アウディが手がけるドライビングスクールを体験|Audi
CAR / FEATURES
2016年3月8日

アウディが手がけるドライビングスクールを体験|Audi

Audi Driving Experience|アウディ ドライビング エクスペリエンス

アウディが手がけるドライビングスクールを体験

スムーズな運転こそが速くて安全

各カーメーカーが正しいドライビングテクニックを啓蒙すべく、さまざまなドライビングスクールを行っているのはご存じの通り。アウディが1983年にドイツ本国でスタートさせた「Audi Driving Experience」もそのひとつである。2001年には日本にも導入されたが、2016年、再スタートを切るという同スクールのカリキュラムを、モータージャーナリストの大谷達也氏が体験した。

Text by OTANI Tatsuya

自分の運転を第三者にチェックしてもらえる機会

自動車の運転は「未必の故意」ならぬ「密室の行為」だとずっと信じている。自動車の車内は明らかに“密室”で、だからひとりで運転している限り、そこにどんな間違いがあっても他人から指摘されることは滅多にない。また、かりに同乗者がいても「他人の運転についてとやかく言わないことが乗せてもらっている者のマナー」という風潮が根付いているから、やはり滅多なことでは間違いを指摘できない。かくして、自己流の運転はどんどん増長され、間違った操作、判断、行為が繰り返されることになる。しかも、自動車はその気になれば簡単に人を殺傷できる“凶器”にもなり得るから始末が悪い。こんな状況は根本的に是正されなければいけないとかねがね考えている。

「そんな風にいっている自分の運転が実はいちばん危ないのではないか?」 。そう言われると、私はぐうの音も出ない。ときには業務を遂行する必要上、人に自慢できない運転をすることもあるし、普段の運転だって絶対に正しいという確信を持っているわけではない。いや、そこで確信を持つこと、つまり慢心に陥ることがもっとも危ないはず。だから、ドライビングスクールのように自分の運転を第三者にチェックしてもらえる機会があると、可能な限り参加することにしている。ちなみに私の生業は自動車を運転してその印象を文章にすることで、年齢は50歳を越えている。

アウディが手がけるドライビングスクールを体験|Audi

アウディが手がけるドライビングスクールを体験|Audi

今回、私が参加(というか取材)したのはアウディ ドライビング エクスペリエンスの、入門編のエッセンスをまとめたもの。このプログラム自体は1983年にドイツで始まり、日本にも2001年に導入されたという由緒正しいもの。ただし、最近国内では「キャンペーンのプレゼント」などに利用される機会が多く、本格的に運用されているとは言いがたい状況だった。しかし、ルマン24時間やGT3レースなどモータースポーツにも熱心に取り組んでいるアウディとスポーツドライビングは切っても切れない関係にある。そこでドライビング エクスペリエンスを活用して安全にスポーツドライビングを学べる環境を整えるとともに、「将来的にはレーシングドライバーを生み出したい」という大きな目標を掲げて、2016年度より本格再稼働を果たすことになったという。

そのコースは初心者向けからクワトロを活かしたウィンターコース、レーシングドライバーを目指す人たち向けのアウディ レース エクスペリエンスと幅広く、さらにはドイツ本国と連携して海外で開催されるプログラムにも参加できるようだ。このうち、私が今回受講したのはアクティブ セイフティのハイライト部分。本来であれば、急制動などに馴れていない参加者のために基礎からじっくりと教えてもらえるそうだが、時間の都合もあって私たちは最後の総仕上げの部分のみ体験することになった。

Audi Driving Experience|アウディ ドライビング エクスペリエンス

アウディが手がけるドライビングスクールを体験

スムーズな運転こそが速くて安全 (2)

事故防止に大きな効果があるはず

当日のカリキュラムは大きく分けてふたつ。ひとつは緊急回避行動に関するもので、もうひとつはコーナリングに関するもの。このうち緊急回避行動では、フルブレーキングをかけたままステアリング操作で障害物を避ける動作と、ブレーキングを使わずに障害物を避けた後でもとの車線に戻るダブルレーンチェンジのふたつを試した。前者は市街地での低速走行、後者は高速道路での危険回避行動を想定したものだという。

