北京現地リポート|Audi
CAR / MOTOR SHOW
2014年12月12日

北京現地リポート|Audi

Audi|アウディ

中国をリードするジャーマンプレミアム

3つのコンセプトカーを北京ショーに投入することで、アウディは引きつづき中国市場に注力していく姿勢を明確にした。

Text & Photographs by OTANI Tatsuya

中国のアウデイとは

アウディはフォルクスワーゲンとともに中国市場にもっとも早く参入した外国自動車メーカーとして知られる。そのためもあって政府高官などが公用車として“フォーリングス”を愛用。これが中国国内におけるアウディのブランドイメージ向上に役立っている。また、いち早く現地生産拠点を立ち上げ、中国市場の要求にきめ細かく対応していることも、中国におけるアウディ人気を支える理由のひとつだ。

セダン需要が強い中国市場のために投入した「A6」のロングホイールバージョン「A6L」はBMWやメルセデス・ベンツにもコピーされるほどの人気を博しているうえ、これにつづいて発売した「A4L」も好調な売れ行きをしめしており、2012年の第一四半期はアウディ全体で対前年比+40.5パーセントの2万5,941台を販売。これはアウディにとって最大の市場であるアメリカに次ぐ規模で、そう遠くない将来、中国がアウディにとって最大の市場になると予想されている。

Q3をベースとした2モデル

そうしたなかで開催された北京モーターショーで、アウディはワールドプレミアとなる3つのモデルを発表した。

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1台はすでに予告されていた「Q3」のハイパフォーマンスモデル「RS Q3」。5気筒 2.5リッターの直噴ターボエンジンは360psの最高出力を発生し、0-100km/hを5.2秒で駆け抜けさせるダッシュ力と265km/hの最高速をもたらす。

ショー会場に展示された「RS Q3」はつや消しのブルーに塗られ、25mm下げられた車高とともに、えもいわれぬ迫力を生み出していた。
また、フロントグリルまわりにカーボンコンポジットパーツを多用することで軽量化を実現したほか、RSモデルを象徴するハニカム・デザインのフロントグリル、そしてその下に大きく書き込まれた「quattro」の文字により、このコンパクトなSUVが卓越したパフォーマンスの持ち主であることを訴えている。

もう1台のコンセプトカーもQ3をテーマとしたもの。ただし、こちらはぐっとカジュアルで、ある意味でSUV本来の使われ方を念頭に置いて開発されたモデルといえる。「Q3 jinlong yufeng」は、「風のなかの金龍」を意味する中国語をモデルネームとして取り入れた。

最大の特徴は、ふたつのカーボンコンポジット(CFRP)製カイトボードをルーフ上に搭載していること。カイトボードはウォータースポーツの一種で、上空に飛ばした凧を動力源として、ボードで水上を滑るように走る。このカイトボードで使用されるスポーツ用具をあえてCFRPで製作し、ハイテクイメージとスポーツイメージを融合させることが、「Q3 jinlong yufeng」の重要なテーマとなっているようだ。また、荷室のフロアにはカイトボードなどを収納するポーチを用意。砂で汚れたカイトボードや濡れた水着などを気兼ねなく積めるよう工夫されている。

Q3ベースのコンセプトカーを2台も投入したのは、中国市場でSUV人気が上昇していることと無関係ではなさそうだ。

中国市場では現地生産される「A4L」、「A6L」、そして「Q5」の3台がアウディ全体の販売台数のなかでも大きなシェアを占めている。つまり、中国市場におけるSUVはセダンに次ぐ人気カテゴリーであり、これを大切に育てていきたいというおもいをアウディは抱いているのだろう。また、Q5よりもコンパクトなかつ手頃なQ3を投入して、中国国内におけるSUV市場で主導的立場に立ちたいとの狙いも、こうした積極的な姿勢に影響しているはずだ。

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eトロン投入

3台目のコンセプトカーは「A6L e-tron」。これは前述した「A6」のロングホイールバージョンをプラグインハイブリッド化したもので、エンジンを作動させない“純粋なEV”として80kmの航続距離を有する。パワープラントは、最高出力211psの2.0リッターTFSIエンジンと95psの最高出力を発揮する電気モーターを組み合わせており、大容量の水冷リチウムイオン電池を車体後方に搭載する。

北京現地リポート|Audi

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北京ショーの開幕に先立つ4月18日、中国政府はEVとプラグインハイブリッド車の累計販売台数を2020年までに500万台以上とする“エコカー普及計画”を発表している。「A6L e-tron」の投入は、こうした政府の計画に沿ったものといえる。

世界最大の自動車市場である中国を重視する姿勢はどの自動車メーカーにも共通するものだが、政府との結びつきが深く、またライバルをリードするポジションに立っているアウディにとって、中国は特に重要な市場。ドイツ3大プレミアム・ブランドのトップに立つためにも、中国市場での成功は必要不可欠なのだ。

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