Twiggy|新時代に求められる美しさとは? スタイリスト 松浦美穂さん、新ヘアケアシリーズの魅力を語る
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2015年3月13日

Twiggy|新時代に求められる美しさとは? スタイリスト 松浦美穂さん、新ヘアケアシリーズの魅力を語る

Twiggy|ツイギー

原点回帰 あたらしい時代に求められる、美しさを求めて──

スタイリスト 松浦美穂、新ヘアケアシリーズ「Epicurean」を語る(1)

モードの一線で活躍をつづけるスタイリスト 松浦美穂さんが主宰するヘアサロン「Twiggy(ツイギー)」。トレンドをリードするあたらしいスタイルの発信源であるサロンは、ファッション界はもちろん、多くの各界著名人からの信頼も厚い。そんなツイギーから2009年に発売されたヘアケアシリーズ「YUMEDREANING(ユメドリーミング)」には、松浦さんの愛と信念がつまっている。今回そのヘアケアシリーズに、待望のニューライン「Epicurean(エピキュリアン)」が登場。情熱の限りを尽くして作り上げた渾身のアイテムについて、そして松浦さんが思う、あたらしい美のありかたについて聞いた。

Text by FUJITA Mayu(OPENERS)Photo by TAKADA Midzuho

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いかにストイックであることを楽しむか、という時代

──新シリーズ「エピキュリアン」のテーマは?

2009年に発表した第一弾「ユア サンクチュアリ」では、指どおりをよくするために、シルクケラチン──いわゆる“動物性たんぱく質”を使用していました。その頃はまだ今ほどオーガニック製品も浸透してませんでしたから、“オーガニック初心者”の方でも抵抗なく使用できるよう、洗い上がりのなめらかさを強く意識したんですね。でも今回の「エピキュリアン」シリーズでは、動物性たんぱく質も一切使用せず、完璧なオーガニックを目指し、植物由来成分のみで作り上げました。

テーマはずばり“原点回帰”。いまって、いかにストイックであることを楽しむか、という時代だと思うんです。楽しく、美しくなる要素をストイックな姿勢でどこまで表現できるか、勝負したかったんです。

──どうして動物性たんぱく質を入れるとストイックではないのですか?

もちろん私たちも人間=動物ですから、動物性たんぱく質というのは私たちの身体に近いのですが、そのままでは吸収できないから化合物にして製品に入れるんです。ようは、ケミカル。羊の毛や魚から抽出されたシルクケラチンやフィッシュコラーゲンってありますよね? 響きだけ聞くとナチュラルに思えますよね、自然に存在する生き物ですから。でもそれは大まちがい。体内に入っても問題のない、川や海に流しても影響のない程度の“ケミカル量”というだけで、ケミカルはケミカル。オーガニックとは言えません。

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便利だから、有効だから、身体に害のない程度のケミカルは取り入れましょう、という考えから、そういうものが多くの化粧品や食品に使われているんですね。合成成分が多く使われている製品を使いつづけることに対して意識すべきは、その保存料や合成香料の多さ。ようするに“ない”ものを“あり”にするということは地球の法則に反しているわけで、イコール人間が自然に生きていないということだと思うんです。

“満足”という名の贅たくに必要なものとは?

──シリーズ名の由来とは?

「“エピキュリアン”という言葉は“享楽者”や“快楽主義”という誤解された意味で使われがちだが、語源となった古代ギリシャの哲学者 エピキュロスは、生きていくうえでの快楽を追求した人物であり、彼が辿り着いた答えは“満足”という名の贅たくだった。その贅たくに必要なものは、小さな庭と、そこに植わっている数本のイチジクの木、少しばかりのチーズ、3、4人の友人と決して多くはなく、これだけで彼は充分に贅たくに暮らすことができた」──これはドイツの哲学者 ニーチェの言葉です。この言葉のもつメッセージをそのまま込めて、「エピキュリアン」という名前にしました。

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ストイックになることをどこまでポジティブに楽しめるか──固くなって閉じこもるようなストイックさじゃなくてね。きれいになる要素、ポジティブになる要素をストイックなものでできないか。だって美しくもならない、快楽もない、そんなことをストイックにやってもつまらないでしょう(笑)? それを自分がどこまで表現できるか、勝負してみたかったんです。

──なんのために?

