BMW i3&i8日本上陸!|BMW
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2015年2月19日

BMW i3&i8日本上陸!|BMW

BMW i3|ビー・エム・ダブリュー i3
BMW i8|ビー・エム・ダブリュー i8

未来を先取りした2台のモビリティが日本上陸!(1)

文=小川フミオ写真=荒川正幸

よりクリーンで、よりパワーを

さきにBMW iについて簡単に説明しよう。BMWにとって、パフォーマンスを主眼にした「M」ととともに、3本目の柱を形成するサブブランドとなる。BMW iの核となるものは「未来を先取りしたモビリティ」と説明される。内燃機関(ガソリンやディーゼルエンジン)から、プラグインハイブリッドあるいは電気モーターに駆動系が変更される。

BMWジャパンでは、2012年にX5のディーゼルエンジン搭載モデルや5シリーズ ハイブリッドといった、高効率の燃料消費を目指したモデルの発売を計画しており、BMW iをあらたに展開することで、いま推し進めているダイナミック・エフィシエンシー(「よりクリーンで、よりパワーを」)のコンセプトに基づいた製品ポリシーをより強化できる」(広報担当者)と説明される。

BMW i3|ビー・エム・ダブリュー i3
BMW i8|ビー・エム・ダブリュー i8

未来を先取りした2台のモビリティが日本上陸!(2)

加速性能、経済性を両立したプラグインハイブリッド車「i8」

今回、発表された2モデルのうち、i8(アイエイト)は、プラグインハイブリッドのスポーツ、というコンセプトに基づいて開発されている。2,800mmと比較的長いホイールベースのうえに、全長4,632×全幅1,955×全高1,280mmという2ドアボディが載る。ハイブリッド形式は駆動方式にも反映されており、前輪は96kWの電気モーターが、後輪は1.5リッター3気筒ガソリンターボエンジンが駆動し、システム合計出力は260kWと発表されている。走行状況におうじて、前輪駆動、後輪駆動、全輪駆動と切り替えていくのもこのシステムのメリットと説明される。

「ふたつの世界から最良のものを」と謳われるi8。4シータ-であるにもかかわらず、静止から100km/hまでを5秒以下で加速する性能を発揮するいっぽう、EUモードで1リッターの燃料で33.3kmも走行する経済性を併せもつ。X6などで日本にも導入されているハイブリッドシステム「eDrive」をアレンジし、電気駆動システムと組みあわせた結果だ。電気モーターのみでの航続距離は約35kmという。

BMW i3&i8日本上陸!|BMW|03

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つぎなるプレミアムを体現するブルーカラー

「現代においてもっとも先進的で革新的なスポーツカーの誕生」とBMWでは謳う。スタイリングも大胆で、ストリームフローと呼ばれるラインが青色のアクセントとともに、リアに向かって流れるようなラインを形成しているのが視覚的な特徴になっている。

青色はBMW iのキーカラーで、フロントボンネットのバッジにもキドニーグリルにも使われる。これについてBMWでは「(青色の使用は)“つぎなるプレミアム”を体現しています。ブルーという色はふたつの機能を果たしています。つまり、伝統的なBMWバッジとの結びつきを示す色であるともに、エフィシエントダイナミクス、クリーンドライブシステム、ゼロエミッションなどのコンセプトでおなじみの色でもあります」としている。

ちなみにトム・クルーズ主演の「ミッション インポッシブル」シリーズ最新作「ゴースト プロトコル」にもi8が登場する。市販版もこのコンセプトモデルとそう大きく変わらないスタイリングで発売されるという内部情報もある。

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BMW i8|ビー・エム・ダブリュー i8

未来を先取りした2台のモビリティが日本上陸!(3)

都市内交通むけコンパクトピュアEV「i3」

都市内交通のためのモビリティ、という開発コンセプトをもつ電気自動車(EV)コンセプトがi3(アイスリー)。ホイールベース2,570mmのシャシーをもち、4ドア+ハッチバックのボディ外寸は全長3,845×全幅1,766×全高1,537mmとなる。駆動は、リアアクスル上に搭載された125kWの電気モーターによる。

