連載・Yoko Ueno Lewis|暮らしノート・第11回 ヴィンテージ狂想曲
Design
2015年3月12日

連載・Yoko Ueno Lewis|暮らしノート・第11回 ヴィンテージ狂想曲

The Way We Live with “STYLE”

暮らしノート 第11回
ヴィンテージ狂想曲

いまはむかし、1980年代後半のサンフランシスコでのできごと――アートディレクターの八木保氏のオフィスで当時一代ブームだった日本の一流企業のコーポレート・アイデンティティ(CI)・プロジェクトに日夜追われていたころの話です。

Text & Photographs by Yoko Ueno Lewis(Feb. 2012)

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私たちのヴィンテージ狂いの一代騒動

日本人デザイナー3名は、アメリカンのヴィンテージ雑貨と家具の収集に、完璧に狂っていました……。あのすっかり上がってしまったボルテージの火付け役は、いうまでもなくボスの八木保氏で、氏のコレクションたるや、それはもう、どんなインテリア雑誌もかなわない、ただ、ひたすらのため息ものだったのです。

年に何度かサンフランシスコとその近郊で開かれるアンティークショウはもちろんのこと、近郊のローカルで退屈な街という街のアンティークショップを、しらみつぶしに定期巡回しました。サンフランシスコではエイズ患者の人たちを当たり前のように目にし、アメリカは好景気で(今にして思えば)クリスマス近くともなると、Carate&Barrelなんかは、店内はひとであふれかえり、ハウスウウェア(雑貨)やインテリアや家具に、惜しみなくお金を使っていたような気がします。

上野容子|ヴィンテージウェア 04

上野容子|ヴィンテージウェア 06

あのころの活気、そして私たちのヴィンテージ狂いの一代騒動は、いまはもう、ただなつかしいばかりの、80年代のひとこま、すべては、あの青春後期のあまりにも責任のない、社会貢献ゼロの日々と、そして、収集のために消えていった莫大なお金……? ともあれ、すっかり覚めてしまった収集熱とは関係なく、私の手元には膨大なヴィンテージ・コレクションとしての雑貨、ソルト&ペッパーやファイヤーキングのディプレション(大恐慌)グラスウェア、そして40年代の冷蔵庫お買い上げの方にもれなく進呈されていたセラミックのピッチャーたちや私自身も子どものころずいぶんお世話になったフィフティーズのメラミンの食器たち、イームズやラッセル・ライトやレイモンド・ロウイなどの当時のかずかずの名作が残ってくれたことになります。

上野容子|ヴィンテージウェア 11

上野容子|ヴィンテージウェア 14

ここにただひとつの真理があります

それは、消えていったヴィンテージモダンのなかにこそ、ほんとうの意味のデザイン力が今なお、たしかに存在しているということです。バウハウスからアールデコ、ヌーボー、そしてハイコンセプト&テクノロジー(ハイテク)、1920年代から80年代はじめ、これらの時代のエネルギーが創り上げたデザイン力の豊かさが、これら小さな塩コショウの容器やメラミンのキュートなカップにこめられているのです。この力は、おそらくはもう再現されることはないでしょう。

何回かに分けて、この、あまりに切ない、コレクションのごく一部を公開させていただきます。

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