じつはオーガニックヘアケアとして人気を集めている外資系ブランドさんの製品と、「ユア サンクチュアリ」のクオリティはおなじです。みんな、ああいった“オーガニックもどき”をオーガニックだと思っているじゃない? だから完全にオーガニックだと言い切れるものを作ることで、ケミカルに頼らなくても仕上がりの美しさを追求することは可能なんだってことを証明したかったんです。

“なんとかっぽい”とか、そういう上っ面な世界で生きていくのは、もうやめましょう。3月11日という日を経験した私たちが、いま考えなきゃいけないことは“真実とはなんだろう”ということでしょう? 日々の生活のなかで真実を求め、取り入れ、楽しむことを考えるべきだと思う。

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地球の法則に反している、イコール人間が自然に生きていないということ

──そもそも動物性たんぱく質のネガティブな点とは?

もちろん私たちも人間=動物ですから、動物性たんぱく質というのは私たちの身体に近いんだけど、そのままでは吸収できないから化合物にして製品に入れるんです。ようは、ケミカル。羊の毛や魚から抽出されたシルクケラチンやフィッシュコラーゲンってありますよね? 響きだけ聞くとナチュラルに思えますよ、自然に存在する生き物ですから。でもそれは大まちがい!

体内に入っても問題のない、川や海に流しても影響のない程度の“ケミカル量”というだけのことであって、ケミカルはケミカルです。オーガニックとは言えない。そういうものが多くの化粧品や食品に使われているんですね。便利だから、有効だから、身体に害のない程度のケミカルは取り入れましょう、という考え。

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そうした一般的に市販される製品を使いつづけることに対して意識すべきは、その保存料や合成香料の多さです。私たちの世代より20代、30代の子宮筋腫がすごく多いのは事実ですよね。合成香料が筋腫の原因のひとつになっているということはご存知ですか?

単純に考えておかしいじゃないですか、合成香料なんて。“ない”ものを“あり”にしてるんだから(笑)。それって地球の法則に反しているわけで、イコール人間が自然に生きていないってことでしょう?

私は地球で生きていくつもりだから、そのためにストイックになる

──オーガニックであるべきだ?

農薬を使って育てられた、色もカタチもきれいに揃った野菜を食べることで、私たちの身体のなかは無菌状態になりますよね。いっぽう無農薬で作られる野菜は、土のなかにある菌ごと食べることになりますから、身体に免疫ができる。さて、アフリカを旅行してお腹を壊すのは、どちらの野菜を食べつづけたひとだと思います? なぜオーガニックがいいのかって、それだけのことなんです。

これから宇宙に移住します、というのならわかります。でも、これからも地球で生きていくのであれば、地球の法則に従うしかなくて、それに反することをするのであれば多少なりとも危機感を感じなければいけないのは当前だと思う。

誤解してほしくないのは、宇宙に住むなら住むで全然いいの。考え方は大きくふたつにわかれていくと思う。でも宇宙派を無視したところで話さないと、あっちもこっちも考えていたら中途半端になっちゃうでしょう? 私は地球で生きていくつもりだからストイックになる、ってそれだけのこと。

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スパでのあまりの人気ぶりに商品化した「ユメドリーミングヘアトニック」

──前回よりもアイテム数が大幅に増えましたね!

今回はオーガニックコスメブランド「ナチュラグラッセ」でおなじみのネイチャーズウェイさんとのコラボレーションで製品づくりを進めてきました。カンテンを手でこねてジェルを作ったり、“どこまでストイックなの!? ”と、言いたくなるほどストイックなオーガニック化粧品メーカーです(笑)。

シリーズはシャンプー、トリートメントをはじめ、ヘアミストやムース、ジェルなど、全部で10点。ただ、「ユメドリーミングヘアトニック」だけはネイチャーズウェイさんではなく、ヒフケンという化粧品メーカーさんとのコラボレーションで、唯一ハイブリットです。“液晶”といって、確実に水に分解される構造で作られた化合物を取り入れています。このトニックはあたらしく作ったものではなく、以前よりサロンのスパだけで使っていたものを、あまりに人気なのでシリーズの発売に合わせ商品化したものなんです。

──なぜヒフケンだったのでしょう?

