用品のほとんどが電子化・デジタル化され、身近にあるアイテムのなかで腕時計は機械を宿す数少ないプロダクトになりました。そこで、製品に詰まったロマンや職人たちの思いが、ユーザーに伝わる、その価値を感じて愛着をもってくれるのではないかと思い、改めて機械式を提案することに力を入れています。

「セイコー プレザージュ」というブランドは、機械式時計のエントリーラインとして評価され始めたばかりです。国内向けのブランドでしたが、今後世界に向けて発信していくことを踏まえて、改めてブランドのコンセプトをプレーンなカタチにしたのが、この新しいモデルになります。

田中 この時計、手に取ってすぐに気に入ったんですが、スイスの機械式とセイコーさんの機械式の違いやセールスポイントを改めてうかがえますか。

平岡 近年のスイスを中心とした時計ブランドのグループ化によって、先進技術を共有してたくさんのブランドから新しい技術を生かした時計を提供していこうという流れとは少し違っていて、半世紀以上前から連なっている設計思想がいまも製品のなかに入っていて、この先も同じ思想が入っている製品をつくりつづけていきたいという思いも込められていることですね。

それは二つの点に集約されていて、一つはグランドセイコーが象徴する、腕時計の基本性能を追求して頂点を目指すというものづくりの考え方で、もう一つは「庶民の味方」であること。言い換えれば、良いものを適正な価格で届けたいという思いです。

日本人には実直なものづくりの姿勢があって、プレザージュに関しては日本らしいものづくりの伝統が息づく、クオリティの高い実用時計をお客さまに届けよう、という流れのなかで生まれたブランドです。

田中知之×セイコー プレザージュ

セイコーウオッチの平岡孝悦さん

田中 このプレザージュは、エントリーモデルにもなり得るということですね。僕は日本製品の売りのひとつは、コストパフォーマンスだと思っています。つまるところ。もちろん安いということではなく、価格と品質のバランスが良くて品質が高いという意味です。

クルマでも日本車はそういう評価を受けていると思う。アメリカ車、ヨーロッパ車と比べて、価格に対して品質がいいということで日本のメーカーは世界で認められていますよね。

機械式時計にも通じる部分があると思っていて、雑誌などでバーゼルの新作発表のあとに「注目している新作を選んでほしい」といったインタビューをされることがあると、必ず日本製品を選んでるんです。結果的にいつもセイコーさんのモデルになってしまうんですけどね(笑)

田中知之×セイコー プレザージュ

なぜかというと、日本に住んでいてこんなに費用対効果がいいものを選ばない手はないと思っていて、今回の時計がすごく良いなと思った点も、ここに尽きます。とくに手に取ってみて素晴らしいなと感じました。腕時計の魅力はオーラや、手に持ったときの重みだと思います。スペックや設計概念ももちろん重要ですが、手首に収めたとき、手に持ったときに良いと感じるかどうかだと。この新作も手に取って、魅力がずっしり伝わってきたました。本当に。

平岡 私たちも、単にスペックを向上させるということではなく、目に見えない思いがどうしたら存在、カタチとして感じ取ってもらえるかを大切にしているので、そのように感想をいただけたのはとても嬉しいです。

「思い入れ」という言葉がありますが、機械式時計の企画にあたっては、自分たちの「思い入れ」をどうカタチにできるかで価値が決まると考えていて、それは触ってもらったり、操作してもらったりといった部分になります。他の「欲しいもの」「したいこと」を取りやめてでも、時計を買ってもらうには「思い入れ」を感じ取ってもらえることが大事だとつねに感じていますね。

Page02. 価値を受け継いでいける腕時計「プレザージュ」