INTERVIEW|坂本龍一氏インタビュー  教授、kizunaworldを語る

INTERVIEW|坂本龍一氏インタビュー  教授、kizunaworldを語る

kizunaworld.org|被災地の復旧・復興を支援するためのプロジェクト

INTERVIEW|坂本龍一氏インタビュー

教授、kizunaworldを語る(2)

被災者の方々が取り残されるようなことがあってはならない

──いままで発表された作品にたいしてコメントをいただけますか。

坂本 もともと震災前にイタリア人アーティストのヴァレリオ・ベッルーティと僕が曲を提供して『kizuna』というアニメーション作品を共作したんですけれど、それがちょっと暗示的だったというか……。少女がテーマなんですが、日本の子どもたちを描くために、彼はわざわざ日本に2ヵ月間滞在して、小学校に通ったりしていたんです。それもちょっと暗示的だし、たまたま『kizuna』というタイトルをつけたのも暗示的ですね。そもそも今回のプロジェクトは、彼が作品の使用を許可してくれことからスタートしているわけで、それはうれしかったですね。

──4作目のデヴィッド・シルヴィアンさんとは、旧知の仲ですね。

坂本 シルヴィアンは気むずかしいひとなんですけど、本当に早い時点で快くオーケーしてくれて、それもうれしかったです。6作目の大友良英さんと僕の作品は、最初は大友さんの「プロジェクトFUKUSHIMA」に僕のほうから作品を提供したんですが、今度は大友さんがギターをダビングして、kizunaworldのために送ってきてくれた曲で、いわば、ふたつのプロジェクトのキャッチボールから生まれた作品なんです。

──今回のプロジェクトならではですね。

坂本 7作品目のテイラー・デュプリーは、ニューヨークで12Kというエレクトロニカのレーベルをやっているアーティストなんですが、彼がスティーブン・ヴィティエロというひとを誘ってくれて、僕と3人でコラボレーションをしたんです。そうしたらテイラーのほうから、せっかく3人で共作して結果がすごくよかったから、また3人で集まってコラボレーションを深めたい、という逆リクエストがあって……。

──こちらでも、あたらしい展開がはじまったわけですね。

坂本 ええ。それから10作品目のオラファーとアーノアー・ダン・アーナーソン。もともと彼らの曲は聴いていたんですけど二人とも会ったことがなくて、たまたまツイッターで知り合って、声をかけたらすごく賛同してくれました。これもすごく珍しい、現代ならではの関係ですね。

──二人ともまだ若いアーティストですね。もともと注目されていたんですか?

坂本 そうですね。とくにオラファーはここ何年かいいなって思っていたアーティストです。彼もピアノ中心の楽曲をつくっているので、親近感を抱くというか。そもそもアイスランドのアーティストは好きなんですよ。とにかく、これまで協力してくれた彼らの善意は、それぞれ本当にうれしく思っています。

──今後の展開についてお聞かせください。

坂本 チャリティってだいたい3ヵ月くらいでしぼんでしまうことが多いんです。でも今度の震災はやっぱり復興までとても時間がかかると思うので、僕たちも肝を据えて長期的に取り組んでいきたいと思っています。だいたい毎月11日、月供養じゃないですけど、少しずつ作品を追加して持続的にやっていきたいので。

──記憶をちゃんとよみがえらせるために?

坂本龍一氏インタビュー 04

坂本 ええ。みなさんもこの震災を忘れることはないでしょうけれども、やはり一人ひとりの生活もあるし、仕事もあるし、どうしても関心が薄れてくるのは自然だと思うんです。だけど、被災者の方々が取り残されるようなことがあってはならない。kizunaworldについては、継続しているあいだにまたあたらしいアーティストと知り合うかもしれないし、本当にゆっくり、しかし確実に取り組んでいきたいですね。

──ありがとうございました。

ABOUT
SAKAMOTO Ryuichi

1952年東京生まれ。東京芸術大学大学院修士課程修了。1978年『千のナイフ』でソロデビュー。同年、 細野晴臣、高橋幸宏と『YMO』を結成。散解後も、音楽・映画・出版・広告など、メディアを越えて精力的に活動。 83年、み …