グルーベル・フォルセイ|SIHH 2016 ジュネーブサロン速報|GREUBEL FORSEY
WATCH & JEWELRY / SIHH&BASEL
2016年2月17日

グルーベル・フォルセイ|SIHH 2016 ジュネーブサロン速報|GREUBEL FORSEY

GREUBEL FORSEY|グルーベル・フォルセイ

高精度を目指す新しい方向を模索(1)

グルーベル・フォルセイは、2人の独立時計師が創設したブランド。2004年の創業以来、2軸トゥールビヨンや高速回転トゥールビヨンのパイオニアとして、数々の賞を獲得してきた。2016年は、グルーベル・フォルセイが得意とするメカニズム「トゥールビヨン」ではなく新たに開発した複雑機構を発表した。

Text by KAWADA Akinori

名人が作る“シンプルでも高性能”な逸品

2016年は複雑なハイエンド機構を得意とする独立時計ブランドが数多く参加したことで賑わいを見せたSIHHだが、グルーベル・フォルセイは、SIHH参加ブランドのなかでも独立職人系ブランドのパイオニアといってもよい。通常のトゥールビヨンよりもさらに複雑な2軸トゥールビヨンや高速回転トゥールビヨンという他のブランドでは真似できないような機構を武器に高級メゾンとしての地位を確立した。

そんなグルーベル・フォルセイで興味深いのは、24秒で1回転する高速トゥールビヨンのほかに、“脱トゥールビヨン”とも言うべきモデルを2モデルリリースした。1つは、シンプルを極め、3針機構を備えた「シグナチュール1」。もう1つは、2つのテンプとコンスタントフォース機構備えた「ダブルバランシエール」である。

いずれもグルーベル・フォルセイの新境地を確立する時計といえる。

より高いクオリティを目指した「シグナチュール1」

今年の新作で、最も驚かされたのが、この「シグナチュール1」である。グルーベル・フォルセイといえば、複雑なメカニズムばかりを連想してしまうが、この新作の方向性はまったく逆だ。精度維持のための特殊な仕組みや複雑機構を持たない、シンプルな3針時計である。

今回彼らの試みは「複雑さ」を極めるのではなく、「シンプル」でありながら、繊細で最高レベルのクオリティにある。今回、新作の開発・組み立てを担当したのは、超熟練の時計師、デディエ・クレタン氏である。彼は、グルーベル・フォルセイの設立当初から同社に在籍している創業者2人が一目置く技量の持ち主で、組み立てや調整はもちろん、複雑機構の設計もこなす。

“シンプルな機構で最高の性能を”というのが、このモデルのコンセプトである。そのコンセプトは、この時計を作る時計師の腕前により、見事なまでに実現されている。

ケース素材は、18Kホワイトゴールド、18Kレッドゴールド、プラチナの3種類(各11本、合計33本)を予定。今回は特別にステンレススチールケースでも33本製作する予定だという。こちらも楽しみだ。

1-5

シグナチュール1
ケース|18Kホワイトゴールドケース(ほかにレッドゴールド、プラチナ、ステンレススチールを製造予定)
直径|41.4mm
厚さ|11.7mm
ムーブメント|手巻き(Cal.GFS1)
ストラップ|アリゲーター
防水|3気圧
限定数|11本(ほかにピンクゴールド、プラチナ各11本。ステンレススチール33本を予定)
発売時期|2016年5月
予価|17万スイスフラン(税別)

Page02. 二重テンプとコンスタントフォースの共演

問い合わせ先

ヴィタエルーキス

Tel. 03-6421-7533

http://www.greubelforsey.ch/

GREUBEL FORSEY|グルーベル・フォルセイ

高精度を目指す新しい方向を模索(2)

二重テンプとコンスタントフォースの共演

「トゥールビヨン」は、重力によって生じる精度への悪影響を回避するために開発された機構。この「トゥールビヨン」以外にも精度を維持させる方法はある。ひとつは精度を司るための機構、テンプ(バランスホイール)とヒゲゼンマイ(バランススプリング)をひとつだけではなく、複数装備することだ。精度の要である規則正しい動きを調整するための機構が、時計に備わっていれば、やはり重力の影響を分散させ、精度への悪影響を減らすことができる。