また、コーナリングに関する部分ではパイロンを並べた極小オーバルコースを用いてブレーキング→ターンイン→脱出という基本動作を学んだ。さらに、カリキュラムの最後にはこのコースを活用して簡単なジムカーナ(パイロンで作ったコンパクトなコースを周回してタイムを競う競技)のようなゲームも行われた。

アウディが手がけるドライビングスクールを体験|Audi

アウディが手がけるドライビングスクールを体験|Audi

正直、どれも基本に忠実で、ごくシンプルな内容である。けれども、このシンプルな動作をていねいに、繰り返し行っていくとさまざまな発見がある。例えば緊急回避行動は「RS Q3」「RS4」「RS7」「RS3」「R8」の5モデルで試したが、軽量コンパクトなRS Q3とRS3が思い通りにコントロールできたのに対し、やや重量級のRS4やRS7ではステアリングを操作してから実際にクルマの動きが変化するまでに微妙なタイムラグがあることがわかった。この辺は4WD機構(RS Q3とRS3はハルデックス、RS4とRS7はメカニカルなリミテッド スリップデフ)の違いとも関係があるかもしれないけれど、自分が乗っているクルマにあわせて緊急回避行動も微妙に変わってくることを学ぶにはとてもいい機会だった。

まあ、そこまで上級者レベルの話をしなくても、フルブレーキングでタイヤがロックしそうになるのをABSが制御したり、ダブルレーンチェンジでテールを振り出しそうになったときにESCがそれを抑えようとするのを体験するだけでも、事故防止に大きな効果があるはず。なにしろ、事故が起きそうな極限状況では電子制御システムのお世話に必ずなるのが、最新のプレミアムカーの現実なのだから……。

Audi Driving Experience|アウディ ドライビング エクスペリエンス

アウディが手がけるドライビングスクールを体験

スムーズな運転こそが速くて安全 (3)

ドライビングの極意をシンプルに学べる

続いて行った極小オーバルコースでのコーナリング学習は、最初はパイロンのできるだけ近くをゆっくり丁寧に走るいっぽう、そこから徐々にペースを上げてもパイロンから離れないで走るにはどうしたらいいかを学ぶもの。これ、一見したところ簡単そうだけどかなり難しい。ペースを上げればコーナーの進入で必ずアンダーステアが出てパイロンからはどんどん離れていくばかり。大切なのは、ペースが上がったらその分、早めにブレーキングを始めて十分減速するとともに、丁寧な荷重移動でアンダーステアを消し、そこからスムーズにステアリングとアクセルを操作してコーナーから立ち上がることにあるのだけれど、ペースを上げれば上げるほど減速→ターンイン→加速という動作がバラバラになってパイロンから離れてしまうはず。

アウディが手がけるドライビングスクールを体験|Audi

アウディが手がけるドライビングスクールを体験|Audi

また、サーキットと違って一列に並んだパイロンを目印にするため、いまクルマがアンダーなのかオーバーなのかを見極めるのがきわめて容易。これは本当に「目から鱗」のカリキュラムで、私自身もブレーキングのタイミングを考え直すまたとない機会になった。

そして最後のジムカーナ シミュレーションでは各参加者のタイムを計るのだけれど、ここで気がつくのはいかに派手な運転をするかではなく、スムーズで無駄のないドライビングこそがタイムも速いという事実だろう。これは公道上でもサーキットでもまったく共通の、ドライビングの真理ともいうべきことで、スムーズな運転こそが速く、安全で燃費もよく、同乗者からも喜ばれるという究極の境地なのである。

そんなドライビングの極意をシンプルに学べるアウディ ドライビング エクスペリエンス、これまでこの手のスクールに参加したことがないというドライバーには強力に参加をお勧めしたい。詳しくは http://www.audi.jp/ADE/ を参照されたし。

問い合わせ先

アウディ コミュニケーション センター

0120-598-106

http://www.audi.co.jp

           
Photo Gallery