「エンジン回転数におうじてトルクが増大する内燃エンジンとはことなり、電気モーターでは発進時から最大トルクが得られます。このため、BMW i3コンセプトはきわめて俊敏で、圧倒的な加速性能を発揮します。BMW i3コンセプトの発進加速タイムは0-60km/hで4秒以下、0-100km/h加速は8秒以下」とBMWではする。

電気モーターをリアに搭載することでBMWはあくまで後輪駆動にこだわり、「軽快で俊敏なドライビング特性」を謳うのが、大きな特徴になっている。

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アクセルペダルに加速と減速の両方の機能を兼ねていて、ドライバーがペダルから足を浮かせると、電気モーターがジェネレーター(発電機)として機能し、運動エネルギーを電流に変換する回生システムが働き、同時にブレーキング効果が生まれるためだ。「市街地走行では、すべての減速操作の約75パーセントをブレーキペダルをまったく踏むことなくおこなうことができます」とBMWではする。

オプションによってレンジエクステンダー化も可能

もうひとつ、i3のユニークな点は、バッテリー充電用に内燃機関を搭載するレンジエクステンダーバージョンも選択できるようにするという点だ。「オプションでガソリンエンジンを用意するので、より長い走行距離を走るユーザーにも対応できます」。東京での記者会見のためにドイツから来日した広報担当者はそう説明する。ただし、エンジンの気筒数や排気量は「この段階では発表できない」そうだ。

インテリアは広びろとしていて、それには薄く作られた前後シートの採用が貢献している。

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座面にベンチタイプを使ったことで「混んでいる市街地ではからだをスライドさせて安全な側から外に出ることができる。これもシティコミューターに重要な機能です」とインテリアデザインの責任者であるダニエル・シュトルケは話している。

ボディ構造をふたつのモジュールにわける「LifeDrive」を採用

BMW iの2台において、もうひとつ、大きな特徴が「LifeDrive(ライフ ドライブ)」と名づけられたボディ構造だ。乗員が乗る部分をライフ、駆動システムからシャシーまでをふくめた部分をドライブと、大きくふたつのモジュールにわけるという、大胆な発想の実用化だ。

「ライフ」モジュールは軽量かつ堅牢なCFRP(カーボンファイバー)製で、クルマのコンセプトにあわせて設計される。i3はシティコミューターだから、快適に4人が座っていられるよう天井高の高いデザインに、いっぽうi8はスポーティなGTなのであえてタイトで脚を前方に投げ出すような形状になっている。どちらもモノコック構造よりはるかに合目的的なデザインが可能になっている。

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電気自動車やハイブリッドは、内燃機関搭載の車輌に変更をくわえた、いわゆるコンバージョン コンセプトが主流だが、「コンバージョン コンセプトでは、必要な変更をくわえることで重量が増加しますが、LifeDriveコンセプトでは、これを回避することができます。同時にどちらのモデルでも、素材の画期的な使用とインテリジェントな軽量設計をつうじて、電気モーターによって追加される重量増をすべて相殺することができました」。プロジェクトiのボディ装備責任者であるベルンハルト・ドレスラーの言葉だ。

BMW iのもうひとつの目標は、持続可能な生産システムの開発、という。製造工程の環境影響を極小化と言い換えることもできる。具体的には、エネルギー消費量、水消費量、排水量、溶媒放出量、埋め立て廃棄物発生量などを基準に、クルマ1台あたりの値が計算される。BMWグループでは同時に、エネルギー消費にともなうCO2放出量も監視するとしている。掲げられる目標は、「生産車1台あたりの資源消費量と放出量を、2012年までに2006年基準で30パーセント減少させること」と発表されている。それに「BMW iシリーズの生産においてはこれをさらに上まわる計画です」とつけくわえられている。

           
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