この『ダブルバランシエール』の要となる機構であるテンプとヒゲゼンマイを2つ装備している。通常は、1つだが、『ダブルバランシエール』では、2方向から、時計の心臓部へ力を伝えている。しかも、このテンプとヒゲゼンマイは、30度の傾きを付けて取り付けられている。長年の研究により、水平に取り付けるよりも、傾斜を付けて取り付けることで、さらに重力の影響は分散され、ムーブメント自体も斜めになってケースに格納されているのも、同様の効果を狙ってのことだ。

この時計には、精度維持するための仕組みがもう一つある。それが、2つのバランスホイールの間にある構造である。この構造物は、時計の脱進機に運動を規則正しくコントロールされる役割を負う。と同時に2つのテンプとヒゲゼンマイに動力も供給している。これをただ伝えるだけだと、ゼンマイが弱くなった時に、機構の運動エネルギーは小さくなり、精度にも悪影響を与える。そこで、ここにデファレンシャルギアともう1つのゼンマイを置き、一時的にエネルギーを蓄積してから、テンプやヒゲゼンマイへと動力を伝える。すると、一時的にエネルギーを貯める分、脱進機に伝わる力も一定に保たれ、結果として精度が安定する。

このように、新たな技術開発に挑み、2つの機構を組み合わせたムーブメントは画期的で、グルーベル・フォルセイのクオリティをさらに引き上げるものだ。

ダブルバランシエール
ケース|18Kホワイトゴールドケース
直径|43mm
厚さ|11.38mm
ムーブメント|手巻き(Cal.GF04)
機能|テンプおよびヒゲゼンマイの二重搭載、ゼンマイトルクを保つためのコンスタントディファレンシャル機構、パワーリザーブ表示
ストラップ|アリゲーター
防水|3気圧
限定数|33本
発売時期|2016年5月
予価|35万スイスフラン(税別)

Page03. 高速回転トゥールビヨンが、今年も魅せる

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高精度を目指す新しい方向を模索(3)

高速回転トゥールビヨンが、今年も魅せる

トゥールビヨン以外の機構を紹介してきたが、もちろん、トゥールビヨンも健在である。2016年の新作としてリリースされたのは、昨年に続き発表された「トゥールビヨン 24セコンズ・ビジョン」である。

通常のトゥールビヨンは、脱進機が格納されているキャリッジを1分で1回転させる。ところが、このトゥールビヨンはたった24秒で1回転する超高速運動を行うのだ。

精度の観点から見ると、腕時計の精度の敵は、重力だ。腕時計は、ゼンマイが規則的に動いているおかげで、精度は維持されている。しかし、腕時計があらゆる角度に傾くことでそれは損なわれてしまう。それを解消するために考案されたのが、トゥールビヨンや2軸トゥールビヨンだった。

この24秒トゥールビヨンには、キャリッジを3時位置に取り付け、表も裏もシースルー仕様になっている。どちらからもキャリッジの運動が存分に堪能できる。

今回はこのコレクションにレッドゴールド製のケースにブラック文字盤の新バリエーションが登場。非常に精悍でラグジュアリーな組み合わせであり、コレクションの顔ぶれを豊かにしている。

1-5

トゥールビヨン 24セコンズ・ビジョン
ケース|18Kレッドゴールド
直径|43.5mm
厚さ|13.65mm(3時位置の裏ブタドーム部は16.03mm)
ムーブメント|手巻き(Cal.GF01r)
機能|トゥールビヨン(24秒周期)、パワーリザーブ表示(裏ブタ側)
ストラップ|アリゲーター
防水|3気圧
発売時期|2016年5月
予価|29万スイスフラン(税別)

問い合わせ先

ヴィタエルーキス

Tel. 03-6421-7533

http://www.greubelforsey.ch/

           
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