Volkswagen Golf Variant Twindrive
CAR / FEATURES
2015年3月12日

Volkswagen Golf Variant Twindrive

Volkswagen Golf Variant Twindrive|
フォルクスワーゲン ゴルフ ヴァリアント ツインドライブ

プラグインハイブリッド車20台を用いた実証実験(1)

フォルクスワーゲンは、6つのプロジェクトパートナー(「電力会社E.ON」、バッテリーシステム、バッテリー素材開発の「フラウンホーファー ゲゼルシャフトISIT」、エネルギー、環境リサーチをおこなう「ハイデルベルグ研究所」、分析、交通シナリオづくりをする「ドイツ エアロスペース センター」、バッテリーセルの実験研究を担う「ウェストファリアン ヴィルヘルム大学」)およびドイツの環境省と共同で、2008年7月から進めていた「エレクトリックモビリティの実証実験」の中間報告をおこなった。

Text by OPENERS

ドイツ、2020年までにEV目標保有台数を100万台に設定

「エレクトリックモビリティの共同研究」は、東日本大震災および原子力発電所で起きた事故をきっかけとしたドイツ政府の脱原発への転換という事態をうけて、さらなる重要性を帯びることとなった。ドイツ連邦政府は、2020 年までにドイツ国内だけで、純粋な電気自動車の目標保有台数を100万台に設定し、その電力を再生可能エネルギーで賄うという計画を立てているという。

これまでにもDr.フェルディナンド・ピエヒが打ち立てた「1リッターカー(100km走行にたいし1リットルの燃料のみを消費するクルマ)戦略」の具現ともいえるプラグインハイブリッド車「XL1」、ゴルフをベースに製作された電気自動車「ゴルフ ブルー e モーション」を公開。そして先日、近いあいだに、小型車をふくむ全ラインナップにプラグインハイブリッドシステム導入をおこなうと発表し、環境保護にたいする高い意識を示しているフォルクスワーゲン。

プラグインハイブリッド車「ゴルフ ヴァリアント ツインドライブ」を20台投入

現在、ドイツの電力は全体の約16パーセントを再生可能エネルギーで賄われており、その比率を2020年までに30パーセントにまで拡大することが目論まれている。しかし、自然エネルギーのデメリットとして挙げられるのは、供給の不安定性にある。そのため、需要のピークが供給能力を超えないよう、電気の使用をコントロールすることが必要になってくる。今回の実証実験では、ゴルフ ヴァリアントをベースとするプラグインハイブリッド車「ゴルフ ヴァリアント ツインドライブ」を20台投入し、実際にドライバーが日常で使ううえでの行動パターンの分析をするという。

フォルクスワーゲン ヴィンターコルン会長は、以下のようにコメントしている。

「中期的に見れば、プラグインハイブリッドは非常に高い可能性を秘めているといえます。その理由は、電気と内燃機関の良い部分を融合したクルマだからです。そして、モビリティの電化は、今後1世紀にもわたる大きな課題でありつづけるでしょう。自動車メーカー、部品メーカーからエネルギー会社、科学者、そして政治家にいたるまで、すべての人びとが参画していかなければなりません」

ここで、今回使用されているゴルフ ヴァリアント ツインドライブの実体に目をうつしてみよう。

Volkswagen Golf Variant Twindrive|
フォルクスワーゲン ゴルフ ヴァリアント ツインドライブ

プラグインハイブリッド車20台を用いた実証実験(2)

最高57kmのゼロエミッション走行が可能

前述のとおり、ゴルフ ヴァリアント ツインドライブは、外部から充電することが可能なポートをもつプラグインハイブリッド車。電気モーターをメインのパワートレインとして据え、ガソリンエンジンが補足的な役割を果たす、いわゆるレンジエクステンダーと言われる構成をもつ。

バッテリーには、13.3kWのリチウムイオンを搭載(実験には11.2kWの小容量のバッテリーを搭載したモデルも用いられた)し、電気モーター単体の場合、最高出力65kW(88ps)、最大トルク600Nmを発揮。最高57kmまでゼロエミッション走行が可能だという。そこに85kW(115ps)のパワーを出力する1.4リッターTSIエンジン組み合わさり、システムトータルでの最高出力は120kW(163ps)となる。エンジンを用いたさいの燃費は48km/ℓという低燃費を実現し、CO2排出量も49g/kmと優秀な数値を記録している。動力性能は、最高速度170km/hに達し、0-100km/h加速を12秒で完了するという必要十分なもの。電動走行時でも120km/hまで速度をあげることができる。

2013/2014年中のプラグインハイブリッド車大量投入へ

ゴルフ ヴァリアント ツインドライブは、ドライバーの意思、もしくは走行条件やバッテリーの充電状況に対応して自動的に走行モードを選択することが可能。Eドライブと呼ばれる電動モードでは、TSIエンジンは停止し、分離クラッチによって電気モーター/ドライブトレーンから切り離される。動力がさらに必要になった場合、TSIエンジンが即座に始動する。また運転中に、車輛にブレーキをかけると、電気モーターがクルマの慣性エネルギーを電気に変換し、バッテリーに充電をおこなう回生機能もついている。充電時間にかんしては、急速充電器を使用すれば約20分、家庭用コンセントであれば5時間を要するとのことだ。

Volkswagen Golf Variant Twindrive|フォルクスワーゲン ゴルフ ヴァリアント ツインドライブ|04

フォルクスワーゲンは、プラグインハイブリッド車を2013、2014年中に市場に大量投入することを目標にしており、さらに、あまり多くは触れられていないが、搭載されるリチウムイオンバッテリーを将来的に家庭用の蓄電池として利用するというアイディアも研究対象にしているという。この実証実験は、2012年6月まで継続される予定だ。今後の進捗にもぜひ期待したい。

           
Photo Gallery