美食大陸オーストラリア、美食とワインをめぐる旅へ|ビクトリア州 メルボルン(1)|特集

特集|美食大陸オーストラリア、美食とワインをめぐる旅へ|ビクトリア州 メルボルン(1)

Restaurant Australia: Where Unique Food & Wine Experiences Await

特集|美食大陸オーストラリア、美食とワインをめぐる旅へ

Spin Off ビクトリア州 メルボルン(2)

メルボルンのおすすめグルメスポット

Dukes Coffee Roasters(デュークス・コーヒー・ロースターズ)

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フリンダースレーンの歴史的建築物の1階にあるカフェマニア必訪の店。写真はすっきりとした酸味と甘みのバランスが絶妙な「Ross House Blend」

6月のオーストラリアは冬。朝、ホテルで待ち合わせると開口一番、「まずコーヒーで目を覚ましましょう」とカンピオン氏。そこで彼が選んだのがDukes Coffee Roasters。メルボルンはオーストラリアきってのカフェカルチャーを誇る都市。街にはレーンウェイと呼ばれる、開拓時代からの路地が残り、そんな通りには個性あるカフェがひしめきあい、極上のコーヒーが味わえる。某チェーン系コーヒーが進出したものの、あっという間に撤退していったというのもうなずける。

店の前には出勤前の一杯を、あるいはテイクアウェイ(オーストラリアではテイクアウトをこう呼ぶ)を求めるメルボルニアンたちが列をなしている。一杯ずつ丁寧に、そしてクールに淹れるバリスタたち。狭い店内には、挽きたてのコーヒーの香りが広がり、コーヒーアディクトを恍惚とさせる。トップ5パーセントにあたる、世界各地の産地・生産者から厳選して確保するコーヒー豆は、カリフォルニア・サンタロサにあるLORING社の焙煎機で毎日、焙煎。季節やその日のコンディションで微調整しているという。

「ブラックやエスプレッソ好きならこれだね」と勧められたのがロス・ハウス・ブレンド。ガテマラとエチオピアのブレンドで、同店で出すエスプレッソはすべてこの豆を使用しているそうだ。爽やかな甘みと果実味が心地よい。ちなみにロス・ハウスとはこの店の入った建物の名前で、50以上の小さなNPO団体の拠点となっている。Dukesではこのブレンド豆の売り上げのなかから、ワンパックにつきA$3を彼らの活動のために寄付するほか、店の売り上げの1パーセントをエコ活動のために寄付。極上のコーヒーは、優れた自然環境と適正なビジネスによってもたらされる。それをしっかりと理解したエシカルな姿勢が好ましい。

Dukes Coffee Roasters
https://www.dukescoffee.com.au/

Spring Street Grocer(スプリング・ストリート・グロサー)

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地下にあるチーズセラー。温度調整に気を配り完璧な環境でチーズを静かに熟成させている

つぎにカンピオン氏が連れていってくれたのが、Spring Street Grocer。エントランス脇には作り置きをしない、天然素材で作ったイタリアンジェラートのカフェがあり、なかにはグルメな食材が並ぶ。最近、海外で人気の枝豆の冷凍もある。「じゃあ、こっち来て」と促されて、地下へとつづくらせん階段を降りた先にあったのはチーズセラーだった。

小さな空間にはさまざまなバリエーションのチーズが並び、それをまるで我が子のように世話をしているのが、ヴィクター・ペルシネット氏。フランス・ヌーシャテル出身で、メルボルンのチーズビジネスに貢献する人物だ。

「ヨーロッパに比べて、オーストラリアのチーズはまだまだ未熟です。でも、ビクトリア州には可能性を感じています。たとえばHoly Goat Cheeseは優秀なヤギのチーズをつくりますし、ギプスランドのブルーチーズもすばらしい」と絶賛。美食文化が発達したメルボルンでは消費者の目も肥えている。カンピオン氏によると、このチーズセラーやグルメなデリも大人気だという。「日本に持って帰りたいならちゃんとパッキングもしますよ」とペルシネット氏がニッコリと笑った。

Spring Street Grocer
http://www.springstreetgrocer.com.au/

Holy Goat Cheese
http://holygoatcheese.com/

Ganache(ガナッシュ)

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市内コリンズ・ストリートのほかに、サウスヤラにもショップ兼カフェをもつ。写真はおみやげにしたいチョコレートたち。メルボルンを象徴するトラムを描いたものは人気

「ところでチョコレートはお好きですか?」と甘くほほ笑むカンピオン氏がつぎに寄ったのがGanache。メルボルンを代表するショコラティエ、アルノー・バックス氏のショップ兼カフェである。愛らしい雰囲気の店内には、トリュフからチョコバー、マカロン、ケーキなど数百種類のアイテムが、甘い匂いを漂わせて蠱惑(こわく)的に出迎える。奥にはカフェコーナーがあり、若い女性客にまじって、好みのケーキと名物のホットチョコレートがテーブルに来るのをじっと待つ男性客の姿もあって微笑ましい。

バックス氏の作るチョコレートやケーキの特徴は、うつくしいアート性と地元の素材を使った奥行きのある味にある。たとえば人気の高いソルトキャラメルのトリュフには、地元産のピンクソルトを使用。彼は地元の若手を育てることにも積極的で、チョコレートをつくるテクニックに留まらず、ビジネスのノウハウも含めてスタッフを熱心に指導している。また、市内でハチミツづくりをおこなうほか、一般向けのクラスもおこなうなど幅広いビジネスマインドをもっている。キュートなパッケージに入ったチョコは、メルボルン土産に最適。チョコレートマニアならまず行っておきたい一軒だろう。

Ganache
http://www.ganache.com.au/

Page03. めくるめく隠れグルメスポットが待ち受けるレーンウェイ&アーケード

ABOUT
TERADA Naoko

トラベルジャーナリスト 東京生まれ。日本とオーストラリア・シドニーの旅行会社勤務後、編集プロダクションを経てフリーランスとして独立。いままでに60ヶ国を訪れ、年間150日は国内外のホテルに宿泊。世界の極上ホテル&リゾートに精通。女性誌、旅行サイト、新聞、週刊誌などで、独自の視点とトレンドを考えた斬新な切り口の紀行文、旅情報などを執筆。近年は豊富な海外ツーリズム経験を活かし、日本の観光立国化に尽力、関連セミナーなどに多数出席するほか、山口県観光審議委員も務める。現在、幅広い海外ジャーナリスト、アーティストとの交流をベースに、メディアの視点に立った日本へのプレスツアーの発起人として活動中。 ブログ ハッピー・トラベルデイズ http://blog.excite.co.jp/naoterada 著書 『ホテルブランド物語』角川書店 共著 『ロンドンのホテル』日経BP企画社 『タイのスパ』日経BP企画社など