新型SLに国内で試乗|Mercedes-Benz

新型SLに国内で試乗|Mercedes-Benz

CAR IMPRESSION

Mercedes-Benz SL-Class|メルセデス・ベンツ SLクラス

安全に快適に速い

メルセデス・ベンツSLに試乗

今年3月に国内発表された、6代目となる新型「SLクラス」。特筆すべきは、フルアルミニウムのボディシェルによって、SL(Sport Light)という名前のとおり、「軽量のスポーツカー」へとおおきく舵を切った点だ。デリバリーを目前に控えた6月中旬、渡辺敏史氏がこの「SLクラス」を御殿場の山道と高速道路にて試乗した。

Text by WATANABE Toshifumi
Phorographs by KOGAHARA Mitomu

「SL」というクルマ

SLクラスといえば、メルセデス・ベンツを代表するばかりでなく、世界のラグジュアリーオープンの範ともいえるクルマであることに異論をはさむ人はいないだろう。しかし、その出発点はバリバリのレーシングモデルであることは意外と知られていない。

レースフィールドで勝利を掴むために開発され、数々の栄光を収めたW194型(300SL プロトタイプ)が登場したのは1952年。つまり、その出自までさかのぼれば今年、SLクラスは生誕から60年を迎えたことになる。そのW194型をロードゴーイングスポーツとしてリファインしたW198型(300SL)が一般発売されたのは1954年のこと。以来5代に渡る歴史のなかで、、もっとも重視されたのは、どのクルマよりも安全に、快適に速いということだった。

そして今年、フルモデルチェンジを受けて6代目となったR231型「SL」。技術的ハイライトは、メルセデスの今後のエンジニアリングを強く示唆している。すなわち、大胆な軽量化により、環境性能と運動性能の双方を大きく向上させることだ。新型SLのボディコンストラクションはその90パーセントをアルミ製としている。ストラットハウジングやサイドメンバーなど、大柄なパーツにも新工法によるキャスティングを積極的に用い、メインフロアにも2枚のアルミ板を摩擦結合する新工法を採用。いっぽうでリアフロアにリサイクル材を用いるなど、“適材適所”で構築されたモノコックのストリップをパッとみたところ、スチールパーツはAピラーやロールバーにしか見当たらないというほどに材料置換は徹底された。結果、得られた軽量化はホワイトボディの時点でマイナス110kg。200kg前半に収まるというホワイトボディの重量は、たとえばアウディ「R8」あたりと比較しても大きく差はないほどだ。

このボディを基に、他のコンポーネンツも軽量化が進められた結果、新型SLは最大で140kgの軽量化に成功している。

この技術は少なくとも次期「Sクラス」や「CLクラス」に転用されることはまちがいなく、さらなる熟成次第ではカーボン複合材や樹脂素材等の置換えも期待できる。ドイツ語の軽量スポーツ(Sport Leicht)に由来するその車名どおり、新型SLは次世代のメルセデスにとって大きな糧となる軽量化の口火を切ったモデルとして、のちに記憶されることにもなるはずだ。