REPORT|ホンマタカシ新作写真展「その森の子供 mushrooms from the forest 2011」

REPORT|ホンマタカシ新作写真展「その森の子供 mushrooms from the forest 2011」

LOUNGE FEATURES

ホンマタカシの新作写真展

「その森の子供 mushrooms from the forest 2011」

2011年1月からはじまった、美術館での大規模個展「Takashi Homma New Documentary」展も好評の写真家 ホンマタカシ氏。昨年12月17日より、キノコと森を主題にした写真展がおこなわれていることはご存じだろうか。

Photos & Text by KATO Takashi

好評につき2月19日(日曜日)まで会期延長! 多様な森のなかのキノコたち

代々木ビレッジにオープンしたばかりの『Blind Gallery』で、写真家 ホンマタカシ氏の『その森の子供 mushrooms from the forest 2011』が開催中だ。野生のキノコは、ホンマ氏が数年来撮りつづけている被写体。今回展示されるのは、2011年の春以降に撮影された新作である。

クリタケ、アカヤマドリ、イヌセンボンタケなど、白バックで撮影されたキノコの数々。日本に棲息するキノコの種類は、4000とも5000ともいわれている。撮影方法や展示のスタイルは、雄大な自然を背景にドラマチックに演出するのではなく、植物図鑑でみる生態写真のように、ありのままにみせる手法がとられている。多様な生物が棲息する森という集合体のなかから、ある類型を見つけ出し、それを分類し、並列的に記録するという、あたかも考古学におけるタイポロジーのようなスタイルだ。

キノコは土から引き抜かれると、急速に色や形状を変え鮮度を失う繊細な生物だ。写真におさめられたキノコたちは、「つぼ」と呼ばれる根元の部分に土や枯葉、ときには木の枝などが付着している。その森の住人であるキノコの姿を、ホンマ氏は大判カメラで鮮やかに、生き生きと記録している。

展示された23点の作品のうち、キノコを被写体にしたものが16点、キノコが自生する環境である森の写真が7点。それがほぼ交互に展示されることで、その関係性が相対的に浮かび上がってくる。

ホンマタカシ|その森の子供 02
ホンマタカシ|その森の子供 04

「その森の子供」というタイトルは、1995年に出版されたホンマ氏初の作品集『babyland』や、東京で暮らす子どもたちの素顔を撮影した写真集『東京の子供』(2001年)、東京周辺の集合住宅や郊外のショッピングモールなどを淡々と撮影した『東京郊外』(1998年)といったホンマ氏の作品を観たことがある読者であれば、なにか象徴的な意味をもつタイトルであることは想像がつくだろう。だが同時に、ホンマ氏がこれまでたびたび撮影してきた写真同様、キノコたちのあるがままの姿に手をくわえることなく撮影されたこれらの写真には、いかなる象徴性もないこともまたあきらかである。

ホンマタカシ|その森の子供 05
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樹木と共生関係にあるキノコは、ときに「木の子」ともいわれることもある。ホンマ氏にとっては子どもたちがそうであるように、森のなかのキノコたちも、かたや社会に、かたや人間によってつくられた森のなかで、自由であるがゆえに無防備に翻弄されるものとして、近しい存在なのかもしれない。

会場となる『Blind Gallery』は、昨年11月にオープンしたばかりの『代々木ビレッジ by kurkku』内にある注目のギャラリー。今回のホンマタカシ氏のエキシビションでグランドオープンを迎えた。プレオープンとなるエキシビションでは、造園土木を学んだ経歴をもつオランダ人アーティスト ヘルマン・デ・フリースの個展を開催し好評を博した。

おなじ代々木ビレッジ内にあるブックショップ『POST』でも、「その森の子供 mushrooms from the forest 2011」から2点の作品が展示されている。エキシビション開催に合わせ同名の写真集も刊行。こちらも必見だ。

ホンマタカシ写真展「その森の子供 mushrooms from the forest 2011」
東京都渋谷区代々木1-28-9 代々木VILLAGE内
会期|2012年2月19日(日)まで開催中
オープン|11:00~20:00 無休

ホンマタカシ|その森の子供 07

写真集『その森の子供』
ソフトカバー 950部限定
B5変型/288ページ/147図版/フルカラー
定価|4500円

ハードカバー40部限定(2種×各20部)
B5変型/288ページ/147図版/フルカラー+オリジナルプリント付き
定価|5万2500円(予価)