萩原輝美 連載 vol.141|2016年春夏オートクチュールコレクション(2)

萩原輝美 連載 vol.141|2016年春夏オートクチュールコレクション(2)

萩原輝美のファッション・デイズ

素肌に溶ける手技のドレス――ヴァレンティノ
浮き立つ彫像キュビズムドレス――ヴィクター&ロルフ

2016年春夏オートクチュールコレクション(2)

オートクチュールを引っ張る二つのブランドがインパクト抜群のコレクションを発表しました。素肌に寄り添うヴァレンティノのフルイド(流れる)ドレスにそびえ立つヴィクター&ロルフの3Dドレス。対象的な表現ですが共にモダンクチュールの流れに添うものです。

Text by Terumi Hagiwara

素肌に溶ける手技のドレス――ヴァレンティノ

2016年春夏オートクチュールコレクションの第二弾です。ヴァレンティノのクリエイティブ・ディレクター、マリア・グラツィア・キウリとピエールパオロ・ピッチョーリはメンズ、レディス、クチュールとローマにはじまる旅を続けるようにイメージを広げています。先シーズンのクチュールのローマからプレタではアフリカに移り、今シーズンは19世紀スペインで生まれたアーティスト、マリアノ・フォルトゥーニの世界に降り立ちました。

ボディ”をベースにしたヌーディーなドレスは自由な女性を表現します。素肌の上に葉っぱや小花が舞うアコーディオンプリーツドレス。消え入るようなプリーツが素肌に溶けます。シルクシフォンに重ねる刺しゅうやレースもタトウのようです。ナイトガウンや着物コートはオリエンタルに魅せられたフォルトゥーニからインスピレーションを受けています。Aラインの揺れるロングドレスは細やかな手技を入れながらプリミティブな要素を残して繊細に仕上げています。曲線を描くへッドアクセサリーとボディに巻きつけるジュエリーが着こなしにアクセントを添えます。

浮き立つ彫像キュビズムドレス――ヴィクター&ロルフ

3シーズン前ファッションアーティスト宣言をしたヴィクター&ロルフはキュビズムを彫像のような服で表現しました。素材は白のピケ。ベースはあくまでもウェアラブル(着られる)アートです。シンプルな白のポロシャツドレスが曲線の布を重ねボリュームを重ねて彫刻のように浮き立ちます。顔まで覆われた服はモデルを彫像に変えてしまいます。汚れや傷にも見える装飾があちこち手技で施されています。じわり広がるモダンクチュールの流れを代表するコレクションです。3型の限定カプセルコレクションが予約を受けて販売されます。

萩原輝美

萩原輝美|HAGIWARA Terumi
ファッションディレクター
毎シーズン、ニューヨーク、ミラノ、パリ・プレタポルテ、パリ・オートクチュールコレクションを巡る。モード誌や新聞各誌に記事・コラムを多数寄稿。セレクトショップのディレクションも担当。
オフィシャルブログ http://hagiwaraterumi-bemode.com/