このトニックを作ってくれたヒフケンの鈴木先生という方は、もともと資生堂で30年間男性用育毛剤の研究をされてきた方なんですよ。でも、つくづくケミカル大好き“ケミ男くん”でね……そんな彼を“生薬とハーブ”で作ってほしいと説得するのは本当に苦労しました。何度も直接お会いして説得を試みたのですが、なかなか聞き入れてもらえなくて。でも、鈴木先生のチームに、たまたま乳がんの女性がいたんです。私ね、彼女の目を見てはっきり言っちゃった、「なんでこのお仕事をされていて乳がんになってしまったんでしょうね?」って。

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本当に大変なことですよ。だからこそ私はやろうとしているんです! って。そうしたら鈴木先生の心が少しずつ動いてね。「たしかに僕らは製品に女性ホルモンを入れてきました」と、おっしゃってくれました。

ケミカルの恐ろしさをちゃんと理解している方が生薬やハーブを使って作ったもの

どういうことかというと、頭頂部からこめかみまでを結んだ三角部分は女性ホルモンの働きで毛が生えているんです。体毛というのは男性ホルモンによって生えるものなんだけど、たまに体毛は濃いのに頭頂部が薄くなってる男性いますよね、あれは男性ホルモンが強すぎるから、女性ホルモンが作用する頭頂部が薄くなってしまうの。だから頭頂部の薄毛には女性ホルモンを補ってあげる、単純な足し算ね。

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女性は女性ホルモンをはじめから多く持っていますよね。そこに持っている以上の量を与えるわけだから、あり余ったホルモンはどうなるかというと、ガンになるしかないんです。むだな女性ホルモンを入れる必要なんてないんです。そういうのは老化して女性ホルモンが生成できなくなってから入れていきましょう、ということ。そういうケミカルの恐ろしさをちゃんと理解している方が、30年にわたり研究してきた育毛の知識と生薬やハーブを使って作ったものです。はっきり言ってこれ、ものすごい製品なの(笑)。

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ローズ水が半分も入ったシャンプーなんて探してみて、絶対にないから!

──シャンプー、トリートメントの特徴は?

まず言いたいのが、前回のシリーズではブルガリア産のローズ水を使っていて、発売の時に“いつか国産にします!”と宣言したと思うんですけど、国産に変えました! 長野県蓼科にあるローズ園で3年前から育てはじめたダマスクローズのローズ水を使用しています。

通常シャンプー材って精製水が9割、そこにちょっとずつ成分を足して作っていくので、じつはほとんど水なんです。でも、今回の製品はローズ水を5割まで入れています。そんなシャンプー探してみてください、絶対にないから(笑)。動物性たんぱく質を使用しない代わりに、化粧水として効果のあるローズ水を贅たくに使うことで指どおりのなめらかさに挑戦したんです。もちろん、香りも期待してください!

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──シャンプーの使用感はいかがですか?

オーガニックでここまでなめらかになるの!? というくらい、ゴワってキシみは「シャンプー ノーマル」にかんしてはまったくないですね。泡立ち、洗浄力といった泡成分を13種類のアミノ酸で作っているんですけど、正直ここまでいけると思っていなかったから感動しました。

「シャンプーファイン」は、細くて猫っ毛で毎朝からむとか、癖っ毛ではねるっていう細い毛質用。

そういう毛質には通常“しっとりタイプ”がいいんだけど、“しっとり”だと根元がべちゃっと網目のように見える、皮脂膜がうまくはられていないために皮脂がドバっと出てしまう、根っこから油が出るのに細い毛のひとたち用に作ったものなんです。だいたい男性ホルモンが強いひとはそうですね。女性も年齢がいくと女性ホルモンの分泌が衰えていきますから、頭頂部の髪に元気がなくなってくる。でも、ここが元気じゃないと老けて見えちゃうんですね。若く見られたいわけではないけど、健康的には見られたいじゃない? そういう方にはこのシャンプーと、「ヘアトニック」のセットづかいがお薦め。

肌に使ってももちろんオッケイ!

──トリートメントは?

“頭皮ケア”という前回の発想から、今回のシリーズでは“頭皮育毛”にバージョンアップしています。そのためトリートメントも毛先用ではなく、頭皮をこれでマッサージすることで出すぎた皮脂を抑えることができ、出ていない皮脂をもっと出してあげる効果があるものにしたんです。ただ、頭皮にはつけていい油とそうでない油があります。一般に市販されているトリートメントは毛先用なので頭皮にはつけないでください。毛穴の周りに出てくる皮脂にさらに油をかぶせることになるのですが、どうなるかというと、油と一緒にずるっと毛が抜けます!

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──今回のシリーズはシャンプーで身体を洗ってもいいし、スタイリング剤は肌にも使えるんですよね?

「ヘアミスト」は、たんぱく源がエンドウ豆成分なんです。これはネイチャーズウェイさんが作っている化粧水を真似したんだけど、そのオーガニックの化粧水を使ったとき、肌が吸いつくようなもちっとした質感があったの。オーガニックってサラっとして正解でしょう? 1+1=2っていう正解。でもその化粧水は1+1=5になってたの! そのペタっとするしっとり感の秘密がエンドウ豆成分。ようは糖分だから砂糖水と一緒で、吹きかけるとペタペタして固まる、その働きで髪の毛をセットできるんじゃないかって。

ということで、もとは化粧水なので肌に使ってももちろんオッケイ。よく乾燥が気になるときに水を吹きかけているひといるでしょう? あれって勘ちがいで、水って蒸発して余計に乾くんですよ。そのうえ静電気も生む。でも、糖分がくわわることで蒸発しにくくなるし、うるおい成分にもなっているから、ライトな化粧水感覚でシュシュっと吹きかけてもらって、ついでに髪の毛もセットしちゃおう、みたいな(笑)。

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この「グロスジェル」もそう。じつはこれネイルジェルでもあるの。ネイルジェルやオイルを塗り込むとき、必然的に指の腹にもつくと思うんだけど、そのままの手でなにか触るとものについてしまうし、ベタベタした感じがいやで、拭き取るひと多いですよね。それがそのまま髪のつや出しジェルになるなんて、いいでしょう? これがいま伊勢丹で一番売れているみたい!

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愛するひとがいて、守りたいひとがいるから、未来が気になってしょうがないんだもの!

──2009年の第一弾発売当時に比べ、世の中の考えも大きく変化してきたのでは。

世の中で語られる“正しい考え”が、経済発展の方向から地球を守る方向に変化していることは明らかです。いまだに地球環境に危機感を感じずに過ごしているひとっていないと思うんです。もしいたとすれば、「自分は自分の人生で終わるんだから、未来なんて自分には関係ない」とか思っているのかな。

でも、その価値観は自分に子どもが生れた時点で絶対に変わると思う。ましてや母親だったらなおさら。子どもだけじゃない、好きなひとができてもおなじ。自分が幸せかどうかより、自分が大切に思うひとが幸せかどうか、みんがいま求めている世界って、そういうことだと思うんです。

──松浦さんのなかで考えが変化したきっかけとは?

若い時はね、別に自分の身体なんてどうでもよくて、お酒は飲むわタバコは吸うわ、毎日のように朝までガンガン踊って遊びまくっていたの、じつは。えへへ(笑)。母親になることを想像したところで、子どもは子どもで勝手に生きればいいし、自分は自分の人生を全うするぞ! なんて考えてた。

だから20代で最初の子を生んだときは、まだ“大切なひとが幸せかどうか”なんて気持ち、わからなかった。息子も主役だけど私も主役、という“共存”の感覚の方が強かったの。

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でも40代で娘を産んだとき、この子を守るために私は生きなきゃいけないと思った。この子の成人式は私が髪を結ってあげたい、そんな単純な愛情がすべてで、それをベースに考えればおのずとわかってくるはず。言葉にするとややこしくなるけど、難しいことでもなんでもないの。私ね、とにかく情報に疎くて、一般常識的なことさえ知らないなんてしょっちゅう。そのくせこんな偉そうなこと言えちゃうの(笑)!

お店のお客さんや読者の方々だけじゃない、一緒に製品づくりを進めてきた科学者の先生にだって、なんの知識もないくせに偉そうなこと言えちゃう。だって愛するひとがいて、守りたいひとがいるから。息子や娘が生きていく未来が気になって気になってしょうがないんだもの! だから私は偉そうなことも言いつづけるし、製品も作りつづけなきゃいけないと思ってる。

3日後きれいになるより、30年後きれいでいられる、それってすてきじゃない?

──本格的に生活を変えたきっかけは?

22年前にロンドンでニールズヤードと出会い、ハーバルライフについて学んで、それから息子が生まれたんだけど、アトピーでね。お酒、タバコ、朝まで踊りまくって、なんていうケミカル漬けの生活のなかで身体に取り入れてきたケミカルを、デトックスしきらないうちに息子を産んでるから、息子に出ちゃったの、毒が。みんなそうだけど、親の身体の毒は必ず子どもにデトックスされますよ。ほら、とくに私は毒素いっぱいだったものから……(笑)。

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日本に帰ってからもロンドンで学んだハーバルライフを一生懸命実践しながら、アトピーに悩んで苦しむ息子と共存して。漢方薬を飲ませるのにいったい何度泣かれて苦しまれただろう……いまでも思い出すと胸が苦しくなる。

それでも20年にわたって取り入れつづけたケミカルが、私の身体のなかから抜けきることはなくて、もう精神までケミカルだったから(笑)。ハ―バルライフをつづけてて20年になるけど、未だに清算できてない部分はあると思う。

──松浦さんが提案する、時代にあったあたらしい美しさとは?

継続は力、じゃないけど、私ね、20代より30代より、50代への階段をのぼっているいまのほうがきれいだと思うの! 自分で言うのもなんだけど(笑)。だって20代のころは分厚くばっちりファンデーション塗ってたけど、いまはなにも。日焼け止めだけでこんなにきれい(笑)。肌だけじゃなくてメンタルもそう。昔よりずっと健康できれいだと思う。継続は力。3日後にきれいになるより、30年後きれいでいられる、それってすてきなことじゃない? 私が作っている製品は、そういうものなの。絶対に30年後のきれいを保証するからさ! っていうね(笑)!

保存料、合成香料たっぷりでも、シャンプーを使っているくらいじゃ大丈夫だろう、と思うかもしれない。でもね、“大丈夫でしょ”って思ってしまったときから、子どもが、地球環境が不幸になっていることはまちがいないの。

これを使ったらきれいになるとか、これを食べたら元気になるとか、私はその思い込みこそが奇跡を生むんだと思っている。真実だって言われつづけてきたことが、全部ウソだったじゃない。それでもまだ“偉い”とされる人の言葉や、ベストセラーに書いてあることを信じるの? もうそんな時代じゃないの。誰かが言うからじゃない、自分が正しいと思う価値観だけに耳を澄ます──“自分”というゼロ地点に立ち返る、そのためにいま“原点回帰”が必要なの。

──ありがとうございました。

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松浦美穂|MATSUURA Miho

松浦美穂|MATSUURA Miho
1980年代初頭より「六本木美容室」の店長を経て、88年に渡英。帰国後にヘアサロン「ツイギー」をオープン。サロンワーク以外にもヘアスタイリストとして活動し、広告撮影やニューヨーク及びロンドンコレクションのバックステージやヘアショーのイベントなど、活動の場を広げる。2003年にはアメリカのナチュラルビューティブランド「アヴェダ」の日本上陸に伴い、アーティスティックディレクターに就任。5年間に渡って商品開発のアドバイスやヘアスタイル提案などをおこない、ブランドの浸透に貢献する。07年には「ツイギー」を神宮前に移転。「シークレットクローゼット」(ファッションブティック)や「アンジェ」(ネイルチーム)とのコラボレーションによって、ヘアスタイル&カラーリング、ヘアスパ、ネイル、ファッションまでをトータルビューティサロンとして提案している。

           
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